2005年2月12日。ベーカー通りのアパート。必死に火事を消そうとする消防士たち。住人のプリシラは、4階にいる自分の赤ちゃんを助けてほしいと消防士の1人に懇願。だが建物から戻った別の消防士は、絶望的な表情を見せる。プリシラの生後8か月の息子マックスは事故死したと扱われる。
そして現在。麻薬課のサッカルド刑事に呼び出されたリリーは、ヘロイン常習者だというプリシラと留置場で対面。何とプリシラは、公園でマックスを見かけたという。
生前にケンカした母親を思い出したリリーはプリシラを相手にしない気だったが、何かが引っかかってコールドケースの扉を開く。
火事は、貧しいプリシラが暖房代わりに付けていたガスコンロが原因とされたが、火元は別室だった可能性が浮上し、放火の線で捜査が進む。火事のため、巨額の保険金を受け取ったアパートの経営者ヴィクターは当時、麻薬を絶っていたはずのプリシラがドラッグの大物ディーラー、フランクリンと会っていたと証言。しかし火事の頃、逮捕されていてアリバイがあるフランクリンはプリシラがマックスの父親である麻薬中毒者、エリスに詰め寄っていたことを振り返る。エリスが行っていたリハビリセンターのカウンセラー、ロイスは、金に困ったプリシラがエリスに生活費を求めていたと思い出す。マックスの遺体から骨折の跡が見つかり、プリシラによる虐待説が浮かんだ頃、釈放されたプリシラは行方知らずに。
リリーたちはプリシラの家で何枚もの小切手を発見するが、どれも換金していないことを知る。小切手を送ったのはプリシラの母親だったが、娘にマックスを養子に出すよう説得して断られたと振り返る。やっと見つかったエリスは、火事の頃プリシラが子供のために麻薬から足を洗ったと証言し、彼女が花市場にいると推測する。マックスの遺体から重大な事実が分かる。遺体は生後4か月で、マックスではない赤ん坊だった。殺人ではなく誘拐なのか。リリーたちに発見されたプリシラは取り調べに対し、なかなか麻薬を止められず、貧乏から抜け出せなかった自分はアパートのヒーターが故障したため、暖かい花市場で過ごすのが唯一の気休めだったと証言。放火はプリシラが花市場に出かけた間になされていたが、それを知るエリスもアリバイがあって犯人である可能性はない。しかし、もしもエリスが誰かに話したとしたら……。
犯人は、ロイスと医師であるその夫トムだった。子供を持ちたいと願いながら子宝に恵まれない夫妻は、麻薬中毒者が親になって育児放棄したり、子供を虐待することに憤りを覚え、トムの病院にあった被虐待児の遺体をマックスとすり替え、子供部屋に火を放っていた。ロイスとトムに育てられていたマックスはリリーに見送られ、久しぶりに本当の母親に抱きしめられる……。
【今回の“深読み”】
いよいよ今シーズンの最終回。ラストは、亡くなったと思われていたマックスが母親プリシラと再会する、ほっとひと安心の場面。リリーが撃たれた前シーズンのラストと対照的なのが面白いともいえる。
さて、今回は“ドラッグ”を題材にした社会派風のエピソード。2009年、日本の芸能界でもドラッグ汚染が問題になっているが、今回の犯人夫婦に少しだけ同情しそうになったのは、ドラッグに手を染めた者の子供はどうすればいいのかということ。まだ幼い子供に罪はないが、麻薬常習者に子育てができるのかどうか。プリシラは何度も麻薬を止めようとし、その度に失敗してきた(麻薬は恐ろしい)。冬は寒いフィラデルフィア(映画「ロッキー」シリーズが思い出される)で、暖さえ取れぬ貧困にあえいでいたプリシラ(対になるよう花市場を幻想のように描いた演出が巧い)。息子と再会した今後こそ立ち直ってほしいと願いたいが、現実には裕福なロイスとトムに育てられていたマックスがこれからプリシラとどう新生活に取り組むか、正直いって少々心配でもある。最後の母子の再会シーン、途中に登場したプリシラの両親もいたほうが安心できたと筆者は思ったが、どうか。それと、ヒーターを直さなかったアパート経営者ヴィクターに天誅を!
あと「コールドケース」らしかったのは、リリーの心情を掘り下げたこと。前シーズンで亡くなった母親に対し、リリーは愛情と憎しみの両方をまだ抱いているようだ。
そして今回、社会復帰しようと悪戦苦闘するプリシラに、憤りと同情の両方を感じたに違いない。“もしも自分が母親だったらどうするか”、そんな考えが頭に浮かんだとしたら、リリーもそろそろ結婚を意識するのか、それとも引き続いて自由に生きるのか。軽い印象で実はデキる男に思えてきたサッカルド刑事との関係共々、次シーズンのリリーが気になる!
さて、これにて「コールドケースブログ」第5シーズンは終了(今までよりエピソード数が少なかったのは全米脚本家組合ストの影響)。個人的には現時点で、番組史上2番目か3番目位に好きなシーズンでしたが、みなさんはどうですか。5か月の間のご愛読、どうもありがとうございました。第6シーズンでまたお会いできることをお祈りしつつ……お元気で。
【今回のモデル!?】
調べたら、今回の事件と似た実話が米国にあった。しかも「コールドケース」の舞台と同じフィラデルフィアで。1997年冬、ある家で火事が起き、ルス・クエバスという女性の娘の赤ちゃん、デリマーが命を落とした。デリマーの遺体は高熱で燃え尽きたと考えられるが、クエバスはデリマーの部屋の窓がなぜか開いていたのが気になった。それから数年後、クエバスはあるパーティでデリマーに似た少女を見かけてびっくり。こっそり髪の毛を数本抜いてDNA鑑定に出すと、何とデリマーと一致! フィラデルフィア市警はクエバスの友人だった女性、キャロライン・コレアを放火・誘拐の罪で逮捕した。しかし、クエバスとデリマーがいきなり再会するのは難しいと考えられ、実現までには時間がかかったという。
2009.11. 8|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
1962年9月16日。夜に自宅の窓際でタイプライターを打つ女性ナンシーは、屋根裏部屋から聞こえる不気味な音が気がかり。そこに現れた夫ダニエル(ダン)や幼い娘レイチェルのおかげで幸福な気持ちを取り戻すが、まだ音が気になる。直後、屋根裏部屋でナンシーがロープで首を吊っているのが見つかり、警察は自殺として処理する。
そして現在。ナンシーの孫リズが殺人課を訪ね、祖母が自殺した家から祖母の遺書が見つかったが、筆跡が祖母と異なると主張。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
ナンシーの夫ダニエルは大学教授であり詩人だったが、妻が亡くなった夜、仕事で家にいなかったこと、そして娘のレイチェルが遺体の第一発見者だったこと、ナンシーが最初の夫を交通事故で失い、ダニエルと再婚していたことが分かる。現在のレイチェルは母の死を思い出したくないようだが、母とかくれんぼをした日、屋根裏部屋に行って母に怒られたこと、屋根裏部屋に閉じ込められたことを振り返るが、誰かに閉じ込められたようではなかったと証言。現在のダニエルは、家政婦のアネットが家や屋根裏部屋の鍵を持っていたと語るが、現在のアネットはナンシーが音だけでなく風までも怪しんでいたこと、タイプライターにドラモンドという人物がメッセージを残していたこと、同じ頃、家の前に茶色のステーションワゴンが停まっていたことを思い出す。ステーションワゴンや当時の記録の線から、ダニエルの教え子ブルースの存在が浮上する。だが現在のブルースは、同性愛者の自分はナンシーでなくダニエルに関心があったこと、ある夜にナンシーが屋根裏部屋で首吊り用のロープを見つけていたことを思い出す。
警察に呼ばれたダニエルは、ナンシーがロープの注文書を持っていながら、なせか身に覚えがないと言っていたと証言。一方、ロープを売った店でヴァレンズが当時の主人の孫から話を聞くと、ナンシーがロープを買った時、“ドラモンド”と書かれたペンを持っていたと分かる。ドラモンドとは、心の病を持った患者を収容する病院で、当時の看護師長はナンシーが、自分が何者かに付きまとわれていると言いに来たこと、彼女の母が事故死したのではなく、遺書を残して病院の物置で首吊り自殺したとナンシーに明かしたことを語る。意外な事実が判明する。ナンシーの母親のカルテに偽のサインをした人物と、ロープを注文した人物、いずれも筆跡はアネットだった。現在のアネットは、すべてに恵まれていたナンシーに嫉妬し、彼女を家から追い出したかったことを認めつつ、レイチェルを屋根裏部屋のトランクに閉じ込めたのは自分でないと主張。ヴァレンズはかつて自殺した恋人エリッサのことを思い出して捜査にのめり込んでいたが、冷静になってレイチェルを訪ねる。レイチェルは自分が母親にプレゼントしたお絵描きの紙をまだ持っているという。
犯人はダニエルだった。レイチェルは、自分がお絵描きした紙がダニエルのデスクにあったというが、その表にはナンシーが自作の詩をタイプしていた。当時、詩が書けずに悩んだダニエルはナンシーの詩を盗作したが、その事実を隠そうとアネットに手伝わせて、ナンシーの心が病んでいるかのように偽装。それがナンシーにバレたため、ナンシーの首を絞め、ロープに吊るしたのだった……。
さて、ジェフリーズはブルースの家のセクシーな家政婦ベルを気に入ったようだが……!?
【今回の“深読み”】
今回の「コールドケース」も重くて苦いエピソードだったが、ホラーっぽく演出されているのがこの番組としては意外と斬新で、フレッシュに思ったのは筆者だけだろうか。
ある登場人物の心が病んでいるのではないかと周囲が偽装するプロット自体、よくも悪くもサスペンス的に定番で、それを「コールドケース」風に描いたのが今回は楽しかった。単独犯による犯行でなく共犯者がいたのも、ミステリー好きには楽しめたと思える。
但しこのエピソード、心を病んだ者の子孫も心を病みがちという歪んだ視点の上に終始立脚しているようで、筆者としてはいかがかと思った。そういう視点を差別と見なし、抗議して弾劾していくのが「コールドケース」というドラマだと思うのだが……。
もっとも、レギュラー・キャラに目を向けると、いつもは渋いジェフリーズが聞き込み先で知り合ったセクシーな家政婦ベルに、いきなりハートをわしづかみにされたのが意外で、そこは面白かった。何なんですか、パイとかミルクとか(爆)。それを見つめるヴェラの目が、思わず点になっていると感じたのは筆者だけだろうか。
それと、暴走しがちなヴァレンズが、やはり過去の恋人エリッサのことをまだ忘れられずにいるというのは、「コールドケース」をずっと見ているファンなら、ちょっと同情してしまったのではないか。一連の暴走の原因がそうだとしても、彼には早く幸せになってほしいと願うばかりだ。
【シンディ・ローパー】
1980年代から現在まで活躍を続ける米国の女性歌手。「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」(旧題「ハイスクールはダンステリア」=笑)、「タイム・アフター・タイム」、「グーニーズはグッド・イナフ」などの曲がヒット。どんな風貌か、ネットで画像を探せば、ヴァレンズがそう呼んだことに頷けるはず(但し最近の風貌は大人しめ)。
【カッコーの巣】
心の病を持つ人々を描いた小説および映画「カッコーの巣の上で」でも知られる通り、そういう人々を収容した施設を示す。
【ラストの曲“The End of The World”】
この曲、今シーズンの第9話「ドレス」で、サムがレッドたちに取り囲まれ、いじめられるシーンでも流れていました。同じ曲が、しかも同じシーズンで使われるのは珍しい!?
【ナンシー役のエミリー・ローズ】
TV「ブラザーズ&シスターズ」第2シーズンではリナを演じた。「ER 緊急救命室」第15シーズンにも準レギュラー出演している。余談だがこのエミリー・ローズという名前がホラーっぽい今回に、妙に合っていたと思うのは筆者だけ?
