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Writers プロフィール

池田敏
アメリカTV・映画ライター。映画誌「キネマ旬報」「SCREEN」やTV誌「TV TARO」に寄稿。最近40歳になりました。


11月29日(土)S4#21「蓄音機」“Torn”

211blog 【STORY】
 1919年6月9日。クラシカルな街並みを親しい人々と歩く若い女性フランシスは、父親アンブローズから“じゃじゃ馬”と罵られて立腹。しかし女性の参政権を主張する女性たちに目がとまり、心がときめく。そんなフランシスだがしばらくして命を落としてしまう。
 そして現在。ペンシルベニア大学で女性学を学ぶ学生エマがリリーを訪ねてくる。祖母のおばフランシスは1919年に何者かに殺されたが、祖母の形見のロケットの中から、フランシスがフィリッパという人物に宛てた手紙を見つけたという。フランシスは婚約者ローレンスに浮気を知られたのか。リリーは、今まで取り組んできた事件で最も古いコールドケースの扉を開く。

 フランシスは6月23日、自宅の2階から転落死していたが、当時の新聞記事の写真の片隅にいるメイドがフィリッパで、その目元には殴られた跡が。どうやらフランシスは結婚して家庭に縛りつけられるのを嫌い、自由に生きることを望んでいた。現在、フィリッパの娘オードリーが殺人課に呼ばれるが、オードリーはランブローズの家が禁酒法の影響で破産したと振り返りつつ、母とフランシスは確かに仲が良かったが性的関係でなかったこと、フランシスがフィリッパを女性参政権論者の集会に誘ったことを思い出す。生前のフランシスの日記からは、彼女とフィリッパが初めて集会に行った日、母親エリザベスが乗り込んできてフランシスを強引に連れ帰ったことがわかる。リリーたちは、運動の指導者アリスがフランシスをスパイと誤解して殺した可能性を疑うが、生前のアリスに会ったことがある大学教授は、アリスとフランシスは意気投合していたと語る。ヴァレンズは当時の警察の記録から、警察に拘留されたフランシスに婚約者ローレンスと父親アンブローズが面会に来たと知り、フィリッパがアンブローズに運動のことを密告していたこと、友人に裏切られたフランシスが父親の説得に折れて帰宅したことを推測。再び現在のオードリーは、母が暴力的な夫に脅され、夫に娘を奪われないよう仕方なく密告したこと、そしてフランシスが留置場のアリスを救おうと決意していたことを振り返る。やがてエマの家から、エリザベスが録音したレコードが見つかる。蓄音機の上で回り出したそれは、長い時を越える意外な告白だった。
 犯人はエリザベスだった。保守的なエリザベスは自分の言うことを聞かない娘と揉み合ううち、娘は2階から転落したのだった。

 一方、リリーは何か問題を起こして留置場に入れられた母親エレンを引き取りに行く。エレンは恋人のジャッキーに捨てられたと嘆き、再びアルコールに溺れていた……。

【今回の深読み】
 セピア色で始まり、セピア色で幕を下ろした今回の「コールドケース」。1本のドラマで2つの時代を描く当番組の真骨頂を思わせる力作だった。
 虐げられた女性たちの歴史が1つのテーマである当番組だけに、女性の参政権が認められる前の時代というのは気合が入った題材に違いない。ちなみに日本で女性参政権が認められたのは1945年だった。
 さて今回、勉強不足の筆者にとって面白かったのは、女性参政権を求めた女性たちは禁酒法にも賛成していたという歴史的事実。これはフランシスの父親アンブローズが犯人かもしれないという可能性を示唆して緊迫感を維持するが、禁酒法と聞いて即、TVや映画の「アンタッチャブル」のような世界しか思い浮かばなかった筆者には目からウロコ。調べると当時、男性の泥酔に批判的な女性たちと女性参政権を望んだ女性たちは重なっていたんだとか。それは考えたことがなかった。
 また劇中、大学教授が“手に入れるのが大変だった参政権なのに、今は大切にされていない”とこぼすが、この人、米国の民主党なのかも。先日、民主党のオバマ候補が次の大統領に決まったが、選挙権がありながら今まで大統領選に投票しない層が動いての勝利という声もある。
 レギュラーの刑事陣では、久しぶりに母親エレンが登場したリリーが主人公の回となった。“コールドケースじゃなくてアイスケースだな”というヴェラに、“アイスピックを出さなきゃ”といって捜査に入るあたりは颯爽としていたが、終盤でエレンが再び酒を口にしてしまう(前出の禁酒法と対になっている!)カットはショッキング。お母さん、あまりリリーをいじめないで……。
 次回は俳優アンディ・ガルシア(おっ、映画版「アンタッチャブル」が出世作なのは奇妙な偶然!?)が監督した話題のエピソード「コンテナ」がついに登場。お楽しみに!

