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池田敏
アメリカTV・映画ライター。映画誌「キネマ旬報」「SCREEN」やTV誌「TV TARO」に寄稿。最近40歳になりました。


11月22日(土)S4#20「チアリーダー」“Stand Up and Holler”

20blog 【STORY】 1997年9月1日。ある高校のグラウンドで高校生たちがフットボールの練習に打ち込んでいる。一方、グラウンドの隅では新人チアリーダーの入部審査が行われており、レイニーとセレステの2人が合格する。しかしレイニーの遺体がグラウンドで見つかり、体内からドラッグとアルコールが検出されたため、事件は事故死として処理される。 そして現在。来場者が紙に秘密を書いて貼るというモダンアートの作品から“私がレイニーを殺した”というメモが見つかり、そこには犯人でしか知り得ない情報が。レイニーの母親は、娘はドラッグにもアルコールにも手を出していなかったという。リリーたちはコールドケースの扉を開く。

 スティルマンらはレイニーの親友だったセレステを訪ねるが、ベッカという先輩がレイニーを利用して自分の落ち目ぶりを隠そうとしていたと証言。そして現在のベッカはレイニーが、後にドラッグを精製して退学になった“負け犬”の男子生徒ジョーがレイニーに接近していたと思い出す。そんなジョーは現在、レイニーは純真だったといい、ケイシーというアメフト部員がチアリーダーたちに接近していたと振り返る。そんなケイシーは大学でデート・レイプ事件を起こしていたが、かってチアリーダー同士歪んだ関係があった上、コーチのプルイットに問題があり、抗議したレイニーを脅していたと証言。現在のプルイットは、レイニーが死んだ日の前日、物理の授業でレイニーがベッカを批判し、ジョーがレイニーを応援していたと語る。その教室で意外なものが見つかる。それはモダンアートに貼られたメモにもあったマークの落書き。マークを書いたのはジョーで、彼は取調べに対し、自分がレイニーを殺したと自白する。しかしそれは自分がレイニーを救えなかったという意味。ジョーは当時レイニーがチアを辞めると決めたことを振り返る。リリーはレイニーの代の同窓会の夜、現在のベッカを問い詰める。ベッカは自分とチア仲間たちがグラウンドでレイニーをいじめたのを認めるが、その場にセレステもいたという。
 レイニーの死には、ベッカ、そしてセレステに責任があった。セレステはチアリーダーになって周囲を見返そうとするあまり、親友のレイニーがチアリーダー部を混乱させたことに危機感を抱いた。そして、ベッカにドラッグ入りビールを飲まされたレイニーを、グラウンドに置き去りにしたのだった。

【今回の深読み】
 米国の若者の間にいじめや差別の問題があるというテーマは、今までも第3シーズン「小屋」や第4シーズン「ビデオカメラ」でも取り上げられたが、今回はチアリーダーでいながらチアやアメフト部の体育会(米国ではジョックスという)の腐敗と、その圧力に抵抗した少女の悲劇が展開。
 筆者は日本の学校しか行っていないが、男子はアメフト部、女子はチアリーダーを頂点とするヒエラルキーが全米の高校では当たり前なんだとか。そんなポピュラー(人気者)は、いじめなどで弱者を支配し、こうして強者と弱者の格差はますます広がる。
 かつて全米でヒットしたドラマ「バフィー~恋する十字架」はホラーやコメディの要素を駆使してその陰惨さを薄めていたが、リアルに描くとこうだよ、というのが今回の「コールドケース」だったと思う。
 そんなヒエラルキーだが、実は高校までのもの。大学に入れば勉強が忙しくていじめなんてしてられないし、社会でチアやアメフトが役に立つとは限らない。しかし、虐げられた者の屈辱はけっして忘れてはならないという、番組の作り手のメッセージを感じた。
 話は変わるが、米国の学校のいじめは日本のそれと異なるそうだ。たとえば少数民族をいじめたらそれは差別となるので、親も徹底的に注意する。そして生徒は授業毎に教室間を移動するので(日本は教師が動く)、休み時間にできるいじめは大したことがないという声も。なので1つのソサエティ(たとえば体育会)の中で、ひそかにいじめは起きるという。今回の物語、レイニーの母親が、娘が悩んでいたことに気づいていなかったのは、そんな背景があるからかもしれない。
 さて、筆者はリリーが力強く尋問する場面が大好きだが、今回は後半、“私が行く”と言って現在のベッカに歩み寄ったのがカッコよかった。“あなたはハイスクールのプロムが人生のピークだった”と言い切るなんて、ひょっとしたらリリーも昔はいじめられていたのか。さらにその場を去ろうとするベッカに“そこ一歩も動くな。捕まるよ”と決め台詞。吹替の田中敦子さんの演技もいい!
 刑事陣では、最初のほうでヴェラが、高校時代はアイスホッケーをしていてモテたと振り返ったのが何だか笑えました。

【原題の“Stand Up and Holler”】
 Stand Upは「立つ」で、Hollerは「叫ぶ」(Horror=恐怖と似たスペルなのが面白い)。「立ち上がって叫ぶ」というチアリーダーらしい動作と、ベッカらチア関係者に抗議したレイニーの勇気ある行動、両方にかけた、うまいタイトルだ。

【BGM2曲目の“Wannabe”】
 当時の英国の人気女性グループ、スパイス・ガールズ(Spice Girls)のデビュー曲。本国で7週連続ナンバーワン・ヒットを記録し、世界37か国でナンバーワンに。お時間のある方はネットで歌詞を探してみてください。この場面にあまりにピッタリな内容!

【ラストの曲はレディオヘッド】
 凄い偶然だが、WOWOWは11/28(金)深夜0:30に4年半ぶりの来日公演の中継「Radiohead Japan Tour 2008」を放送!

【現在のベッカ役のローレン・ウッドランド】
 見たことがあるような無いような、と思って調べてみると、子役出身で数多くのドラマにゲスト出演。で筆者が見ていたのはTV版「エイリアン・ネイション」のエミリー役だったが、当時の写真はここの写真の一番手前の少女。これじゃあ思い出せないって!

2008.11.22|エピソードガイド|コメント(2)トラックバック(0)

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コメント

今回はアメリカの高校事情が垣間見られましたね。そんなにチアリーダーになりたいものなんでしょうか私には理解出来ません(-_-;)
それにしても、授業毎に教室を移動するんですかsign02だからあっちのドラマとか映画で、学生達はやたらとロッカーの所でしゃべってるんですねsign03納得( ̄▽ ̄)

投稿: ぎっちょ | 2008年11月23日 (日) 23時41分

日本とアメリカの高校生。たいして、変わりはない。表面的な物に囚われ、群れ、携帯電話3分ルールを作り上げる。ベッカと言う女の子、自分がない。誰かに、似ていると思ったら、バビー人形にそっくりなのだ。ヘアスタイル、メイクが。制作側の意図か?それにしても、バビー人形は、中身が空洞で、ベッカも中身がない。おバカの振りをしていればいいと思っている。おバカの振りをするのには頭が必要なのだ。だから、真っ向から正論を言われて、キレ、殺してしまった。自分を持ち続け、自分の意見を持ち、流されないでいるのは心身共に疲れることをベッカ、あなた、知ってた?大変なのです。
今回の放送は、ベッカ役の子役の子が、とても、印象に残った。

投稿: 時計 | 2008年11月24日 (月) 03時24分

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