【現在のダニエル役のロニー・コックス】
米国の映画・TV界の名バイ・プレイヤー。「ビバリーヒルズ・コップ」「ロボコップ」「トータル・リコール」などの大ヒット映画に出演。
【現在のレイチェル役のフランシス・フィッシャー】
英国出身で、ブロードウェイを経てハリウッドに渡り、「許されざる者」「タイタニック」「砂と霧の家」「告発のとき」などの映画に出演。クリント・イーストウッドの娘、フランチェスカ・フィッシャー=イーストウッドの母親でもある。
【リズ役のブレア・グラント】
その後、人気ドラマ「HEROES/ヒーローズ」の第3シーズンで、猛スピードで走る新キャラ、ダフニを演じているが、やはり髪形はシンディ・ローパー風(笑)。
2009.11. 1|エピソードガイド|固定リンク|コメント(4)|トラックバック(0)
1997年9月7日。フラックヴィル刑務所の一角。強盗罪で12年間も服役してきた男、ピート・ドイルが出所する日だ。他の受刑者たちにピートは、今後は改心して悪の道から足を洗うと誓うが、きっかけは彼に届いた息子ピーティからの手紙だという。ピートは出所したらすぐに愛する息子を訪ねたいと望みを語る。だが、ピートは何者かに殺される。そのそばには44口径リボルバーの拳銃……。ピートの死を知る者は犯人だけなのか。
そして現在。麻薬課のガサ入れの現場に呼び出されるリリーたち。ドラッグの売人の部屋の冷蔵庫から、切断されたピートの右手が発見されたという。売人は10年前、路上に倒れていたピートの遺体から右手と拳銃を盗み、ピートの指紋を売って金にしていた。ピートは改心しなかったのか、それとも……。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
逮捕される前のピートはノースフィリーの町で《ピストル・ピート》のあだ名で呼ばれ、“現代のジェシー・ジェームズ”ともいうべき市民の味方だった。しかしピートの当時の妻で、今はバーニーという男性と再婚したジュールズは、出所から1時間後、ピーティに会いに来たピートを追い返したと語る。また、当時のピートの相棒だったトミーは、再びピートを犯罪に誘っても拒絶されたと振り返り、本気で更生しようと決めたピートは懸命に堅気の仕事を探していたという。そして現在のピーティは、出所後のピートとあと1回しか会っていないと語る。バーの掃除の仕事にありついたピートを訪ねたピーティは、そこでピートを面白く思わない警官のダニエルにピートが挑発されながら、それに耐えたと語る。警察を引退した現在のダニエルはピートを憎んでいたと認めるが、トミーが大きなヤマを計画していたことを明かす。
トミーはジェフリーズから執拗な尋問を受け、弁護士の立会いを要求。リリーはそんなトミーから、ピートが結局その計画に加わったこと、その計画を練ったのが実はピーティだったことを聞き出す。かつて学校に拳銃を持ち込んだ前歴が見つかったピーティは再び警察に呼び出され、やはり父親が自分にとって英雄だったこと、しかし犯行当日、父親に諭されて計画に加わらなかったを語り、ピートたちが襲う予定だった現金輸送車を運転していたのが、現在の父親バーニーだったことも告白する。現在のバーニーはピーティを気づかいつつ、輸送車がピートとトミーに襲われたことを認めるが、ピートの態度は紳士的で、彼に警察への通報を勧められたと明かす。その際にピートは何回も“大当たりだ”と口走っていた。元麻薬課のミラーによれば“大当たり”は潜入警官が使う合言葉だった。
犯人はダニエルだった。カネを目当てにトミーたちの計画に加わったダニエルだが、犯行中にピートが警察への通報を促したと知ると、今までの恨みもあってピートを44口径で射殺したのだ。事件解決と同じ頃、ピーティはジュールズのもとを訪ね、ピートが刑務所から自分に送ったのに今まで彼女が隠していた手紙の1通1通に目を通しだしていた……。
【今回の“深読み”】
犯罪者の道から足を洗おうと決めた男と、犯罪者としての父親を英雄だと崇めた息子。2人の意識の“ずれ”が悲劇を生んだ、今回の「コールドケース」。具体的な社会問題を背景にすることが多いドラマだが、今回はよりシンプルかつ普遍的に、人が進みたいと望む道と周囲から期待される道との間にギャップがあることの矛盾をダイレクトに描いた、エモーショナルなエピソードに仕上がっていたと思う。
振り返ると今回、それぞれのキャラクターが“ずれ”に悩んでいた。ピートを筆頭に、いい子になるよう望まれながら父親のような“英雄”になりたいと望んだピーティ、出所した相棒ピートが善人に生まれ変わりたいと望んで戸惑ったトミー、市民に尽くしたいと望み、犯罪者を取り締まりながら現実には借金に苦しんでいたダニエル。ピーティの親なのに、彼が元父親を崇拝していたジュールズやバーニーにも同じ苦悩はあっただろう。
中でもピートは、ある意味で殉教者のようであった。クライマックスの回想シーン、ダニエルに拳銃を突きつけられたピートがひざまずく姿勢が、神に祈る者のように見えたのは筆者だけだろうか。善人に生まれ変わったというピートだが、しかし、それまで犯罪を繰り返してきた彼は、自分が思っている以上に罪を背負っていたに違いない。その贖罪の方法は唯一つ、自分の命を投げ出すこと。そしてピートはそれを実行した。
哀しい現実だが、1つだけ希望を残した。それはピートがピーティに送りながら、これまで隠されてきた手紙の数々。そこに何が書かれていたかを知ることは、TVの前の我々に知ることは出来ない。しかし、だからこそ大きな余韻を残す。社会の中で生きることはけっして綺麗ごとだけでは済まされない。どうすれば“ずれ”を無くすことができるのか。その答はおぼろげに、しかし確かに、1人1人の心の中に秘められているはずだ。
【キャグニー】
1980年代、エミー賞のドラマ・シリーズ作品賞に2度も輝いた傑作TVドラマ「女刑事キャグニー&レイシー」の主人公は女性刑事のコンビ。キャグニーは独身のブロンド女性のほうの名字。
【セルピコ】
1973年の映画「セルピコ」で有名になった実在の麻薬課刑事、フランク・セルピコのこと。ニューヨーク市警の汚職を内部から告発したことで知られる。ここでは署内でのはみ出し者として、リリーはサッカードをこう呼んだようだ。
【サッカルド役のボビー・カナヴェイル】
麻薬課のオフビートな刑事だが現場経験が豊かで記憶力にも優れ、リリーにも関心がありそうなサッカルド。ここだけの話、これからも登場する要注目キャラ。演じるカナヴェイルは、かつてWOWOWが放送したドラマ「サード・ウォッチ」で救命士ボビーを演じたカナヴェイル。どんなイメージチェンジを見せてくれるのか、今後もご期待を。
【ピート役のジョン・パイパー=ファーガソン】
ピート役を存在感たっぷりに演じた1964年オーストラリア生まれの俳優。色々なドラマにゲスト出演しているが、最近では「ブラザーズ&シスターズ」でジョー・ウェドンを演じている。
2009.10.25|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
2007年8月12日。ブレンダとデヴィッドの婚約を祝うパーティの会場。友人たちはビデオカメラに向かって2人へのメッセージを語りかける。幸せいっぱいのブレンダは、30年後に2人は介護ベッドで孫たちに囲まれているだろうとカメラに話す。その背後で、駐車場にライトを消し忘れた車があるという声が。ブレンダの車らしく、彼女はデヴィッドにキスすると駐車場へ。しかし彼女は会場に戻らず、心配したデヴィッドが探すと、駐車場には彼女のブーケが落ちていた。そしてそれには真っ赤な血が……。
数か月後の現在。ウエストヴァージニア州からフィラデルフィア市警に、ブレンダが失踪した際に駐車場で目撃された車が盗難車として発見されたという連絡が。すでにブレンダは殺された後かもしれないが、まずは盗難車を運転していた容疑者を取り調べなければならない。ブーケについた血も容疑者のものだ。車でウエストヴァージニアに行って帰ってくるのに一晩はかかりそうだが、まずリリーが、そしてヴァレンズが護送役に志願。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
ウエストヴァージニアの警察に到着したリリーたちは容疑者ジョン・スミスを引き取り、帰りの車内で事情聴取を開始。しかしスミスはリリーがケンジントン生まれなのか尋ねるなど、リリーたちを挑発。そんなスミスはブレンダのことを熟知しているように振る舞って彼女を油断させた上、彼女を誘拐したと自白するが、性的な目的は無かったという。デヴィッドによれば、ブレンダはパーティ用に自分たちの思い出を集めたビデオを準備していた。また盗難車がニューアークの町で駐車違反を重ねていたと分かり、ヴェラとミラーは現地へ。ある建物を怪しいと睨んだ2人が突入すると、人間を監禁するためと思しき地下室が見つかる。しかしブレンダの姿は見当たらない。スミスがやたらとブレンダについて詳しいことから、彼が思い出ビデオを見ていた可能性が浮上する。
調べると、スミスがビデオ編集会社に勤務してブレンダたちのビデオを見ていたこと、そしスミスが1年毎に都市から都市へと転職していること、各都市で1人ずつ女性客が失踪していることが分かる。スミスは5つの都市の5つの地下室で、5人の女性を監禁していた。しかしニューアークで見つかった遺体はブレンダでなく、以前スミスに誘拐された1人だった。ミラーはこれまで犠牲者たちを映したビデオを見比べ、彼女たちにはいずれも“心の支え”があったと気づく。ついに怒りが爆発したヴァレンズは車を停め、力づくでスミスからブレンダの居場所を聞き出そうとするが、スミスはあっさりと少し先の森の中に隠したと証言。リリーたちがスミスを連れて向かうと、そこには干乾びた井戸が。子供の頃、そこで溺れていた女性を見殺しにして以来、スミスは“心の支え”を失った女性に異常な関心を寄せるようになった。
だがリリーは、ブレンダが最後に口ずさんでいたというメロディをスミスから聞き、ひらめく。“悲しみと恐れを追い払い、道を照らせ”。それはケンジントンの教会の鐘が毎朝奏でる歌だった。ブレンダの心はまだ折れていなかった。リリーはケンジントンに急行し、教会の近くの建物の地下室で、まだ生きていたブレンダを発見。ブレンダは再会したデヴィッドと強く抱き合うのだった……。
【今回の“深読み”】
今回はいつものパターンから飛び出した「コールドケース」。最後に犯人が分かるのではなく、先に犯人が自白した上、まだ生きているかもしれない被害者を探すというサスペンス感重視の構成で、これはこれで楽しめた。
原題は“The Road(道)”。これはリリーたちがスミスを護送した道(真っ暗だったのが実に象徴的)であると同時に、事件解決の糸口となった歌の一部、“道を照らせ”の“道”であるのが巧い。誰もが胸に抱く“心の支え”に懐疑的なスミスは、恐らく神も信じていないのだろう。だからこそ、ブレンダが口ずさんだのが教会の歌であると気づかず、リリーに逆転されてしまった。今回リリーが、苦手なはずの“森”(第2シーズンを思い出そう)でがんばったのもファンには嬉しかった。
さらに深読みすると、スペルは異なるが、The RoadはThe Load(神)と似ているのが興味深い。theがつかないLoadには権力者・主人という意味もあって、それはスミスが被害者たちを利用してなろうと野望を抱いたものだったかも。
そして今シーズン第8話「ゲーム」に続いて連続殺人事件が題材だったのも見もの。特に今回は複数の州で事件が発生し、あと数時間で「クリミナル・マインド」でおなじみのBAUが駆けつけていただろう(多分=笑)。しかし、殺人課の面々はそれぞれ奮闘し(地下室を見たスティルマンが「捕虜収容所のようだ」と言ったのはさすが戦場帰り)、FBI到着の前に(?)事件を解決。ここまでホッとさせられた結末は第4シーズン第8話の「ホタル」以来か。
不気味な名前のジョン・スミス(後述)がなぜこんな性格になったかという背景こそ見えないが、やるべきことをやったリリーたち(例によってヴァレンズは荒っぽすぎたが結果的にOK?)に拍手を送りたいエピソードだった。今シーズンはあと残り3話。引き続いて楽しみたい!
【ジョン・スミス】
英語圏で最もよくある名前の1つ。それが転じて日本でいう“名無しの権兵衛”的な使われ方をされる。殺人課の資料箱に書かれた身元不明の犠牲者、John Doe(男性)とJane Doe(女性)もそう。だからこそ本作の犯人には、まさに得体の知れない怖さがあった。
【ニューアーク】
日本人にとってはニュージャージー州にある空港が思い出されるが、実は全米各地にある地名。フィラデルフィアにも実在する。
【BGM1曲目を歌ったRihanna(リアーナ)】
お気づきの方も多いだろうが、前話「ピアノ」で最初にかかったBGM“SOS”も歌姫リアーナの曲だった。2話連続で1曲目が同じアーティストの曲だったのは番組史上初!