【メアリー・ピックフォード】
 今回の背景となった1910年代、映画がまだサイレントだった頃のスーパースター。当時は“アメリカの恋人”と呼ばれたほどの人気者で、エリザベスがファンだというのは、いかに彼女が保守的かを示す巧い引用。そんなピックフォードだが、後に人気男優ダグラス・フェアバンクスと結婚するも離婚し、実業家に転じて活躍するという、エリザベスよりはフランシスやアリスに近い女性だったのが皮肉。さりげないようで練った人選だ。

【現在のオードリー役のエレン・アルバーティーニ・ドウ】
 1918年生まれで、何と今回の事件が起きた頃から生きていらっしゃる! しかもこの女優さん、約30年も演技やダンスの先生をした後、70歳近くでデビュー。今回は88歳の時に出演し、今後も映画など4本に出演予定。超遅咲きの実力派として長生きしてください!

2008.11.29|エピソードガイド|コメント(0)トラックバック(0)

11月22日(土)S4#20「チアリーダー」“Stand Up and Holler”

20blog 【STORY】 1997年9月1日。ある高校のグラウンドで高校生たちがフットボールの練習に打ち込んでいる。一方、グラウンドの隅では新人チアリーダーの入部審査が行われており、レイニーとセレステの2人が合格する。しかしレイニーの遺体がグラウンドで見つかり、体内からドラッグとアルコールが検出されたため、事件は事故死として処理される。 そして現在。来場者が紙に秘密を書いて貼るというモダンアートの作品から“私がレイニーを殺した”というメモが見つかり、そこには犯人でしか知り得ない情報が。レイニーの母親は、娘はドラッグにもアルコールにも手を出していなかったという。リリーたちはコールドケースの扉を開く。

 スティルマンらはレイニーの親友だったセレステを訪ねるが、ベッカという先輩がレイニーを利用して自分の落ち目ぶりを隠そうとしていたと証言。そして現在のベッカはレイニーが、後にドラッグを精製して退学になった“負け犬”の男子生徒ジョーがレイニーに接近していたと思い出す。そんなジョーは現在、レイニーは純真だったといい、ケイシーというアメフト部員がチアリーダーたちに接近していたと振り返る。そんなケイシーは大学でデート・レイプ事件を起こしていたが、かってチアリーダー同士歪んだ関係があった上、コーチのプルイットに問題があり、抗議したレイニーを脅していたと証言。現在のプルイットは、レイニーが死んだ日の前日、物理の授業でレイニーがベッカを批判し、ジョーがレイニーを応援していたと語る。その教室で意外なものが見つかる。それはモダンアートに貼られたメモにもあったマークの落書き。マークを書いたのはジョーで、彼は取調べに対し、自分がレイニーを殺したと自白する。しかしそれは自分がレイニーを救えなかったという意味。ジョーは当時レイニーがチアを辞めると決めたことを振り返る。リリーはレイニーの代の同窓会の夜、現在のベッカを問い詰める。ベッカは自分とチア仲間たちがグラウンドでレイニーをいじめたのを認めるが、その場にセレステもいたという。
 レイニーの死には、ベッカ、そしてセレステに責任があった。セレステはチアリーダーになって周囲を見返そうとするあまり、親友のレイニーがチアリーダー部を混乱させたことに危機感を抱いた。そして、ベッカにドラッグ入りビールを飲まされたレイニーを、グラウンドに置き去りにしたのだった。