2009.10.18|エピソードガイド|固定リンク|コメント(4)|トラックバック(0)
2006年12月4日。ある夜、学校の校長室に忍び込んだ2人の男子生徒、アンディとカルロス。引き出しの中にウォッカの瓶を見つけて大喜び。2人はそれを寮のパーティーで学友たちにふるまうが、どんちゃん騒ぎの渦中に女性の校長ヴィヴィアンがやって来る。その学校はろうあ学校だったが、アンディは手話で校長を言いくるめあと1曲だけ騒いでいいと許可を得る。盛り上がる若者たち。だが数日後に始まったクリスマス休暇にアンディは自宅から姿を消す。警察は彼が家出したものと考え、失踪事件にしていた……。
そして現在。ろうあ学校の倉庫にあるピアノにアンディの血液が付着しているのが判明。科学捜査班が血液に反応するライトを当てると、倉庫中に血を拭き取った跡が。失踪事件ではなく殺人事件の可能性が高まる。リリーたちはコールドケースの扉を開く。校長によればアンディは両親も揃ってろうあで、7歳の時に脊髄膜炎が原因で聴力を失ったという。しかし性格は陽気で、学業も優秀で、生徒の間で人気者だった。そして倉庫の鍵をボランティアの少女エマに預けたと思い出す。飲酒運転の罰でボランティアに来ていたエマは現在、アンディと言い争いになったことを認めるが、2日後に彼と和解したこと、女生徒のリアがアンディのガールフレンドを気取り、アンディのストーカー風だったことを明かす。現在のリアは人工内耳のおかげで聴力を得ていたが犯行を否定し、アンディが親友カルロスと、アンディとエマが始めた交際をめぐって対立していたと振り返る。カルロスはエマに人工耳を勧められるだろうと決めつけ、アンディを“あっちの世界”に引きずり込む気だと言い放っていた。補導歴があるカルロスだが現在、意外な事実を明かす。聴力を失う前、ピアノの神童だったアンディだが、彼と娘の交際が気に喰わないエマの父親ウォーカーに脅されていたという。
現在のウォーカーは当時、校長がアンディの肩を持ち、エマを解雇したことから2人の関係を怪しむ。しかし校長はアンディに味方した理由を、人工耳の手術を受けたがったアンディが父親に猛反対され、彼を心配したからだという。結果的にフラれる形になったエマのしわざではないかと思われるが、現在のエマはそれでもアンディを励まし続け、倉庫の鍵を彼に預けたと告白する。ついにアンディの遺体が見つかる。そのそばには人工耳が。アンディは殺される直前、手術を受けていたのだ。手術の書類には彼の父親のサインがあった。父親は、息子を自由にして自分たちと異なる道に進ませようと思い直したといい、手術にカルロスが同行したことを語る。
犯人はカルロスだった。アンディが手術に成功する一方、自分の快復は望めず、倉庫でピアノを弾くアンディを見たカルロスは、衝動的にアンディの頭にメトロノームを振り下ろしてしまった……。
その頃、ミラーは娘ヴェロニカを父親ジャロッドに会わすのを拒み続けていたが、ヴェラにその理由を問われ、麻薬課時代の荒んだ自分を娘に知られたくないからだと語る。だが苦悩の末、娘をジャロッドに対面させることに……。
【今回の“深読み”】
このブログで既に何度も使った表現だが、“今回も重かった”「コールドケース」。見る人それぞれに考えさせられることがあったと思うが、筆者なりに深読みしてみよう。
差別の問題が一筋縄でいかないのは、差別する者と差別される者という二元論ですべてを語り尽くせないことだ。つまり、差別されているとされる側の中にもまた、その中で差別が生まれる可能性があること。今回の「コールドケース」でいうと、アンディと両親の間にも、アンディの両親の間にも、親友同士のアンディとカルロスの間にも、どこにも隔たりがあった。工場で作られるような規格品と人間は絶対に異なるのだ。十人十色どころか十万人十万色、いや十億人十億色といえるほど、同じ人間はけっしていない。だからこそ、そこに価値観のズレが生じる。ひょっとしたら感覚のズレがそれに輪をかけるかもしれない。あえていうなら、人間が機械のように作られない限り、差別は無くならないともいえる。今回が初めてでないとはいえ、いつもは差別する者と差別される者の間に生じる軋轢を描くことが多い「コールドケース」だが、今回は一歩踏み込んで差別される者同士の生々しい関係を真正面から見つめた、その姿勢が何よりも重厚だった。
今回のエピソードの原題は“Andy in C Minor”。Minorは音楽において短調や短音階を意味するが、一般的な英語としては“小さい”という意味もある。つまり意訳すると“小さなアンディ”となり、ろうあの両親のもとに健常者として生まれたアンディの微妙なポジションを表したかのようだ。では、何にどう救いを求めるべきか。今回のエピソードからひとつ学べるのは、“あっちの世界”という言い回しに集約されるのではないか。あっちの世界とこっちの世界は異なる、ではどっちの世界に属するのかという問いに、本当に意味はあるのか。世界そのものに意味が無いなら、そこにいる意味は誰にだって無い。誰もがいつの間にか、ひとつの大きな価値観に頼って生きているのが現代社会だが、それはけっして必然的なものではない。個人それぞれが自分の価値観を大事にして生きるしかない。そんな世界は息が詰まりそうな世界かもしれないが、自由はそこにしか無いにちがいない。
【アメリカ手話】
アメリカやカナダで使われている手話。しかし、同じように英語が普及しているイギリスには、これとは別に“イギリス手話”があるというのが複雑。“アメリカ手話”は“フランス手話”の影響を大きく受けているため、“イギリス手話”と大きく異なるという。世界共通の“国際手話”もあるが、これにも“アメリカ手話”と“イギリス手話”、両者の影響が見られるという。具体的な事例は今回の「コールドケース」からは分からないが、まずは人と人のコミュニケーションの難しさが凝縮されたかのようで興味深い。
2009.10.11|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
1998年5月12日。裁判所で落ち着かない若い女性タミラはトルイットという青年に声をかけられる。タミラは、自分が証言する裁判は父親が被告だという。タミラの手には虐待の痕が。トルイットは自分のあだ名が“スパイダー(蜘蛛)”だといい、蚊やハエだらけの世の中で蜘蛛は必要だという。そんなトルイットは自分が身に覚えのない容疑に巻き込まれたといい、裁判が終わったらデートしようとタミラに提案。少し悩んだ後、タミラはそれを受け入れる。しかし8月、タミラは何者かに撲殺されてしまう。
そして現在、リリーたちはタミラの訴訟を担当した福祉局の弁護士カーリーから、17歳で亡くなったタミラのことを聞かされる。母を亡くしたタミラは2人暮らししていたスライから虐待を受け、それを理由にスライからの自立を訴えたが敗訴していた。しかもスライは娘の死後、半年も社会保障小切手を受け取っていた。さらにスライは現在、3歳の里子に暴力をふるって昏睡状態にしてしまった。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
現在のスライは、タミラと最後に会ったのは彼女が殺される1週間前で、タミラは交際していたスパイダーという男に連れ去られたこと、スパイダーが日産アルティマに乗っていたことと証言。アルティマの本当の所有者であるエリオットは現在、スパイダーの本当の名前がトルイットだと明かし、もうトルイットと友人でないという。そして親の問題を抱えていたエリオットはトルイットの家で世話になったが、そこに家出したタミラもいたこと、トルイットの家がネオナチのたまり場でだったことを証言する。現在のトルイットは自由連合という政治組織の一員だが、当時自分とタミラは愛し合っていたと主張。刑事たちは、トルイットが彼女に何かさせることで“勇気”を示させたと推測する。
当時の記録からタミラが殺される直前、ホンジュラス人の女性ノラがネオナチの誰かに拉致されたと分かる。当時4歳だったノラの息子ミゲールは、犯行現場にタミラ、トルイット、ネオナチ仲間のリンゼイがいたこと、トルイットに命じられたタミラがノラを撃ったことを苦渋しながら思い出す。しかしノラの遺体は見つからず、現在のリンゼイはネオナチから足を洗ったことや自分がトルイットの子供を産んだことを語る。そして本当はトルイットがノラを撃ち殺し、遺体を運び去ったと認める。警察はトルイットを逮捕するが、タミラは殺していないという。そしてトルイットの母親レイアンは究極の白人至上主義者だったが、警察で意外な事実を明かす。
犯人はエリオットだった。彼はネオナチから抜けたがったタミラの逃亡を手伝ったかに見せて、その後を追って彼女を撲殺した。もう1人の犯人レイアンは、ユダヤ人の母親を持つエリオットのコンプレックスにつけこみ、エリオットをそそのかしたのだ。ネオナチを抜けたふりをしていたエリオットだが、実は今も白人至上主義を信奉していた……。
一方、ミラーはジャロッドというアフリカ系男性の訪問を受けてとまどう。彼はミラーの娘ヴェロニカの父親で、刑務所から戻ってきていた。更生すべくフィラデルフィアを離れようと決めたジャロッドはその前に、一目娘に会いたいとミラーに頼むが、ミラーは彼を敢然と拒否する……。
【今回の“深読み”】
いやー恐ろしかった、今回の「コールドケース」。ホラー映画のような残虐場面はないのに、吐き気すら覚えたのは筆者だけでないはず。米国社会の闇は非常に深いようだ。
この番組らしく徹底していると思ったのは、ネオナチや白人至上主義を支える社会的背景まで描いていた点(後述)。要約すると、弱者の中には自分を守るため、自分よりも弱い者を攻撃する者がいるということで、こんなに残酷なことはない。そして、ナチスが結党された頃のドイツや貧富の差が拡大した近年の米国にかぎらず、いつの時代も、どこの国でも、こうした世相が生まれるということ。だからそれを防ぐべく、そのことを誰もが意識しなければならないと痛感させられた。
今回は、トルイットやエリオットだけでなく、里子を受け入れていたのは社会保障給付を受けるためと思われるスライ(虐待癖が全然治っていないのに!)、トルイットですら自分より凄いと認めるレイアン(言葉だけでエリオットを洗脳したのだとしたら怖い!)、若さゆえの過ちといい平然と無罪を主張したリンゼイ(無神経!)、森の中の自由連合のアジトで銃を持っていた護衛たち(米国の森に足を踏み入れたくない!)、それと普通の市民に見えて自由連合の集会に出席していた大勢など、筆者はみんな怖かった。
エリオットの豹変をクライマックスに持ってきた脚本も巧かったが、その他の演出も凝っていた。過去の場面がモノクロに少し色が付いただけという映像だったのは、今回の元ネタになったといってもいい、1998年(!)の映画「アメリカン・ヒストリーX」の影響だろう。エドワード・ノートンがネオナチ青年を熱演し、アカデミー主演男優賞にノミネートされた作品だが、過去の場面をモノクロで描く演出だった。トルイットがタミラに握らせた拳銃が、ドイツ製のワルサーだというのもネオナチらしかった。
但し重箱の隅をつつくと、白人至上主義者のエリオットがなぜ日本車を所有していたのか、ちょっと引っかかった。いや、当時から表向きは白人至上主義者じゃないと偽装していたのか。そこまで考えていたとしたら、「コールドケース」の脚本家は凄い!
レギュラー陣では、シングルマザーのミラーの娘の父親がついに登場。彼のせめてもの願いを断固拒絶したミラーだが、そんな固い意志を持てれば、危険な思想に染まることはないという作り手たちのメッセージを感じた。
【ネオナチ】
発祥の地ドイツでは第二次世界大戦後、ナチスの残党が始めたものだったが、いつしか外国人を暴力的に排斥しようとする若者たちがネオナチの名を語り始めたという。彼らのトレードマークがスキンヘッドなのは有名だろう。そして元々いた白人至上主義者たちがネオナチと結びついたというのが米国の事情のようだ。ネオナチは中欧・東欧諸国にも大勢いるという。
2009.10. 3|エピソードガイド|固定リンク|コメント(3)|トラックバック(0)
1999年12月26日。クリスマス直後のバーゲンで沸く家電量販店。仕事の合間に若い男女の店員が冗談を言い合う一方、どこかで誰かが爆弾を製造中。仕事に戻った男性店員カートが入って行った扉は直後、大爆発で吹き飛ぶ。カートは亡くなり、6人が負傷する。
そして現在、ある朝スポーツジムのロッカーが爆発し、元空軍パイロットのジョンが手を吹き飛ばされた上、6人が軽傷を負う爆弾事件が発生。スティルマンに呼び出されたリリーたちは、99年に家電量販店、01年にエンジニアリング会社、03年に郡立病院でも同じ手口の爆弾事件が起きていたと聞かされ、コールドケースの扉を開く。
この連続爆弾事件、01年のキネティック・コア社では社員のシュミットが失明し、03年の事件では内科助手のロデリックが死亡していたが、被害者たちの接点はゼロ。手術が終わったジョンはリリーに爆発の直後、口笛を吹きながら立ち去る男がいたと証言するが、顔は見なかったという。ジムの清掃員ペレスは事件の直前、爆発するロッカーにオルゴールがあったと思い出す。爆弾に使われた木製のオルゴールについてメーカーに尋ねると、フィラデルフィアに住むバクスターという男にジョン・ヘンリーという型のオルゴールを複数売ったと分かる。警察はオルゴールの送り先のアパートに突入するが誰もおらず、事件の被害者の一部が載った新聞記事の切り抜きの数々が見つかる。そんな新聞記事の中に、ジムの会員だったルークという男性が。狙われたのはジョンではなく彼だったのか。
銀行マンのルークは仕事上トラブルは無かったというが、ルークの妻ベスは怪しい電話を受けたと思い出し、電話の向こうの男は彼女から夫がジムに行く時間を聞き出していた。ルークはたまたまジムに行かなかったという。トマス検事補がある事実を突き止める。それは、バクスターは95年から刑務所にいるというもの。ヴェラたちが面会したバクスターの腕には“ジョン”と“ヘンリー”というタトゥーが。バクスターは息子2人の名前だという。犯人はジョン・ヘンリーという名前にメッセージをこめたようだ。バクスターの名を騙る男が利用した図書館の係員によれば男はジョン・ヘンリー通りに住んだと語っていたが、そこにはキネティック・コア社の看板が。調べると96年、ある家の所有権をめぐって裁判が起きていた。住宅の所有者ロッシリーニは再開発に最後まで抵抗したが破産し、99年に姿を消していた。実は彼ははキネティック・コア社に10年勤めたが解雇され、会社を恨んでいた。現在のシュミットはリストラしたロッシリーニが機械工学の修士号を持っていたと証言し、ロッシリーニの元妻は離婚する前、当時4歳の娘ソフィアが小児がんである網膜芽細胞腫にかかり、病院の関係者に八つ当たりしていたと認める。病院の関係者とは03年の犠牲者、ロデリックだ。
とうとう捜査にスティルマンが恐れていたようなFBIの介入が加わり、リリーたちは捜査を急ぐ。ロッシリーニの弟ルチアーノは、爆破された家電量販店を経営していた。現在のルチアーノは家が取り壊される日、自分たちの父親がオルゴール職人だったのが誇りだという兄とケンカしたと振り返る。2人の父親は20丁目駅でも仕事をしていた。
犯人は、やはりロッシリーニだった。20丁目駅にオルゴールを持って立てこもったロッシリーニを警察は包囲し、スティルマンが説得を開始。ロッシリーニは99年、弟の家電量販店で不良品の返品を断られ、最初の犯行に及んだと語る。その光景を見守るリリーは、ロッシリーニが実は爆弾を持っておらず、他の場所に仕掛けたと考え、ルークの家を護衛しているヴェラの携帯に一報を入れる。携帯の向こうで爆発音が聞こえた途端、ロッシリーニはすぐに警察に投降。しかしルークの家族は無事助かった……。
ヴァレンズはトマスとの交際を続けてきたが、トマスが爆弾事件の捜査をFBIにリークしたことで彼女と別れることを決める……。
【今回の“深読み”】