【今回の深読み】
 米国の若者の間にいじめや差別の問題があるというテーマは、今までも第3シーズン「小屋」や第4シーズン「ビデオカメラ」でも取り上げられたが、今回はチアリーダーでいながらチアやアメフト部の体育会(米国ではジョックスという)の腐敗と、その圧力に抵抗した少女の悲劇が展開。
 筆者は日本の学校しか行っていないが、男子はアメフト部、女子はチアリーダーを頂点とするヒエラルキーが全米の高校では当たり前なんだとか。そんなポピュラー(人気者)は、いじめなどで弱者を支配し、こうして強者と弱者の格差はますます広がる。
 かつて全米でヒットしたドラマ「バフィー~恋する十字架」はホラーやコメディの要素を駆使してその陰惨さを薄めていたが、リアルに描くとこうだよ、というのが今回の「コールドケース」だったと思う。
 そんなヒエラルキーだが、実は高校までのもの。大学に入れば勉強が忙しくていじめなんてしてられないし、社会でチアやアメフトが役に立つとは限らない。しかし、虐げられた者の屈辱はけっして忘れてはならないという、番組の作り手のメッセージを感じた。
 話は変わるが、米国の学校のいじめは日本のそれと異なるそうだ。たとえば少数民族をいじめたらそれは差別となるので、親も徹底的に注意する。そして生徒は授業毎に教室間を移動するので(日本は教師が動く)、休み時間にできるいじめは大したことがないという声も。なので1つのソサエティ(たとえば体育会)の中で、ひそかにいじめは起きるという。今回の物語、レイニーの母親が、娘が悩んでいたことに気づいていなかったのは、そんな背景があるからかもしれない。
 さて、筆者はリリーが力強く尋問する場面が大好きだが、今回は後半、“私が行く”と言って現在のベッカに歩み寄ったのがカッコよかった。“あなたはハイスクールのプロムが人生のピークだった”と言い切るなんて、ひょっとしたらリリーも昔はいじめられていたのか。さらにその場を去ろうとするベッカに“そこ一歩も動くな。捕まるよ”と決め台詞。吹替の田中敦子さんの演技もいい!
 刑事陣では、最初のほうでヴェラが、高校時代はアイスホッケーをしていてモテたと振り返ったのが何だか笑えました。

【原題の“Stand Up and Holler”】
 Stand Upは「立つ」で、Hollerは「叫ぶ」(Horror=恐怖と似たスペルなのが面白い)。「立ち上がって叫ぶ」というチアリーダーらしい動作と、ベッカらチア関係者に抗議したレイニーの勇気ある行動、両方にかけた、うまいタイトルだ。

【BGM2曲目の“Wannabe”】
 当時の英国の人気女性グループ、スパイス・ガールズ(Spice Girls)のデビュー曲。本国で7週連続ナンバーワン・ヒットを記録し、世界37か国でナンバーワンに。お時間のある方はネットで歌詞を探してみてください。この場面にあまりにピッタリな内容!

【ラストの曲はレディオヘッド】
 凄い偶然だが、WOWOWは11/28(金)深夜0:30に4年半ぶりの来日公演の中継「Radiohead Japan Tour 2008」を放送!

【現在のベッカ役のローレン・ウッドランド】
 見たことがあるような無いような、と思って調べてみると、子役出身で数多くのドラマにゲスト出演。で筆者が見ていたのはTV版「エイリアン・ネイション」のエミリー役だったが、当時の写真はここの写真の一番手前の少女。これじゃあ思い出せないって!

2008.11.22|エピソードガイド|コメント(2)トラックバック(0)

11月15日(土)S4#19「自転車」“Offender”

19blog【STORY】
 1987年5月9日。住宅街の路上で自転車に乗る練習をする少年クレイトン。補助輪を付けていない自転車は転んでしまうが、父親ミッチはそんな息子を励ます。母親タラは心配そうに2人を見守るが、ついにクレイトンは1人で自転車に乗れるように。幸福な風景だ。しかし、クレイトンは何者かに殺される。
 そして現在。ビルから男性が墜落死するが、自殺ではなく他人に両手を縛られていた。男性は性犯罪で逮捕歴があり、犯人は“毎日1つずつゴミを片付ける。わが子クレイトンの事件が解決するまで”という声明を残す。クレイトンの父親ミッチの犯行だった。リリーたちはコールドケースの扉を開く。

 クレイトンはレイプされた上に絞殺されたが、自転車が消えていた。遺体が見つかったのがミッチの職場で、遺体に付着した体液がミッチの血液型と一致したことなどからミッチは逮捕されて終身刑となったが、控訴審で証拠不十分が認められて釈放されていた。そこへミッチから、兄マイクが性犯罪の被害を受けたヴァレンズに電話がかかる。ミッチはマイクのことを新聞で読んでいて、“真犯人を捕まえてくれ”とヴァレンズに頼む。
 ミッチの別れた妻タラは現在、クレイトンがいなくなった日を思い出し、日曜日なのに郵便局員グラバウスキーがいたことを思い出す。性犯罪歴があるグラバウスキーは現在、ミッチの家のベビーシッター、トリッシュの恋人アダムがクレイトンの下着を洗っていたことを思い出す。現在のアダムはクレイトンと親友のジョニーが“スケアクロウ”という人物からナイフをもらったと証言。現在のジョニーは、スケアクロウとは近所の高校生デイモンで、クレイトンが彼に自転車を奪われた直後、デイモンが庭に何かを埋めていたという。デイモンの家の当時の庭から自転車が見つかる一方、ミッチは再びヴァレンズに電話をかけた後、今度はグラバウスキーを墜落死させて殺してしまう。リリーたちが見つけたデイモンはクレイトンの通夜でタラがミッチと口論していたと証言。現在のタラはその夜、ジョニーの写真を見つけたといい、その姿勢はクレイトンの遺体と同じだった。やはりクレイトンを殺したのはミッチなのか。しかし、現在のジョニーは写真を撮ったのが自分の父親クリフだったと告白。クレイトンを殺したのはクリフだった。
 そこへミッチがクリフをビルの屋上に連れ出したという報せが。捜査陣とSWATは現場へ急行。ミッチは写真のことをヴァレンズに聞き、クリフが犯人だと分かったのだ。ヴァレンズとタラはクリフを殺さないようミッチを懸命に説得。ミッチはクリフの自白を聞くと投降し、警察に逮捕される……。

【今回の深読み】
 重いエピソードが多い最近の「コールドケース」でも、今回は超ヘビー級だった。一人息子を殺されたのに自分が犯人と誤解され、一度は終身刑の判決まで受け、妻にも捨てられた男。事件から20年の間、その悲しみは怒りに転じた。性犯罪者を私刑することで息子が殺された事件を再捜査させるというのは、人間として崖っぷちに立たされたのだろう。筆者は、妻帯者ではあっても子供はいないが、もしも自分に子供がいたらどちらの立場に立っていたか、考えさせられた。だがそんな悲劇をエモーショナルに描くだけでなく、今の米国の性犯罪を取り巻く各事情を社会派ドラマの要素としてきちんと盛り込んでみせたのが、本作の秀逸な点であると確認した。
 レギュラー陣では、今回はヴァレンズが主役か。性犯罪者たちへの厳しい態度はなかなか男らしかったとはいえ、結果としてミッチにヒントを与えるドジをしてしまうあたりがこの男、面白い。
 悲しみが深すぎる悲劇には違いないが、ラストシーン、ミッチとタラが20年にも及ぶ誤解を乗り越えて抱き合った後、最愛のクレイトンが2人に見えた最後のカットは、家族愛の復活を思わせ、さらに感動がこみ上げてきた。そしてユニークなのはその後、製作総指揮2人の名前が映るところが今までの本作と異なり、白地に黒い文字で書かれたこと。細かい工夫まで手抜かりなしだ。