お約束ともいうべきパターンを幾つか崩していたのが意欲的だった今回の「コールドケース」。崩されたパターンその1は、犯行が複数の年にまたがること。だからかBGMの各ナンバーが発表された年度もバラバラだった。だからこそ毎年クリスマスになると流れるワム!の定番「ラスト・クリスマス」を使ったのが、逆に効果的だったと思える。
崩されたパターンその2は、ひどい言い方かもしれないが、犯人にも犠牲者にも同情できる人物があまりいなかったこと。かつて日本の刑事ドラマ「特捜最前線」にもそんなエピソードが幾つかあったと記憶するが、まさか「コールドケース」で復活するとは(笑)。被害者のほうは気の毒なジョンを除くとしても、中国製品を小馬鹿にするカート、患者に冷たいロデリック、ロッシリーニをリストラしたシュミットと、いずれも問題ありだ。
とはいえ、一番問題だったのは、やはりロッシリーニ。幾ら自分やその価値観を否定されたとはいえ、やっていることは逆恨みそのもので、最後もルークを狙ったというよりその妻子を危険にさらしただけで、ロッシリーニが爆弾を別の場所に仕掛けたとリリーが気づかなかったらどうなっていたのか冷や冷やもの。ロッシリーニの一番の誤解は、自分を庶民の英雄、ジョン・ヘンリー(後述)になぞらえて正当化しようとしたことである。当たり前だが、ジョン・ヘンリーは誰も殺そうとしなかったのだから。
とはいえ、そういう筆者もジョン・ヘンリーのことをよく知らず、今回は大いに勉強になったという点や、社会派ミステリーの面目躍如だったという点で「コールドケース」ならではのエピソードに仕上がっており楽しめたというのも、また事実である。一説によればユナボマー事件(これも後述する)をモデルにしたという独自の視点も楽しめた。
レギュラーの刑事陣に目を向けると、ロペスを相手に久しぶりにスペイン語を聞かせたヴァレンズだが、またも女性運の無さを証明するとは……。次の恋人が心配です(笑)。
【ジョン・ヘンリー】
19世紀の米国、人間の労働力が機械に取って換わられていく中、人間の労働力が機械に劣らないことを証明したという、米国の労働者階級にとっての伝説的英雄。とはいえ、ロッシリーニは学生時代に学んだ機械工学を応用して爆弾を作り(むしろ反ジョン・ヘンリー的だ)、まったく罪のない者まで傷つけたのはどうにもこうにも許されようがない。
【ユナボマー事件】
1978年から1995年にかけてカリフォルニア大学バークレー校の元助教授、セオドア・ジョン・カジンスキーが起こした連続爆弾事件。全米各地の大学と航空業界関係者に爆発物を送りつけ、3人を殺害し、約30人を負傷させた。カジンスキーがおかしかったのは、「産業社会とその未来」と名付けた犯行声明。産業革命は悪で、自然回帰を促す内容だったというが、やったことといえば只の爆弾魔。その点、「コールドケース」の今回のロッシリーニとそっくりで、モデルにされたと指摘されれば合点がいく存在である。ちなみにカジンスキーには終身刑が言い渡され、現在も刑務所で服役中である。
2009.9.27|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
1942年4月5日、カリフォルニア州サニーデール。平和な住宅街で幸せに暮らす日系人のタカハシ家だが、ある通告を知って血の気が引く。それは日系人すべてに退去を迫るものだった。それから約3年8か月後の45年12月1日、タカハシ家の父親レイは遠くフィラデルフィア、ある駅の階段の下で遺体となって見つかるが、警察はレイが酔っぱらいに突き飛ばされたと捜査を打ち切る。
そして現在、レイの娘バーバラはフィラデルフィア市警に、父親が殺された事件の真相究明を依頼。バーバラの兄ビリーは第二次世界大戦で戦死していた他、バーバラは収容所生まれだったが、バーバラは母イヴリンに政府から賠償金の小切手が届いたことから、初めてそのことを知った。母は収容所暮らしを恥じて娘に隠し、娘に笑顔を1度も見せずにいた。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
捜査の手がかりは亡くなった時にレイが握りしめていた封筒だけ。宛先はタカハシ家が送り込まれたカリフォルニア州マンザナーの収容所で、差出人は不明。マンザナー収容所には当時、10万人以上の日系人が財産を奪われた上で収容されていた。現在のイヴリンは収容所の初日、日系人嫌いの看守ラリーとレイが揉めたと証言。事件当時ラリーはイタリアに駐在したが、1945年12月には陸軍対海軍のフットボール戦を観戦するため、フィラデルフィアにいて、同じ会場で第二次大戦の勲章授与式も行われていた。現在のラリーは自分のアリバイを主張し、タカハシ夫妻のケンカを見たと証言する。
スティルマンが停職後に警察を辞めようとしていると知ったリリーは、陸軍出身のスティルマンに助言を求めることに。スティルマンは封筒がフランスの陸軍郵便局から出されたこと、検閲を通っていないので将校クラスが出したと指摘。当時軍で将校だったビリーの幼なじみの白人、スキップはレイに入隊を薦められたビリーだが、絵を描くのが好きなど大人しいビリーが難色を示したため、説得のために収容所に行ったと回想。レイが同じ日系人のシンジと揉めていたという。シンジは若者たちに入隊を勧めるレイと対立したが、レイのせいでマンザナーより過酷なトゥールレイクの収容所に移されていた。現在のシンジはレイが収容所で働く白人教師メアリー・アンと親密だったと証言。現在のメアリー・アンはレイと1度だけキスしたと認めるが、妻を愛するレイとそれ以上の仲にならなかったと主張。そして2人の関係を知ったビリーがやけになって入隊したと振り返る。当時バーバラを身ごもっていたイヴリンは、自分は嫉妬しなかったと否定。そしてビリーの戦死を伝える訃報が届いた日、シンジの息子の戦死も判明したという。また1945年の12月、シンジもフィラデルフィアにいたとわかる。
現在のシンジはマンザナーに届いたビリーの手紙を、自分と同じく息子を犠牲にした者同士、レイに親切心から運んだだけだと主張。レイは米国に対する信頼心・忠誠心をすっかり失っていたが、手紙を読んだ途端、レイが“ビリーの勲章をもらう”と言い出したとも思い出す。勲章を貰うには上官の推薦状が必要だったが、ビリーが戦死したフランスの戦場で彼の上官だったのは……。
犯人はスキップだった。南太平洋で日本軍と戦ううち、日系人に不信を覚えたスキップは日系人を敵として見るようになり、カッとなってレイを駅の階段から突き落とした。そんなスキップは、その時レイが持っていた封筒の中の手紙を今も持っており、そこにはビリーが、ケンカ別れした父とやり直したいという言葉があった……。
一方、リリーら部下たちから信頼されていると気づいたスティルマンは退職しないことを決意する。
【今回の“深読み”】
いきなりだが、今回の「コールドケース」が全米放送された日を調べてみて驚いた。2007年12月9日(現地時間)、つまりその65年前に日本が真珠湾を攻撃した日の2日後だったのだ。エピソード自体も感動的だったが、この番組のスタッフがそこまで考えて作っていることに、あらためて感心させられた。太平洋戦争中、日系人が強制収容されたことは有名な話だろう。社会的差別を憎む「コールドケース」がこの史実を題材にしたことに筆者は感謝したい。
被害者レイについて考える。日本生まれでなく米国で生まれたのに、買ったばかりの車(カリフォルニアの市民の象徴でもある)など財産を奪われ、しかも愛する息子まで奪われた、その心境は悲しいというのを通り越してすべてが虚しく思えるほどだったろう。ビリーに勲章をとスキップに詰め寄った時、レイの祖国・米国に対する愛情は憎しみに転じたのかも。一方、スキップにも少しだけ同情できる点が。最終的に米国が勝利したとはいえ南太平洋の激戦は凄まじく、まだビリーと同じ世代の少年だったスキップもPTSD(心的外傷後ストレス障害)にかかっていたかもしれない。
もう1つ、印象に残ったのは、かつてレイとケンカした白人ラリーがミラーに言った、“9・11の後、飛行機で隣にアラブ系が座るのは嫌じゃなかったか”という一言。有色人種のミラーだからこそこの言葉の重みは分かったはず。
人間は愚かで、戦争も人種差別もいつの時代にも無くならない、だからこそ過去に習い学ぼうという番組の姿勢を再確認させられた、今回の「コールドケース」だ。
レギュラー陣に目を向けると、“スティルマンが辞職!?”という冒頭の話題にびっくり。彼の娘のようなリリーがそれを思いとどまらせようとしたのが可愛い。以前も紹介されたが、スティルマンはベトナム帰りの元軍人。陸軍が絡んだ今回の事件に協力するうち、今は殺人課が自分の戦場だと思ったのか。だとしたらカッコいい!
【マンザナー強制収容所】
太平洋戦争中、強制収容された日系米国人は約12万人もいたが、そのうちの約1万人が送り込まれたのがマンザナーの収容所。42年12月には暴動が起きるなど混乱した結果、今エピソードのように反抗的な収容者がトゥールレイクの収容所に転送させられたというのは史実である。日本未放送だが、1976年にTV“Farewell to Mazanar”が全米放送され、戦時中に実際に収容されたパット・モリタをはじめ、マコ岩松らが出演し、ヒロ・ナリタが撮影監督をつとめた。また、余談だが、日系2世であるジャニー喜多川とその姉メリー喜多川も収容された経験がある。
【第442連隊】
正式名称は米陸軍第442連隊戦闘団。日系人の強制収用を批判されたこと、ハワイの日系二世約1、400名を再編した“第100歩兵大隊”の成功を受けて米政府は1943年2月、日系人による部隊が編制すると発表。本土の強制収容所からは約800名が志願した。敵に寝返らないか心配されたため、彼らは太平洋戦線でなく欧州戦線に出征。累積死傷率は310~320%という驚異的数字で(何度も負傷しては戦場に戻った兵士もいたのだろう)、米陸軍史上でもっとも多くの勲章を受けた部隊となった。だからこそ、レイの悔しさが分かる。
【美術監督のレイ・ヤマガタ】
「コールドケース」に何人かいる美術監督の1人。名前から察するに日系人だと思われるが、今回は収容所のセットなど、はりきって手がけたのではないか。この人、「LOST」「エイリアス」にも参加。がんばってほしいものです。
2009.9.20|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
1982年5月18日。ある大学の卒業式。堂々とした態度で答辞を読み上げる、学生代表のマイク。ハンサムなマスクと爽やかな態度は非の打ちどころが無いほど。しかし、壇上の彼を見ていた数人の女学生は、複雑な思いを胸に式場を後にしていく……。直後、キャンパスで、銃で撃たれたマイクの遺体が見つかる。
そして現在、マイクの25回忌が近づくが、彼の墓が荒らされ、墓石に“レイプ犯”と書かれる事件が。学業はオールAでスポーツマンという学園の人気者マイクには、別の顔があったのか。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
25年前、凶器の9mm自動拳銃は発見されたが、製造番号は不明で指紋も出ずに終わった。意外にも、マイクを容疑者とするレイプの被害届が見つかる。手続きした女性警官のマギーは現在、訴えたのは女子学生のテシーだったと証言するが、証拠不足でマイクが無罪になるのは明らかで、テシーに告訴を取り下げさせたという。現在のテシーは図書館でマイクに声をかけられ、デートの帰りに家へ送ってもらった際にレイプされたと認め、弟のジミーが隣室で寝ていたので大声を上げられなかったという。マイクの卒業アルバムを見たリリーは、約10人の女子学生の写真にバラの絵が記されたことに気づく。マイクは彼女たち全員をレイプしたようだ。女性たちは警察に呼び出されるが、シェイナという女学生だけはマイクが殺される数か月に自殺していた。他の女性たちは、カリンは親友に打ち明けたが彼女も悪いといわれ、レジーはマイクの子を妊娠したがひそかに堕胎していた。そしてメリンダだけはレイプされたことを否定する。
リリーは墓地のカメラが撮影した画像からレジーが墓石荒らしだったと睨み、彼女もそれを認める。一方、自殺したシェイナの銃が父親ジェイソンのもので、マイクを殺したのと同じ9mm口径だったと判明。ジェイソンは自分が落ち込むシェイナを救えなかったのを後悔していたが、娘が自殺した現場に女性警官マギーが来て、シェイナの日記を読んでいたと思い出す。現在のマギーは当時、シェイナの自殺を防げたと考え、ある大胆な行動に出ていたと告白。それはテシーに自己防衛を装えば罪に問われないと聞かせ、拳銃を渡すことだった。同じ頃、リリーはシェイナの日記から新事実を発見。被害者の女学生たちの一部は、どうやら互いに知り合いだったらしい。彼女たちが掲示板代わりにしていたのは、大学のトイレの落書きにちがいない。リリーはトイレの壁の古い壁紙の下から多数の落書きを見つける。それらはマイクに対する復讐の決意を示していた。テシー、メリンダ、カリン、レジーはみんなで集まり、マイクに銃を突きつけてレイプしたことを認めさせたのを認めるが、復讐は思いとどまったと証言。その後、カリンの部屋で一夜を過ごしたとテシー以外はいう。事件の夜、弟と一緒にいたというテシーの証言と矛盾が……。
犯人はテシーの弟、ジミーだった。事件の夜、姉たちとマイクのやり取りをこっそり見ていたジミーだが、姉たちが去った後、マイクが反省していないことに気づいたのだ。
しかしリリーは、ジミーが自己防衛でやったのではないかと彼の証言を誘導する。困惑するジミーとテシー。事件は意外な解決を迎えた……。
一方、殺人課はスティルマンが謹慎中のため、ジェフリーズがその代役に。しかしボスと呼ばれることに慣れず、釣りをしているスティルマンに気苦労を相談しに行く。
【今回の“深読み”】
今回の「コールドケース」は問題作だったのではないだろうか。しかし筆者は、同時にとても感動させられたというのが正直な感想だ。原題がシンプルに“Justice(正義)”なのが実に力強い。
これほどリリーが犯罪者に同情したのは、第2シーズン第4話の「ボス」以来ではないか。あの時(BGMが全曲ジョニー・キャッシュ)は被害者も犯罪者で、それに同情するのはリリーらしくないという声があったと確か記憶する。刑務所であれほど虐げられていた被害者なら同情するのは自然だと、筆者は個人的に思ったものだが……。
さて、事件が起きたのはまだ“デート・レイプ”という言葉も無かった1982年。ちょっと「ダーティハリー」が入った女性警官マギー(脱線するが「ダーティハリー」をパロディにしたTV「俺がハマーだ!」からの引用だとしたらスタッフは大したもんだ)が言った通り、“レイプの証明が難しい”という定説が米国には定着していたのだろう。テシーに同情したマギーが警察にあった拳銃を彼女に貸したという場面から、このエピソードはぐんぐん面白くなった(いや、正直にいうと犯人の推定身長が語られた前半の場面で犯人はすぐ予想がついてしまったが、偶然だったかもしれないということで……)。
リリーが前シーズンの最後で撃たれ、手術を受けた際の悪夢に悩まされているという導入部が、伏線としてぴたりとはまった。レイプされた女性の1人の証言に、彼女は心の中で大きく頷いていたにちがいない。第2シーズンの傑作「ハンター」「森」で心の傷を見せたリリーだが、前シーズンの銃撃事件でその傷はまた開いてしまったのか。
そんなリリーだから、ある意味、警官の道を踏み外す今回のクライマックスの配慮に、いい意味での切り札を切ったと筆者は感じた。そう示す台詞は無かったが、犯人のジミーは自分がマイクを殺したことに罪悪感を覚え、弁護士の道に進んだはずといったら、筆者の思い入れは激しすぎるのか。
なおかつ、今回の事件が重要なのは、25年前の事件であっても、いつまた起きてもおかしくないこと。被害者たちはトイレの壁を掲示板にしていたが、それはネット時代の今、いわゆる“学校裏サイト”のよう(学校裏サイトのほうは有害な情報が多いようだが)。もちろん、レイプ事件も後を絶たず、四半世紀の間、何も変わていないともいえる。あと日本ではネットの一部の掲示板がよく“トイレの落書き”といわれるが、ひょっとして米国でもそうなのか?