【女性検事補トマス】
 第4シーズン第7話「日食」以来の再登場だが、今回はヴァレンズと対立ムードが濃厚に。今後も登場するので要チェック。

【グラバウスキーの足首にあったもの】
 GPS(グローバル・ポジショニング・システム=全地球測位システム)を使った発信機。米国では過去に性犯罪を起こした者に再犯させないよう、こうした足輪を装着させて居場所を把握しようという試みが実行中だ。

【メーガン法】
 1994年に米国ニュージャージー州で成立した性犯罪者情報公開法の俗称。他州、たとえばフィラデルフィアがあるペンシルベニア州でも、連邦法のもとに導入されている模様。過去に性犯罪を起こした者を、再犯率が高いという理由でその居場所の情報をネットなどで公開するものだが、再犯抑止に本当に効果があるかどうかなどまだ議論されている。

【“スケアクロウ”】
 リリーも言っていたが、コミック「バットマン」の悪役キャラの1人。映画「バットマン・ビギンズ」と続編「ダークナイト」(やはり傑作でしょう)にも登場した。これがあだ名というのはデイモンの暗い性格を象徴?

【グラバウスキーの遺体が見つかった場所】
 筆者は9月、LAで米国のドラマの収録を幾つか取材したが、この路地にも行っていたのでびっくり。「ザ・ユニット 米軍極秘部隊」シーズン4のロケ地の1つがダウンタウンのこの裏路地だ。もしも見たらよーく見てください……といっても、カメラの向きが違うので分かんないかも。ひょっとして私も!?

2008.11.15|エピソードガイド|コメント(0)トラックバック(0)

11月8日(土)S4#18「宝くじ」“A Dollar, A Dream”

181blog_2 【STORY】
 1999年9月13日。1台のステーションワゴンが住宅街を走っている。しかし、停まる場所はどこにも無い。車内では幼い姉妹、姉ナタリーと妹アビーが家が無い生活に不平をこぼすが、運転する母親マーリーンは娘たちに言い聞かせる、“好きな家に住めるわ、いつかね”。その後、ステーションワゴンはどこか水の中に沈み、運転席にはマーリーンが……。
 そして現在。環境保護グループがある公園の池を調べるとモーリーンの車が沈んでいて、中には小口径の銃で射殺されたモーリーンの遺体が。しかし他の家族は見当たらない。リリーたちはコールドケースの扉を開く。

 マーリーンは夫をガンで失い、巨額な医療費のため全財産を失った。現在のナタリーは母親が自殺したと信じていたが、元の家を出た最初の夜に行ったホームレス用シェルターを思い出す。そこでモーリーンと口論になった元ホームレスのヴィータは犯行を否定し、マーリーンが勤め先のスーパーで、オーナーのアニルを移民局に不法移民の雇用を訴えると脅していたと証言。だがそんなアニルは当時マーリーンに同情し、護身用の銃を与えたと振り返り、ホームレスのホッパーがマーリーンに接近していたのを思い出す。ホッパーはマーリーンに宝クジを贈り、当たったら100万ドルの賞金を山分けする約束をしたが、アビーを乗せたまま車がレッカーされる事件が発生。レッカー係のトニーも疑われるが、トニーはアビーが銃を隠していたと証言し、現在のアビーはマーリーンに反発したナタリーが銃を持っていなくなったと振り返る。そしてナタリーはホッパーにもらった宝クジが25ドル当たったことを思い出す。
 犯人は100万ドルの宝クジが当たったと勘違いしたホッパーだった。分け前を迫るうち、ついマーリーンを殺してしまったのだ。
 一方ジェフリーズはスティルマンから警告を受けながら、妻メアリーをひき逃げした男ケラーに犯行を認めるよう詰め寄るが、意外な結論にたどり着く。それは……!?