だからこそ、刑事の仕事は犯人を裁くことでなく、あくまで捕まえること、そんなハードボイルド魂がみなぎる「コールドケース」だが、ある意味リリーが自身で犯人を裁いた今回のようなエピソードも、たまにならあってもいいのではないかと思う。最終的な判断は見る者が判断すべきだが、今回のラスト、大学を避けて生きていた女性まで久しぶりに大学を訪れ、仲間たちと抱き合った、あの光景は筆者の心のフィルムに焼きついた。
それと今回は、ヴェラ、ジェフリーズ、スティルマンにも味があったなー(笑)。
【1982年のサウンド】
今回の各BGMには大きな共通項がある。どれもイギリス生まれのバンドの曲であることだ。この頃は“第2次ブリティッシュ・インベイジョン”の時代で(第1次はザ・ビートルズなど)、英国の新しい音楽が米国の音楽シーンを大きくインベイジョン(侵略)した。そして、今回の各曲を手がけたA Flock Of Seagulls、The Psychedelic Furs、Joy Division、The Cure、Duran Duranはいずれも当時の英国の新進バンド。今回、マイクに異議を申し立てた女性たちの絆もまたバンドのようで、それを反映させた選曲だとしたら、これは凄い凝り方ではないか。
【今回の「Behind the Scenes/100th anniversary Special」】
第100話を記念して本国で行われたパーティーの模様をお届けするスペシャル・ミニ番組「Behind the Scenes/100th anniversary Special」が第100~103話(「コールドケース5」第7~10話)の放送直後にオンエア中。今回は残念ながら最終回。前回に引き続いてリリー役のキャスリン・モリスが番組への熱い思いを語ります。番組のスペシャルサイトでネット配信もされるのでお楽しみに。
2009.9.13|エピソードガイド|固定リンク|コメント(0)|トラックバック(0)
1963年9月16日。グレースフェリー高校のある教室で、後方に座る男子生徒サムに女生徒たちからメモが回ってくる。不良のレッドがそれを取り上げ、“君は童貞?”と読みあげると、サムは激怒。逆ギレしたレッドはサムの胸ぐらをつかむが、サムには女性のような胸のふくらみがあり、教室は驚きに包まれる。やがて赤いドレスを着たサムの遺体がFDR公園の湖畔で見つかるが、警察は自殺と結論を下す……。
そして現在、アルコール中毒の男性が殺人課に来て、サムは殺されたと主張。サムが飛び降り自殺したと思われる橋にいた彼は、サムが流れていく直前、橋に1台の車が停まったという。当時の鑑識結果によれば、サムの肺に水は無く、殺された後、湖に投げ捨てられた可能性が高い。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
16歳のサムは、本当はサマンサ・ランドールという少女だった。殺される2か月前に高校に編入してきたサムは、男子のような格好をして奇異に見られ、家出歴や補導歴もあったことから自殺と判断されたらしい。遺体のこめかみには打撲か火傷のような痕が。サムは父親アーチーは現在、トラブルメーカーだったサムが転校を繰り返したせいで経済的に困窮していたと証言し、サムがドムという男子生徒にからかわれていたと思い出す。しかし現在のドムは、友人がいない自分とサムは意気投合し、2人は不良のレッドを相手にしたドラッグレースで勝ち、レッドを怒らせたと証言。しかし現在のレッドは家庭科の教室でサムが女生徒のジェイニーに恥をかかせる事件があったと振り返る。しかし現在のジェイニーは当時、サムとドムが2人でいる光景を目撃したといい、ドムに好意を抱いたサムが彼にキスを迫り、断られていたと証言。そしてドムは、サムがレッドら不良たちにレイプされかかった時、校長が止めに入るまで、自分が助けられなかったこと、サムが高校を退学させられたことを語る。娘が退学したことをなぜか隠していたアーチーだが、実は娘を精神療養施設に入院させていたことを後悔していたからだった。そこで働いていた医師はすでに他界していたが、サムが脱走した直後に施設をやめた看護師は、サムが電気ショック療法を受けさせられたこと、彼女に同情してドムを施設に呼んだことを証言する。
犯人はドムだった。看護師の導きで病室に侵入したドムだが、すでにサムは廃人のようになっていた。ドムはサムと湖畔で“死んでも自由でいよう”と誓い合っていたが、ベッドの上で“自由にして”というサムの頼みを聞き入れ、サムを殺したのだった……。
一方、殺人課では内務監査の結果、ヴァレンズを30日間停職させるよう勧告を受けるが、スティルマンはこれを拒否。その結果、スティルマン自身が停職処分を受けることに!
【今回の“深読み”】
見終わった後しばらく、やるせない、という言葉しか思い浮かばなかった今回の「コールドケース」。性同一性障害がまだ今ほど認められていなかった時代、差別され、人権、そして生命まで奪われた少女の悲劇だ。時代や社会の価値観に押しつぶされていった人々(特に女性)を描くことが多い当番組らしい、今回も考えさせられるエピソードだった。
時代は1963年、今回の各BGMのように、音楽界では陽気で甘いオールディーズが流行したが、現実世界はハードだった(そのあたりのコントラストが巧い)。公民権法が制定される1964年の前年で、アフリカ系などのマイノリティが公民権を求める運動を展開していた頃だが、裏を返せば差別がまだ当たり前だった時代ということ。しかも現在でさえ定義付けに諸説ある性同一性障害となると、当時はサムのように周囲から偏見を持たれ、差別されたにちがいない。現在もそうだが性同一性障害は同性愛と誤解されることが多く、キリスト教が同性愛を認めないというのも背景にはあっただろう。
今回思い出したのは、実話を背景にした映画「ボーイズ・ドント・クライ」(1999)。ヒラリー・スワンクが性同一性障害の主人公ブランドンを熱演してアカデミー主演女優賞に輝いた話題作だが、ブランドンは同性愛者でもあった点、時代が1990年代だった点が今回の「コールドケース」とは異なる。但し、原語で聞くと、不良生徒の1人がサムに“Boys Don't Cry.”と言っている部分があり、やはり何かしら影響はあったと思う。
重要なのはこの時代、サムのような性同一性障害だけでなく、誰もが差別に遭う危険性があったことで、その傷も深く大きかった。ラスト、逮捕されたドムはサムの幻影を見たが、サムの表情には友情や愛情だけでない、冷たい感情もあった気がする。
レギュラー陣に目を向けると、何よりスティルマンに意外な展開が。ヴァレンズを守ろうと内務監査や上層部に抵抗した結果だが、早く無事に復帰してほしいもの。とはいえ、スティルマンがジェフリーズを呼んで“後は任せる”と頼んだ時の2人の雰囲気は、男らしくてシブくてカッコよかった。それにしてもヴァレンズはこの機に成長しないと……。
【FDR公園】
フィラデルフィアのそば、デラウェア川に近い公園で、FDRは第31代大統領、フランクリン・デラノ・ルーズヴェルト(Franklin Delano Roosevelt)のこと。
【今回の「Behind the Scenes/100th anniversary Special」】
第100話を記念して本国で行われたパーティーの模様をお届けするスペシャル・ミニ番組「Behind the Scenes/100th anniversary Special」が第100~103話(「コールドケース5」第7~10話)の放送直後にオンエア中。今回は、リリー役のキャスリン・モリス、キャット役のトレイシー・トムズのインタビューが見られます。番組のスペシャルサイトでネット配信もされるのでお楽しみに。
2009.9. 6|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
2007年8月20日。12歳のアフリカ系少年シェマーは祖母エドナに、外出はやめて一緒に夕食を食べようと誘われる。CD店に行きたかったシェマーは“将来はレーベルを立ち上げて贅沢させてあげる”と夢を語りながらも夕食の準備へ。だが、シェマーは何者かに連れ去られ、警察は行方不明として処理する。
3か月後の現在、ノースフィリーの貸倉庫の1つに置かれた冷凍庫から、シェマーの遺体が見つかる。倉庫の借り主はテオ・ギャンブルで、彼は他にも3つの倉庫を借りていたが、それぞれからも黒人少年の遺体が見つかる。彼らにはいずれも疲労性骨膜炎の症状が見られ、足の裏には擦り傷があり、左手の人差し指が切り取られていた。少年たちの遺族が、警察は治安の悪い地区の黒人少年の失踪を真面目に捜査しなかったと不平を洩らす中、リリーたちはコールドケースの扉を開く。
殺されたのは99年に失踪した12歳のダモント、01年に失踪した9歳のケンドリック、03年に失踪した14歳のマーカス。貸倉庫のマネージャーによれば、テオ・ギャンブルは倉庫の番号にこだわっていたという。また、見つかった指紋からエイコンという男が逮捕されるが、彼はビデオを盗んだだけだという。ビデオには小さな四角の上に立たされ続けるシェマーの姿が。死を目前にしたシェマーは《亡命者3号》という単語を繰り返し話す。《亡命者3号》はゲームセンターに多い格闘系RPGで、被害者たちの生活圏内にゲーム機があった。シェマーが通っていたゲーセンのオーナーは、彼が新顔の少年と《亡命者3号》で対戦していたといい、ゲームに記録されたランキングは「第1位シェマー、第2位テセウス」だった。やがて被害者全員が同ゲームのランキング第1位だったとわかる。ギリシャ神話でテセウスは、父親の命令で悪者に罰を与える若者だった。
そしてテセウスと接触しながら殺されずに済んだ少年コーリーによれば、テセウスは子供のフリをした大人だという。また、ヴェラは倉庫の番号がすべて合計17であると突き止める。捜査に急展開が。悪名高い福祉施設《プリチャード・ハウス》では86年、少年6人が疲労性骨膜炎にかかっており、当時の医師はハウスの少年たちが監督官グライムズから拷問同然の扱いを受けていたらしいと語る。そんなグライムズは当時、マリクという少年を仲間たちにリンチさせたうえ、人差し指を切り取られていたと証言。ハウスの別名は《ピット(地獄穴)》で、《亡命者3号》の敗者が落ちるのも《ピット》だ。一方、警察はテセウスを探すが、ピザ店にあった《亡命者3号》で遊んでいた少年タイレルが行方不明に。マリクをリンチした少年の数と同じく、タイレルは5人目の犠牲者となるのか。リリーはマリクがリンチされたシャワー室が“17号室”だったのではないかと推理する。
犯人は、やはりマリクだった。マリクは幼い頃のリンチの恨みを晴らすべく、同じような少年たちを襲っていた。リリーとヴァレンズが廃墟となったハウスのシャワー室に駆けつけると、そこにはタイレルを人質に取ったマリクが。リリーはマリクがもう大人で、子供のタイレルを傷つけるのはのはあやまちだと説得。マリクはタイレルを解放するが、自分の喉をナイフでかき切って自殺する……。
【今回の“深読み”】
第101話の「コールドケース」、前回のロマンティックな雰囲気と大きく異なるサイコ・サスペンスで、また3か月前に消えたばかりの犠牲者もいるという最新の事件なのも前回とちがっていて意欲的。そのキャパシティ(芸域?)の広さに唸らされる。
連続殺人事件なのも第2シーズンの傑作「ハンター」「森」以来では。ただ、連続殺人事件と聞いて「クリミナル・マインド FBI行動分析課」のBAUが来るなんて一瞬期待してしまったのは私だけだろうか……。それはさておき、オープニングの直前、4つの遺体が見つかる場面はショッキングで、刑事たちもそう反応していた。
今回はモデルになった現実の事件は見当たらなかったが、1976年の「キャリー」、1981年の「デビルスピーク」など、いじめられっ子が復讐するホラー映画でよく取り上げられており(そう言えば今回もいじめられっ子の復讐がテーマ)、米国人から見ればリアルな設定なのかもしれない。マリクが連続殺人犯でも投降させようと説得するリリーは、いいデカだなぁとあらためて思った。
【今回の「Behind the Scenes/100th anniversary Special」】
さて、第100話を記念して本国で行われたパーティーの模様をお届けするスペシャル・ミニ番組「Behind the Scenes/100th anniversary Special」が第100~103話(「コールドケース5」第7~10話)の放送直後にオンエア中。今回は、スコッティ役のダニー・ピノ、ヴェラ役のジェレミー・ラッチフォード 、ジェフリーズ役のトム・バリーのインタビューが見られます。番組のスペシャルサイトでネット配信もされるのでお楽しみに。
2009.8.30|エピソードガイド|固定リンク|コメント(0)|トラックバック(0)
1938年10月30日。父フェルトン、母オードリー、幼い息子ドバーという3人のメッツ家はラジオのニュースに驚く。何と火星人が地球を襲い、人間を殺りくしているという。激しい動揺が拡がる中、オードリーは愛犬を捜そうと家を飛び出し、そのまま行方不明になってしまう。“オードリーは火星人に誘拐された!?”と噂されてから約半世紀。古井戸の底からオードリーの遺体が見つかる。
そして現在、遺体には首を絞められた痕があり、そばにあったバッグには“AYS”と書かれたチケットの半券のような物も。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
38年のラジオのニュースはオーソン・ウェルズが演出した「火星人襲来」というラジオドラマが正体で、全米で多くの市民がパニックに陥る非常事態となった。当時8歳だったドバーは父フェルトンが失業中で、一家は食費にも困っていたと振り返る。そんなフェルトンはアルツハイマーを患い、リリーをオードリーと思い込む。当時、食糧の配給を待つ列でオードリーと顔なじみだった老人エルマーは、オードリーがある男から「最高のタクシーになれる」という謎めいた誘いを受けていたと証言。男が呼びだした場所には当時“パロマ舞踏場”というダンスホールがあり、そこではタクシーダンサーと呼ばれる女性たちが男性客のダンスの相手をしており、オードリーはスカウトされたのだ。
タクシーダンサー仲間だったペニーは、オードリーがウィルという男性と親密だったと証言。裕福だが妻と死別したというウィルは、ダンスはしないがオードリーに好意を抱いていた。現在のウィルは最後にオードリーと会った時、彼女がフェルトンに家に連れ返されたと思い出す。しかしドバーによれば両親はこの時に仲直りしたといい、ペニーが首にアザをつけて家を訪ねてきたと思い出す。当時ペニーは夫に暴力を振るわれ、オードリーに嫉妬し、ウィルの妻が実は生きているとオードリーにばらしていた。オードリーはウィルの嘘に激怒し、「オールウェイズ(ALWAYS)」という曲のダンスを断って去って立ち去っていた。「AYS」は「オールウェイズ」の券だった。
刑事たちに問われたウィルは、もう1度オードリーと会ったことを認める。当時ウィルの妻は躁鬱病だったが、オードリーとの出会いで救われた気持ちになっていた。そしてウィルとオードリーは「オールウェイズ」を踊って別れた。ウィルの車に当時カーラジオが無かったことから、“ニュースがデマだと車で知った”というウィルの嘘が明らかになり、捜査は急展開へ。ドバーは、実は母親が1度帰宅したことを認める。
犯人はフェルトンだった。リリーをオードリーと誤解したフェルトンは、妻が自分への愛情を失ったことに絶望し、思わず彼女の首を絞めたのだった。リリーといっしょにダンスホールを訪れたウィルは「オールウェイズ」にのせて、あの夜のようにオードリーと踊る……。
一方、ヴェラはエルマーの入院先で、第4シーズン中盤で別れた恋人トニと偶然再会。彼女への未練を感じるが、それを口に出せない。しかし、ウィルが“世界の終わりにオードリーと踊った”と聞き、すぐさま一目散にトニの職場に向かう……。
【今回の“深読み”】
ついに第100話を迎えた「コールドケース」。何と約半世紀前のコールドケースに挑むというのはリリーたちにとっては難事件だったはず。今はアルツハイマーにかかった夫が犯人というオチは苦かったが、ウィルとオードリー、そしてヴェラとトニの愛にぐっとこみ上げてくるものがあり、“コールドケース節”(?)をたっぷり堪能できたと思う。最後に犠牲者が踊る場面があるエピソードに「コールドケース」は傑作が多いと思っているのは筆者だけだろうか。あとネット時代の今になっても現代人はニュースに左右されやすく、今も昔も変わらないという作り手のメッセージもこめられていたかもしれない。
以下それぞれ面白かったポイントをチェックしたい。まず「火星人襲来」事件は有名な実話(別項参照)。これを第100話の題材にしたあたりは“さすが!”と思わず唸る。
「コールドケース」に感心するのは毎回、過去を回想する場面で当時の衣装・家具・小物をふんだんに使っている点だが、このドラマが米国の大手製作会社、ワーナー・ブラザースのスタジオで収録されているから可能だったことはファンならぜひ知っておきたい。
筆者はLAの郊外、バーバンクにあるワーナー撮影所に5回以上は足を運んでいるが、一般も有料で参加できるスタジオ見学コース《VIPツアー》に参加すると、時々だが過去の映画やドラマに使われた衣装、セット、小物などをストックした倉庫を見せてもらえることも。家具とか“どんだけあるんだ!”という量で、これらが自由に使えるから回想場面のクオリティは高いのだ。余談だが筆者は08年9月にも行ったが、「フレンズ」のセントラル・パークも保存されていた。スケールは小さくなっていたが、あのソファもカプチーノ・マシンも実物が見れて感激!このツアー、原則として現地集合、ガイドは英語など日本人には少しハードルが高いかもしれないが、LAに行かれる方はぜひ旅行代理店などに相談してみるといいかも。
さてレギュラーの刑事に目を向けると、最近ファンの心配事になっていたリリーやヴァレンズの問題をスルーして、ヴェラのロマンスを再びクローズアップしたのが相当楽しかった。クライマックス、病院に走って来たヴェラを“映画じゃないんだから”と笑っていたトニだが、人生悪いことばかりでない、いいこともあるとヴェラは感じただろう。
そういう訳でも今後もますます楽しみな「コールドケース」。でも次回の予告を見ると何だかショッキングな事件みたい。気になる!
さて、第100話を記念して本国で行われたパーティーの模様をお届けするスペシャル・ミニ番組「Behind the Scenes/100th anniversary Special」も第100~103話(「コールドケース5」第7~10話)の放送直後にオンエア。番組のスペシャルサイトでネット配信もされるのでお楽しみに。
【火星人襲来】
トム・クルーズ主演など何度か映画化されているH・G・ウェルズの古典SF小説「宇宙戦争」をラジオドラマ化し、1938年10月30日にハロウィン(なのでドバーはフランケンシュタインの真似をしていた)の特別番組として放送。火星人が地球を襲ったという原作を、プロデューサーのオーソン・ウェルズ(別項参照)は、まるで本当にいま事件が起きているかのように演出。生放送が当たり前かつ第二次世界大戦の前夜だった時代、これを真に受ける聴取者が続出してしまい、全米がパニックになった。この事件を先がける1975年、TVムービーしたのがジョゼフ・サージェント監督の「アメリカを震撼させた夜」。ちなみに「宇宙戦争」の原題は“The War of the Worlds”で、今エピソードの原題は“World's End”。だからか“世界”という単語があちこちの台詞で使われている。筆者はロンドン(「宇宙戦争」の原作の舞台)で展開する男女の不倫を描いた映画「ことの終わり」(原題“The End of the Affair”)にも引っかけたと思ったのだが、考えすぎ!?
【オーソン・ウェルズ】
前述したラジオドラマ「火星人襲来」は全米CBS系の「マーキュリー劇団」という番組の一編だったが、同劇団を主宰したのがオーソン・ウェルズ。この「火星人襲来」で才能を認められた彼は映画界からも注目を集め、「市民ケーン」「上海から来た女」「黒い罠」など、映画史に残る傑作映画が次々と生まれるきっかけにもなった。
【フランク・シナトラ】
米国の国民的名歌手。「コールドケース」第6シーズンの第11話は全曲、フランク・シナトラのナンバーだとか。今から楽しみ!
【トゥパック】
本名はトゥパック・アマル・シャクール。米国で一世を風靡したギャングスタ・ラッパーだが、1996年に銃撃事件に巻き込まれて死亡。シナトラとトゥパックがごっちゃになってしまっているヴェラが鈍感というか微笑ましいというか、ちょっと笑える!
2009.8.22|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
2002年6月16日。荒廃したストリート。歩道の上のテーブルで賭けブラックジャック。負けたアフリカ系少年マイケルに代わって14歳の弟テランスが席に着くが、意外にも強気な態度でベットを上げていく。カードをめくると計21。テランスはカードを観察し、確率上、自分の勝利を確信していた。そんなテレンスの遺体がビルの屋上で見つかる……。
そして現在、テレンスと生き別れになったという父親カーターが殺人課を訪ね、息子の社会保障番号を知りたいという。詐欺に悪用しようとしているのは明白で、ジェフリーズはカーターに悪印象を抱く。リリーはテレンスの死後、すでに社会保障番号が使われている事実を発見。ジェフリーズたち殺人課はコールドケースの扉を開く。
事件の現場は物騒な地域ゆえ警察に協力する者が現れず、未解決に終わったが、ビルの屋上で《29丁目ギャング》が射撃訓練を行い、流れ弾が当たったと考えられた。唯一の手がかりはテランスの手のひらに書かれたSAM6789235という文字列。社会保障番号を使ったのはテランスの貧しい母親シェリルで、テランスが異母兄のマイケルとつるんでいたこと、マイケルが数字に強いテランスを利用しようとしていたことを思い出す。マイケルはテランスが殺された1年後、銃で撃たれて下半身不随になっていたが、レイの店の闇賭博に出入りするため、《29丁目ギャング》のボス、デロンテに取り入ったと証言。今や刑務所のデロンテは当時テランスに空き巣をさせ、鳩を飼う謎めいた男オーガスティンの部屋で金庫破りをさせようとしたが、オーガスティンが帰宅して失敗に終わったと振り返る。
現在のオーガスティンは、自分がかつて飛行機の設計技師で、テランスの優れた数学能力を知って、彼に数学や物理を教えていたと認める。だが、現れたカーターのせいでテランスは更生する機会を失ったとも。テランスが図書館に行っていたことから、ヴェラはSAM6789235が図書館の整理番号ではないかと推測。それはやはり、1989年6月7日付けのサンアントニオ・マーキュリー・ニュース紙だった。そこには何と設計ミスだった飛行機の墜落事故の記事が。設計をしたのは何とオーガスティンだった。しかしオーガスティンは犯行を否定し、最後に会った時、テランスがレイの店に向かったと証言。デロンテはそこでテランスにカウンティング(次のカードを予想する)をさせたと認めるが、最後に裏切られて大損したと語る。
犯人はマイケルだった。オーガスティンから“ドブの中にいても星を見ることはできる”と言われたテランスは、更生して町を出ようと決心し、デロンテを裏切ったが、テランスのような才能がないマイケルは《29丁目ギャング》に入るしかなく、デロンテに命じられるまま弟を撃ち殺したのだった。オーガスティンは、生前のテランスに“そいつは飛べない”と語っていた1匹の鳩を解放。ジェフリーズは飛び立った鳩を見送る……。
一方、リリーは最後のカウンセリングへ。だが結局カウンセラーに心を開かず、逆にカウンセラーを心理分析し、カウンセラーに“自分のこともそれくらい見えていればいいのに”と皮肉られる。
【今回の“深読み”】
深読みの前に一言、ジェフリーズ、渋くて最高! いつもいぶし銀の魅力が光るジェフリーズだが、今回は特に際立っていた。ジェフリーズがメインだったエピソードは第2シーズンの「バッドランズ」「チェス」、第3シーズンの「バット」「死刑囚」(あと「ハロウィン」も?)、第4シーズン「日食」「ダンサー」「宝くじ」など、どれも筆者は大好き。少年時代、アフリカ系として人種差別に苦労し、ベトナムで戦い、帰還して刑事になり、妻をひき逃げされたジェフリーズ。いつもはクールだが怒るべき時には怒る、そのギャップがたまらない。今回はカーターとの一連の絡み、デロンテへの恫喝(ヴェラがナイス・サポート)、ラストの渋い佇まい、どれもよかった。
さて深読みだが、モデルになった事件があるかはちょっと分からず。ただ、テランスとマイケル、オーガスティンの関係は映画「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」と似ていると思ったがどうだろう。本当は天才なのに不良めいた生活をしている主人公(マット・デイモン)は親友(ベン・アフレック)とつるむ毎日だが、ある教授(ロビン・ウィリアムズ)との出会いを経て自身の生活を見直していく……という。しかし「コールドケース」らしいなぁと思うのは、徹底したアンハッピー・エンディングであること。その分ジェフリーズの渋さがますます冴え、ファンとしては嬉しかったりするのがまた複雑!
さて次回「火星人襲来」は、いよいよ番組の第100話。記念してWOWOWは第100~103話(「コールドケース5」第7~10話)の放送直後、スペシャル・ミニ番組「Behind the Scenes/100th anniversary Special」をオンエア。第100話を記念して本国で行われたパーティーの模様をお届けする。場所は番組のセットで、キャストたちの素顔を見られるのが楽しい。やっぱりキャスリンは可愛いぞ! 番組のスペシャルサイトでネット配信もするのでお楽しみに。
【社会保障番号】
要は米国の国民1人1人に与えられる国民識別番号だが、一部の外国人就労者も取得することができる。身分証明代わりに使われることが多く、これが無いと銀行口座が開設できかったりクレジットカードが発行されないことも。番号だけでも本人かどうか確認できないまま借金できることがあるなど、その是非が米国では常に問題になっている。
【オスカー・ワイルド】
アイルランド出身の有名な劇作家・作家。戯曲「サロメ」、小説「ドリアン・グレイの肖像」などが代表作。“ドブの中にいても星を見ることはできる(We are all in the gutter, but some of us are looking at the star.)”は戯曲「ウィンダメア婦人の扇子」の中の台詞で、よく名言として紹介されることも。
2009.8.16|エピソードガイド|固定リンク|コメント(0)|トラックバック(0)
1989年3月28日。シャンパンを飲み、高級品を買い漁る、美しい女。そのままポルシェに乗ってカントリークラブに乗りつけると、クラブの入会申し込みに向かう。だが直後にバッドランズの路上、彼女は顔から血を流して倒れているところを警官に保護される。
そして現在。18年前に顔を撃たれた女性は身元が判明しないまま、病院のベッドで息を引き取り、殺人事件が成立。リリーたち殺人課はコールドケースの扉を開く。
当初はホームレスと思われた女性だが、月に1度、何者かがシャンパン、キャビア、ゴディバのチョコといった高価な見舞品を届けていた。また、解剖の結果、遺体の胸から生理食塩水入りの豊胸バッグが見つかる。豊胸手術をした整形外科医に、コンピュータで復元した女性の生前の顔を見せると、医師は彼女の名前を覚えていた。
被害者はマーゴ・チェンバーズ。フィラデルフィアに近いニュージャージー州のカントリークラブの会員だったが、クラブのオーナー夫人メリッサとプールボーイ、スペンサーとの三角関係がトラブルに発展。クラブを辞めていた。メリッサはスペンサーとの交際を認めるが、実は彼は詐欺師で大金を巻き上げられたと証言。また、マーゴの逮捕記録も見つかる。マーゴとスペンサーは詐欺師コンビだった。殺人課は新聞にマーゴの死亡広告を出して墓地で張り込み、そこに現れたスペンサーを尋問。スペンサーはマーゴとの詐欺を辞めたかったこと、2人で宿泊していたモーテルに来た男レニーが復讐を誓ったことを思い出す。スティルマンはスペンサーを釈放して泳がすことに。レニーはマーゴにだまされて自殺した男の兄だが、マーゴの幼い頃を知っていた。母親から虐待されていたマーゴは幼少時代から成り上がりを夢見る一方、名作映画、特に「麗しのサブリナ」で現実逃避していた。レニーがモーテルで盗聴したテープからは、マーゴとスペンサーがマーゴによく似たモーテルの清掃係カイリーを殺し、保険金を手に入れようとしていたと分かる。
カイリーは当時、マーゴと似た髪にさせられた美容院にメリッサが現れたと証言。そんなメリッサはスペンサーたちのモーテルの監視をしたことを認めると共に、驚くべき光景を見たという。それはスペンサーがマーゴに似た女性を射殺した直後、女性が起き上がり、続いてスペンサーがマーゴのいる隣室に入ると、またも銃声が響いたというもの。カイリーを殺すことで支払われる生命保険の受取人の名はライナス・ララビー。「麗しのサブリナ」でハンフリー・ボガートが演じた役だ。リリーは姿を消したスペンサーの居所を突き止め、真相を明かすよう迫る。
犯人はカイリーだった。マーゴはスペンサーの母親だったのだ。しかし母親との犯罪生活に嫌気が差し、カイリーと愛し合うようになったスペンサーは、マーゴの計画を逆に利用。空包でカイリー殺しを偽装した直後、マーゴを殺そうとした。しかし母親を撃てないスペンサーから銃を奪い、カイリーが彼女を撃った。事件の後、スペンサーは母親を見捨てられず、母親が好きだったシャンパン、キャビア、チョコを届け続けていた……。
リリーは前シーズン、自分が撃たれた時の夢を見て目を覚ます。一方、ヴァレンズは内務監査に密告したのがトマス検事補だと知り、彼女に抗議。だが彼女のオフィスで再び彼女と抱き合い……!?