【今回の深読み】
 2人の幼い娘がいながらホームレスになってしまった女性。彼女から命を奪ったのは、やはりホームレスだった……という、今回も重い気持ちにさせられるエピソードだが、同時に米国社会の矛盾を反映している。
 今回のエピソードが全米放送されたのは2007年3月で、サブプライムローンの問題が浮上しだした頃のはず。この問題は1年半後、現在の世界金融危機を生み出すが、モーリーン母子がホームレスになった理由は別だとはいえ、現状を先見したかのようで脚本に感心させられる。また、モーリーン母子が亡き父のため高額の医療費を払わされたというのも国民皆保険が実現していない米国では大いにありうる話で、最近WOWOWも放送した映画「シッコ」でも詳しく描かれていた。また、スーパーのオーナーのアニルが“大型店に押されていた”と愚痴るが、米国では大手の大型スーパーが小さなスーパーや小売店から客を奪い、空洞化の問題を起こしている。
 もう1つ気になったのは、1999年の事件なのに回想場面はモノクロだったこと。近年の事件の回想場面はカラーであることが多い「コールドケース」であるのに、あえて事件を古く見せようとした狙いだが、想像するに昔も今もこれらのような悲劇は無くならないという作り手の視点があるからではないだろうか。富める者がいる一方で貧しい者がいる。その事実はなかなか変わらないのだろうか。
 そうしたメインのストーリーにも感銘したが、今回の大きな見せ場になったのはジェフリーズの決断。刑事として踏み外してならないところでぐっと踏みとどまった、その勇気に拍手したい。亡き妻が好きだったマイルス・デイヴィスのアルバムという小道具も泣かせる。スティルマンも、上司というより親友としてジェフリーズを心配したかのようで、この2人、筆者は同じ男から見て憧れるよなぁと感動させられることが多いぞ!

【アイザック役のジョン・ディール】
 前回からジェフリーズの妻をひき逃げした男、ケラーに扮しているのは、懐かしの刑事ドラマ「マイアミ・バイス」で三枚目の刑事ジートを演じたディール。以後、色々なドラマにゲスト出演しているので、お久しぶりってことはありませんけど……。

【今回の選曲】
 細かいようだが、今回は全曲、女性ボーカルの曲だった。亡くなったマーリーンへのレクイエムのようでもあり、残された娘2人への応援歌(?)でもあったように思える。

2008.11. 8|エピソードガイド|コメント(2)トラックバック(0)

11月1日(土)S4#17「ダンサー」“Shuffle, Ball Change”

Photo17_2 【STORY】
 1984年9月15日。スーパーを経営するパットは店で、レスリング選手である息子グラントがジュニア・オリンピックの強化選手に選ばれたことを誇らしげに発表する。そして店にいたグラントの弟モーリスは、父パットから将来の目標を持てと説教される。そんなモーリスは行方不明になってしまう。
 そして現在。ゴミの投棄場からモーリスの白骨遺体が見つかる。遺体の損傷の仕方は、モーリスが何者かに殺されたことを語っていた。リリーはコールドケースの扉を開く。

 現在のパットやグラントは、生前のモーリスが町の主流の男たちのようにスポーツを好まず、本や音楽が好きで、誰かに殴られていたと振り返る。またグラントは弟が近所のダンス学校を窓から覗いていたと明かす。ヴァレンズたちがダンス学校を尋ねると、グラントに殴られているモーリスを救った女性、クリスタルがいて、モーリスが亡くなった母親の影響でダンスに興味があり、当時のクリスタルの気の荒い恋人カルロスが、モーリスを挑発したのを思い出す。現在のカルロスは、直後に自分がモーリスをダンス・コーチのリロイに引き合わせたといい、現在のリロイはモーリスの熱意にほだされ、彼にダンスを教えたと言う。モーリスはめきめきとダンスの腕を上げ、クリスタルとも親密になっていったという証言が。現在のクリスタルはモーリスとの交際を認め、意外な事実を明かす。ある日モーリスが突き飛ばしたせいでグラントは膝を負傷してオリンピックをあきらめ、パットはモーリスを罵倒したという。だが現在のパットは、ダンス学校の入学オーディションでモーリスが熱心に踊る姿を見て、彼の才能を認めたことを思い出す。
 犯人はグラントだった。強化チームについていけないグラントは、オリンピックをあきらめて父親の期待に背くのを恐れ、ケガを偽装すると共に、急に弟が父親に認められたのが悔しく、犯行に及んだのだった。
 一方、11年前にジェフリーズの妻メアリーがひき逃げされた事件の有力情報が。ジェフリーズは犯人らしき男ケラーに会いに行き、ケラーこそ犯人だと確信するが……!?