【今回の“深読み”】
マーゴとスペンサーの関係、マーゴの不幸な少女時代、クライマックスでカイリーが取った行動など、意外な事実の数々に驚かされた今回の「コールドケース」。いつの時代に起きてもおかしくなかった事件で、米国の世相を反映することが多い「コールドケース」としては、社会派というより人間ドラマに分類したい今回のエピソードだった。
とはいえ、それでも時代背景を深読みすると、1989年は合衆国大統領がロナルド・レーガンからジョージ・H・W・ブッシュに代わった年。米国ではレーガン政権下、“強いアメリカ”の復活をめざし、それを実現するための経済政策が施工されたが、減税と金融緩和による消費の拡大は、大雑把にいうと儲ける人はとことん儲ける結果に。それは1987年のブラック・マンデーまで続いたが、マーゴとスペンサーはこんな時代だからこそ詐欺で生活を営むことができたのだろう。
しかし、ゴディバのチョコに浮かれる母親と異なり、スペンサーはこんな生活が続かないと気づいていた。米国はその後の99~00年、今度はITバブルを経験するが、どこかで誰かが欲望の肥大を止めないかぎり、歴史は繰り返す。そんなことを考えさせられるエピソードだったと思う。
さて後半、リリーがスペンサーに真相を話すよう迫る場面があるが、自分も母親と難しい関係だったリリーならではの優しさがあり(冒頭の場面はその伏線となった)、「コールドケース」らしい場面であった。
一方、ヴァレンズは……。いや、今回は今回でヴァレンズらしかったと言えなくもないが(苦笑)、内務監査はまだ終わっていないはずだから、もうちょっと気を引き締めてほしいもんです(笑)。
【「麗しのサブリナ」】
1954年に作られた、 オードリー・ヘプバーン、ハンフリー・ボガート、ウィリアム・ホールデン出演、ビリー・ワイルダー監督による恋愛喜劇映画の名作。大富豪の家の運転手の娘サブリナ(ヘプバーン)が美しいレディに成長し、大富豪の息子2人に言い寄られるという物語。貧しい家で母親から虐待を受けていたマーゴにとって、ボガート演じるライナスは夢の象徴だったにちがいない。
【5曲目の“Don't You Want Me”】
英国のヒューマン・リーグの大ヒット曲で、邦題は「愛の残り火」。英国ではシングル史上ベスト25に入るほど売れた曲だが、ちょっと疑問なのはこの曲が発表されたのは1981年で、米国でヒットしたのは82年。今回は89年の物語なのに……。そういえば前回は周平さんが、1953年が舞台なのにプレスリーが1961年に発表した曲がエンディングと指摘していましたね。それはさておき「愛の残り火」、映画「オーシャンズ13」でブラピの携帯から流れ、公開中の「そんな彼なら捨てちゃえば?」でもあるキャラが着メロにしている。
2009.8. 9|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
1953年4月13日。バラエティショップでビンゴという19歳の店員は自分が歌いたい曲の歌詞をメモしているが、客の白人青年たちにからかわれる。しかしビンゴは恋人のミランダと“愛と音楽が大事"と笑いあい、へこたれない。直後、ビンゴは銃で撃たれ、アフリカ系地区の路地裏で遺体になって見つかる……。
そして現在。子供だった頃にビンゴの財布を拾ったという男性が殺人課へ。財布が落ちていたのはなぜか白人地区のバラエティショップのそばだった。ビンゴは射殺後に運ばれたのか。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
交通事故で両親を失ったビンゴは親戚のバレンタイン夫妻に引き取られたが、歌手になって成功する夢を持っていた。バラエティショップは夫妻の夫エドがオーナーだったが、ビンゴの同僚だったアフリカ系青年エイセスは現在、ビンゴが当時白人が“悪魔の音楽"と嫌っていたロックンロールに熱中しあう友人同士だったこと、女性の間で人気者になったエイセスに恋人ミランダが嫉妬していたことを思い出す。エドが他界した現在、バレンタイン夫妻の妻ジュリアナもビンゴがロックンロールを歌って女性の聴衆を熱狂させたと振り返る。現在のミランダはビンゴの死後、自殺を図ったことを認めるが嫉妬は否定。むしろ男性コーラスグループの活動をしていたビンゴの従兄弟、JPのほうがビンゴに敵意を抱いたという。しかしJPはアリバイを主張し、ビンゴがアフリカ系音楽のレコードをジュークボックスから出し忘れたため、エイセスがクビになったと思い出す。ビンゴのシャツに付着していたニトロセルロースは塗料の原料で、エイセスは失業後に車の塗装の仕事をしていた。しかしエイセスは、ビンゴが歌手になる夢をあきらめかけても仲違いはなく、そんなビンゴにミランダが最も失望していたと明かす。
そんな時、かつてバラエティストアだった店の壁にめりこんだ、45口径の弾丸が見つかる。45口径は当時の軍用拳銃の標準で、軍隊出身のエドに疑いの目が。しかしジュリアナは、夫はその夜、不倫のために店におらず、訪ねてきたビンゴに、安定していても空しい生活をしている自分のようになるなと激励し、ビンゴは自作の歌を彼女に歌っていた。
犯人は、その時の歌詞をなぜか憶えていたJPだった。古い価値観のJPはどうしてもビンゴを認められず、父の拳銃を借りてビンゴを射殺。ニトロセルロースは、犯行現場となったバラエティストアの録音スタジオで付着したものだった……。
ヴァレンズは引き続いて内部監察の追及に苦しみ、殺人課の面々しか知らないはずの情報が内部監査に密告されたと思い込む。カリカリするヴァレンズに、ある仲間が立ち上がるが……!?
【今回の“深読み”】
エルヴィス・プレスリーの名曲“Can't Help Falling In Love”、邦題「好きにならずにいられない」がラストにぴたりとはまった今回。ロックンロールが好きで好きで、そのために時代の変化に押しつぶされてしまった犠牲者、ビンゴへのレクイエム(鎮魂歌)としては最高の選曲だったと思う。その上で、さらに深読みもしてみよう。
1950年代の米国というとベトナム戦争やキューバ危機、ヒッピー・ムーブメントはまだ先で、米国が平和かつ世界で最も豊かだった“黄金の50年代"とされる時代。しかし裏を返せば、それまでにあった米国の価値観が悪いものでも肯定され、社会全体が保守的になりすぎた時代でもあった。そして今回と同じ1953年、アラン・フリードによって呼称が定着したロックンロールは若者たちに支持され、人種の壁を超えて人気を博していった。
とはいえ今回の原題“悪魔の音楽(Devil Music)”に象徴されるように、自由で、セクシーで、欲望を肯定するロックンロールは、保守的な人々にとっては悪魔の音楽であり、今回のような悲劇が起きてしまった。
しかし感動的なのは、白人のビンゴとアフリカ系のエイセスの当時の友情がそんな中だからこそ純粋だったこと。そして有色人種が白人に差別されたのと同様、女性が男性に差別された時代、ジュリアナやミランダのような女性たちもいたことが描かれてる点。これは筆者の推測だが、ジュリアナは時代が変わる前、ミランダは時代が変わる後のそれぞれを象徴しているのではないか。そんな時代と時代の狭間で惜しくも命を落としたビンゴだったが、永遠の若さを獲得したことで彼は時代を超えた英雄になれたように思える。
レギュラー・キャラでは、暴走しだしたヴァレンズを制止しようと立ち上がったジェフリーズの男気に感激。なおかつ、ヴァレンズの顔を立てようとひと芝居打ったあたりでイイ人ポイントはさらに上昇。周囲にわざと聞かせようと怒鳴り合う2人に思わず爆笑を誘われ、重い話が続いた最近の「コールドケース」にとって貴重な清涼剤になったはず!
【ロックンロール】
アフリカ系の音楽だったリズム・アンド・ブルース(R&B)が1950年代、白人アーティストにカントリー・アンド・ウェスタン(C&W)のスタイルをミックスされて生まれた音楽といわれる(C&Wの影響が特に強いものがロカビリー)。だが、ビンゴもエイセスも好きなワイノニー・ハリスはR&Bのパイオニアで、この頃はまだR&Bとロックンロールの間に明確な線引きが無かった時代と思われる。ビンゴが一度、C&W風の歌を歌いだしてシラけた雰囲気になった途端、ロックンロールを歌いだして一気に盛り上げたのは、実は当時の音楽事情を反映した、非常にリアルな描写といえよう。
【バンドスタンド】
全米で1953年から89年まで放送された、TVのロングラン音楽番組(後に“American Bandstand”に改題)。最初に放送されたのは「コールドケース」でおなじみの町、フィラデルフィアだった。人気アーティストを最新ヒット曲を聞かせるのが売りだったが、今でいう「アメリカン・アイドル」みたいな番組でもあったと思っていいだろう。
【ブラウン対教育委員会】
1951年にカンザス州で始まった裁判。アフリカ系アメリカ人のオリヴァー・L・ブラウンが、白人の子供は近所の学校に通えるのに自分の娘が遠い学校に通学するのを人種差別だと訴えたもので、最終的に1954年、合衆国最高裁は“人種分離した教育機関は本来不平等”を判決を下した。この裁判は後の公民権運動などの差別撤廃運動に大きな影響を与えたという。
【パット・ブーン】
1950年代、健康的なイメージで保守的なファンに支持された、クリスチャンの音楽アーティスト(多分JPのモデル)。ところが97年、「メタルバカ一代」というハード・ロック&ヘヴィ・メタルのカバー・アルバムに参加。ファンを大混乱させた……。
2009.8. 2|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
2006年7月21日。フィラデルフィアから見て西に位置するランカスター郡。そこにはキリストの教えを大切に、質素な暮らしを送る“アーミッシュ"の村が。ある家で少女アンナは母親ミリアムに、“海を初めて見られる"と嬉しそうに語り、母と抱き合う。そんなアンナだが、アーミッシュには不似合いなコンバーチブルの車に若者たちと乗り込んで出発。頭にかぶったカバーリング(帽子のようなもの)を脱ぐと、髪を風になびかせる--。やがてアンナは何者かに殺害されてフィラデルフィアの一角で見つかり、身元不明のままコールドケースに……。
そして現在。殺人課にアンナの妹サラが訪ねてくる。姉が1年前、毎日くれた手紙を突然くれなくなったという。サラを信じ、リリーたちはコールドケースの扉を開く。
アンナはアーミッシュの儀式“ラムスプリンガ"のために村を離れた。それは16歳になったアーミッシュが村で生活を続けるかどうか考えるため、生まれて初めて村から離れ、外界で自由な生活を体験するもの。1年前の身元不明の女性がアンナかどうか確認するため、リリーとヴェラはアンナがいた村へ。そこにはアンナと村を出て1人だけ戻って来たレイチェルがいて、町で元アーミッシュの少年ジェイコブのアパートに身を寄せていたと証言。ジェイコブは、アンナが不良のヴィンスと出会ったこと、ヴィンスがナイフを持ち歩いていたと振り返る。そんなヴィンスは、アンナと意気投合して2・3週間共に過ごしたと認めるが、彼女は急に消えたと犯行を否定。やがて生前のアンナを見たというドラッグストアの男性が、レイチェルが妊娠検査薬を万引きしたと証言する。
レイチェルは自分がヴィンスにレイプされて妊娠したこと、アンナがヴィンスに抗議しようとしたことを認めるが、ヴィンスはアンナと口論中、レイチェルの妊娠を知って娘を心配したミリアムが訪ねてきたと証言。しかしミリアムは、村に戻って退屈な人生を送ってほしくないと娘に望んで彼女を励ましたこと、その場にジェイコブが現れたことを思い出す。
犯人は、ジェイコブだった。村を出てドラッグ中毒になった彼は村に戻ることを許されず、アンナに教会との仲介を頼んだが、断られて逆上し、彼女を刺し殺したのだった……。村ではサラが儀式を迎える番になり、アンナの影は笑顔で妹を見送り、消え去る。
一方、リリーはついに初めてのカウンセリングへ。しかし、まだ心を開けない。イライラが続くヴァレンズは、ヴィンスについ暴力を振るってしまい、上司のスティルマンは苦い表情を……!?
【今回の“深読み”】
今回も社会派の「コールドケース」らしい秀作だった。というのも、現代のアーミッシュ(後述)の暮らしは、現代人と信仰の関係を考えるのに打ってつけの題材だからだ。今回のエピソードを見ただけでは分かりにくいかもしれないが、多くの者が村で一生を過ごすアーミッシュにとってラムスプリンガは、それまで禁じられてきた飲酒、ドラッグ、セックス、車の運転などの快楽をまとめて一度に体験するといっていい時期である(このことを詳しく描いたのが02年のドキュメンタリー映画「DEVIL'S PLAYGROUND」。日本では某TV局で放送されたばかり)。つまり、真面目に生きてきたアーミッシュであるがゆえ、若者たちは快楽に対して無防備で、今回のジェイコブのように堕落してしまう者も実際にはいるのだ。だからこそ冒頭の場面、アーミッシュは自動車自体に乗らないのに、コンバーチブルの車に乗って旅立つ光景は、彼らの歓喜とは裏腹に、実は破滅の始まりだった……といえなくもない。犯人ジェイコブの動機が“故郷に帰って家族と会いたかった”なのも、皮肉というにはビターで切なすぎる。
後半でアンナの母親ミリアムは自分のようにならず、夢や希望を持って生きてほしいと娘を励ました。しかし、本当にラムスプリンガは、それほど簡単に乗り越えられるものなのか。眩しく美しい海の向こうに、必ず夢や希望はあるのか。感動に加え、そんな問いかけが見る者の心に突き刺す、今回の「コールドケース」だった。
さてレギュラー・キャラ陣は、引き続いてリリーやヴァレンズが心配な一方、ヴェラが“アーミッシュは退屈"といいつつ、ちょっと心惹かれているように見えたのは筆者だけ!?