【今回の深読み】
 1967年生まれの筆者には自分の少年時代、1984年のことが次々と頭に浮かぶノスタルジックなエピソードだった。ラストシーンも、いつも以上にMTV風に見えたし。1984年といえば前年に映画「フラッシュダンス」が大ヒットし、エアロビクスやヒップホップなどのダンスが流行した頃だ。ついでにいうとダンス教師リロイの名前は「フェーム」の登場人物が元ネタかとかツッコミたいし、ウィキペディアなしで今回のBGM全曲に一言はふれられる自信もある。しませんが(笑)。
 同時に、マッチョな男性が持てはやされた時代だった。たとえば映画界ではシルヴェスタ・スタローンが「ロッキー」と「ランボー」で人気で、1984年には「ターミネーター」でアーノルド・シュワルツェネッガーにも注目が集まった。兄がマッチョで弟がダンス好きだったら……というのは面白い着想だ。そして1984年はロサンゼルス五輪が開かれた年でもある。
 とはいえ今回は、ほぼ間違いなく英国映画「リトル・ダンサー」が下敷きだろう。筆者も感激したのを覚えていた映画だが、忘れていたが、これも1984年の物語だったのだ。今回のエピソードの邦題を考えた人も気づいた? お薦めの映画なので未見の方はぜひ。
 ミステリー的には前半、グラントがモーリスを殴った時点で犯人が分かってしまった気もするが(動機もたっぷりだし=苦笑)、あまりに1984年の雰囲気たっぷりな今回は、筆者のフェイバリットに加わった。
 レギュラー・キャラだが、かつて筆者はジェフリーズの妻の事件に“コールドケースでは?”とツッコんでいたが、本当にそうなるとは。犯人に逃げられないよう応援したい!

【1曲目“Heat of the Moment”のエイジア】
 当番組のファンにとっては、第3シーズン第22話「ポーカー」のラストに流れた“Only Time Will Tell”でもおなじみ。当時は他にも“Don't Cry”“Smile Has Left Your Eyes ”などのヒット曲もありました。

【5曲目“I'm Free (Heaven Helps the Man)”】
 1984年の青春ミュージカル映画「フットルース」の挿入曲で、歌ったのは主題歌“Footloose”も歌ったケニー・ロギンス。この映画、「ハイスクール・ミュージカル」のザック・エフロン主演でリメイクが決まった!

【モーリス役のネイサン・ハリデイ(Nathan Halliday)】
 今回はこの人の踊りが盛り上げてくれたなぁと思い、ついIMDb(http://www.imdb.com/name/nm2524008/bio)を調べたら、1988年ニューメキシコ州生まれで、おそらく今回が俳優デビュー! 続いて「CSI:科学捜査班」の第8シーズンの第2話にもゲスト出演したようです。いきなりこんな若者が出てくるとは、米国って層が厚いとあらためて感心!

【クリスタル役のヴァネッサ・ウィリアムズ】
 かつてWOWOWも放送した海外ドラマ「メルローズ・プレイス」の第1シーズンでロンダを演じていた女優。本人も「アグリー・ベティ」のヴァネッサ・L・ウィリアムズとよく間違えられることを認めているとか。でもこちらは女優業と並行し、シンガー・ソング・ライターとしても活躍しているとか。

2008.11. 1|エピソードガイド|コメント(0)トラックバック(0)


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