【アーミッシュ】
ドイツから米国に渡った、キリスト教徒の一派。純粋にキリスト教を信じるために禁欲的で、近代以後の文明の進歩を受け入れず、ほとんど電気を使わず、自動車に乗らずに馬車に乗り(しかも大人限定)、おしゃれもまったくしないなど、独自の生活様式を持つ。アーミッシュを広く知らしめたハリソン・フォード主演の映画「刑事ジョン・ブック/目撃者」で事件が起きる舞台も、「コールドケース」と同じくフィラデルフィアだった。
【ラムスプリンガ】
16歳になったアーミッシュが迎える儀式で、STORYで書いた通り、生まれて初めて村から離れ、外界で自由な生活を体験した上で、村で生きるかどうかを決めるというもの。だが実態は、今回の若者たちのように俗世間の快楽にさらされる時期に。それでも大多数の若者は村に戻るが、前出の映画「DEVIL'S PLAYGROUND」によれば、向かったのが村を離れて都会に近づくほど村に戻らない率が上がるそうだ。ちなみに今回の原題“Running Around”はペンシルベニアドイツ語圏でラムスプリンガを意味する。
【2曲目の“Suddenly I See”】
スコットランド出身のシンガーソングライター、KTタンストールが05年にリリースした曲。映画「プラダを着た悪魔』やTV「アグリー・ベティ」第1話のラストで流れたのを憶えている人は多いはず。ちなみにラストから2曲目の“Other Side Of The World"もKTタンストールの曲。
2009.7.26|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
1998年4月7日。ある高校で女性教師が生徒たちに、セックスに関する注意すべきことを指導する。セックスを肯定も否定もしない態度に付けこみ、先生をからかう生徒たち。そのとばっちりで男子生徒にからかわれた女生徒の1人、15歳のキャリーだが、しばらくして森の中で遺体になって見つかる……。
そして現在。捨てられたワゴン車からキャリーのシャツが見つかる。生前のキャリーは男性関係が派手だったらしい……。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
ワゴン車の持ち主は高校の清掃員で、野球部のキャプテンだったジェリーによく貸したといい、現在のジェリーは、当時確かにキャリーをワゴン車に連れ込んだことがあると証言。一方、キャリーの母親シーラは、キャリーが毎土曜に学校へ行き、性に後ろめたい考えを持つように変わっていったと振り返る。キャリーは左薬指に指輪をはめていたが、それは“禁欲教育”を実践するクラブのものだった。
クラブを指導する牧師のネイサンは、事件の直後に転校していたが犯行を否定。そしてクラブの各生徒に本当の悩みを書かせたことがあったが、そのうちの1枚を盗み見たキャリーが血相を変えていたと明かす。クラブにいた男子生徒ローリーは、クラブのフィルがキャリーにゲイだと指摘されて激昂したと振り返り、そんなフィルはローリーがクラブの女生徒マニーとデキていたのをキャリーに知られていたと暴露。しかしマニーは、クラブの別の女生徒ティナがキャリーと口論していたと指摘。実はティナはネイサンとワイセツな遊びをし、それをキャリーに知られていた。その時クビになるのを恐れたネイサンだったが、キャリーが見た紙切れに“キャリーは死ぬ"と書かれていたと思い出す。
犯人は、ティナ、フィル、ローリー、マニーの4人だった。以前はキャリーが一番堕落していたのに、今では他人の秘密を知る存在になったことに立腹した4人は、旧約聖書の“ふしだらな女は石で打ち殺せ”の通り、キャリーを森に呼び付け、代わる代わる彼女を殴ったのだった。キャリーの母親シーラは娘との思い出を胸に、小さなケーキに1本のロウソクを灯す……。
一方、リリーはカウンセリングを予約したとスティルマンに報告するが、内部監査の取調べを受けたヴァレンズは担当刑事の厳しい追及に“やってらんねぇ”とキレてしまう!
【今回の“深読み”】
事件が単独犯のしわざでなく、実は複数犯によるものだった……という「コールドケース」としては珍しいパターンの幕引きだった今回。複数犯をまとめて尋問することで彼らからボロを引き出すキャリーたちの作戦は成功したが、被害者も加害者も多感な思春期にいたからという悲劇は、やはり重いエピソードだったと思える。
とはいえ、事件当時の時代背景を盛り込んだのはさすが「コールドケース」。冒頭、事件がコールドケースと判断される場面で一瞬、TV画面にビル・クリントン第42代合衆国大統領が映るが(そこで語られる“モニカ・ルインスキー事件"については後述)、前年、一般教書演説の中で10代の妊娠を減らそうと国民に呼びかけながら、98年に“モニカ・ルインスキー事件”が発覚した、そんな時代の歪みを象徴したのが今回の事件だった。
確かにキャリーには自由すぎた過去があり、性格も正直すぎたかもしれないが、聖書を勝手に解釈し、大勢でキャリーを追い詰めていったクラブの生徒たちも、自分の保身を優先したネイサン牧師も、いずれも許されるべきでない。
さて殺人課の面々に目を向けると、リリーはスティルマンと助け合いながら、立ち直れそうな気配がちらほら。一方、相手がそこまで言うかと激怒する気持ちは分からなくもないが、ヴァレンズはヤバくなりそうな雰囲気。今後どうなる!?
【禁欲教育】
禁欲と教育、両者自体が切っても切り離せないものだが、1998年の米国では“深読み”でも書いた通り、クリントンが禁欲教育を重視していた。クリントンが大統領が当選した前年の91年、十代で妊娠する女子の割合は1000人中62人もいたのが98年には51人まで減少(これを激減したと見るかどうかは意見が分かれるだろうが……)。特に15~19歳に限れば統計を取り始めた76年以降で最低の数字になったという。もっとも、大人が子供に進んで避妊の知識を与えることは今なお賛否両論真っ二つに分かれている(米国では)。
【モニカ・ルインスキー】
クリントン大統領はあるセクハラ事件で告訴されたが、遡って94年、ホワイトハウス実習生だったモニカ・ルインスキーとの関係まで疑われるはめに。おかげで98年、クリントンは大統領弾劾訴追を受け、大統領をクビになりかけたのだった。ちなみにルインスキーのほうは暴露本などの出版で大儲けし、セレブのような生活を送っているという。
【現在のティナ役のサラ・アターバック】
どこかで見たことがある女優さん……と思った人は多いのでは。「グレイズ・アナトミー」の初期でアレックスがHし、続いてジョージに梅毒をうつした看護師オリヴィア・ハーパーを演じてました。トラブルメーカーの役が定着!?
2009.7.19|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
1994年9月2日。自転車に乗った小学生の男の子3人は、近寄ってはいけない場所を大人たちに言いつけられていたが、直後3人は水のないプールで、鈍器で殴り殺された遺体になって見つかる。プールの壁には“Evil Triumphs(悪が勝利する)”という落書きが。やがて2人の不良男子高校生、ディランとテディが“面白半分にやった”と罪を認め、無期懲役の刑に。テディは2つの拳にそれぞれ、“Good(善)”と“悪(Evil)”とタトゥーを入れていた……。
そして現在。フィラデルフィア市警の入口にある金属探知機が鳴る。通ろうとしたのは殺人課のリリー・ラッシュ。5か月前、犯罪者に撃たれ、久しぶりに現場に復帰するが、体内にまだ銃弾が残っているのかもしれない。犯人を射殺したリリーの同僚、ヴァレンズもまだ内部監査の調査対象になっていた。
そこへ現れた中年女性マーナはリリーに、息子は警察に殺されたと噛みつく。マーナの息子テディは刑務所で首吊り自殺したが、遺品から“私を止めてくれ。私は怪物だ"という手紙が見つかった。しかしテディは字の読み書きができなかった。真犯人からの手紙か。上司スティルマンから、復帰後はまずカウンセリングを受けるよう命じられながら、リリーはコールドケースの扉を開く。
刑務所にいるディランもまた、自分とテディは無罪だと主張する一方、当時捜査を担当したコネリー刑事は、プールの底がぬかるんでいたと証言する。そしてリリーは遺体発見現場の写真から、3人の子供の自転車のタイヤが泥で汚れていないことに気づき、3人が別の場所で殺されてから運ばれたと推測。犠牲者の1人、ジャックの両親であるヘンリーとタニアは、ジャックが“ドラゴンを追い払う"ためのぬいぐるみを持っていたのが無くなったといい、ディランがドラゴンかと思われるが、ディランは引き続いて犯行を否定し、高校のチアリーダー、ハイディが自分たちが犯人だと噂を流したと証言。また、ヴェラは事件が署内で隠ぺいされそうだったかもといい、事件の夜、犯行現場のそばにいた身長195cmのホームレスを取り逃した可能性が。当時の聴取で録音を担当した婦人警官ディアス、そしてコネリーは、コネリーがテディに暴力をふるったと認める。何とか見つかったホームレスは、事件の現場でディランを見たと証言する。だが、タニアが意外な証言を。事件の夜、夜勤から帰ったタニアは、血がついた懐中電灯を家の中で見つけていた……。
犯人は、ジャックの父親ヘンリーだった。事件の夜、ジャックら子供3人はふざけてヘンリーを真っ暗な部屋に閉じ込めたが、ヘンリーは子供の頃に幼児虐待を受けて以来、真っ暗な部屋が我慢できなかった。そこで恐怖心からジャックたちを殺したのだった……。
【今回の“深読み”】
第1話から重い事件、さらに重い背景で展開した「コールドケース5」。意外な犯人で驚かされましたが、もう1回見たら、前半で犯人は幼児虐待を受けていた可能性があるとのセリフがあり、うまく伏線を張った、優れたミステリーに仕上がっていました。第4シーズン第1話「ビデオカメラ」に続いて不良少年2人の犯行と思われますが、こちらは実は……というのも興味深いです。
さて今回は「ビデオカメラ」の前年、1994年の事件。実際にあった“ウエスト・メンフィス3事件”(別項参照)がモデルのようですが、“ウエスト・メンフィス~”と同じ93年には英国で10歳の少年2人が2歳児を誘拐して殺した“ジェームズ・バルガー事件”もあり、少年犯罪史上重要な年だったかもしれません。今回のエピソードも全編に漂うやりきれなさは、問題の深刻さを物語るかのようです。
リリーやヴァレンズも大変そうですね。リリーは命は助かったようですが、精神的ショックは大きく、フラッシュバックを見ています。また、金属探知機に引っかかったのはなんででしょうか。スティルマンがいう通り、早くカウンセリングを受けてほしいです。
あと、ヴァレンズはリリーを救うために銃を撃ったはずですが、射撃に正当性があったかどうか、まだ問題になっているとは。次回の予告編を見るとキレる場面があるようで……やはり心配です!
【BGMは全曲ニルヴァーナ】
1987年から1994年の間、米国シアトルを拠点に活動し、グランジの大ブームに貢献した記念碑的バンド。「コールドケース」的には第3シーズン第12話「遺書」で少年がメンバーのカート・コバーンの信奉者で、コバーンの後追い自殺をしたと思われる導入部だった。今回のBGMは2・4・5・8曲目が2nd.アルバム「ネヴァーマインド(Nevermind)」、1・6・7曲目が3rd.アルバム「イン・ユーテロ(In Utero)」、3曲目が未発表曲集「ウィズ・ザ・ライツ・アウト (With the Lights Out)」に収録されている。
【モデルになった事件】
1993年5月5日に起きた「ウエスト・メンフィス3事件」ではないかと思われる。この日、アーカンソー州の小さな川から8歳の少年3人の他殺体が見つかり、当時いずれも十代だった少年3人が逮捕され、有罪を宣告された。ところがこの事件、警察の捜査に問題があったり、少年の1人の悪魔崇拝が事件に関係していたのかなど、センセーションを呼ぶことになり、ドキュメンタリー映画「Paradise Lost: The Child Murders at Robin Hood Hills」とその続編も作られた。
【フィッシュタウン】
フィラデルフィアの北東側にある郊外の町。町の名前は、かつて漁師が多く住んだという、想像できる通りの由来(笑)。
【タニア役のメリッサ・レオ】
“Frozen River(原題)”(日本未公開)によって第81回アカデミー賞で助演女優賞にノミネートされ、今後も活躍が期待される実力派女優。ちなみに海外ドラマ・ファンには、古くは「ヤングライダーズ」のエマ役、「ホミサイド/殺人捜査課」のケイ・ハワード役もおなじみ。近年はたくさんの海外ドラマにゲスト出演しています。
【現在のディラン役のカーク・アセヴェド】
TV「OZ/オズ」でミゲル・アルバレス役を演じるなど、TV・映画で幅広く活動。現在は全米ヒット中のTV“Fringe”に出演中。
【エドマンド・バーク】
リリーにディランが語った“善人が何もしない時、悪が勝利する”は、18世紀の英国で下院議員だったバークの言葉。ディランとは反対に保守的で、日本の大日本帝国憲法にも影響を与えたといわれる。なんだかディランが「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」のマット・デイモンと重なって見えるような場面!?
【ルワンダ虐殺】
1994年4月から約3か月の間にアフリカのウガンダで80~100万人が殺されたとされる事件。元チアリーダーのハイディによれば、ディランとテディはその抗議集会で豚の血をまいたとのこと。しかし米国が慎重な態度を取っため、虐殺が拡大したという説もある。
2009.7.12|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
【STORY】
2006年10月17日。オハイオ州からフィラデルフィアに引っ越してきて、新居で荷解きをするジャコビ家の4人。コンピューター・プログラマーである父親アダムは失業中だが、それでも彼の妻エミリーは子供たちに“これから楽になるわよ”と約束する。そんなアダムとエミリー、長男ステュアートという3人が、何者かに射殺されてしまった……。
そして現在。当時はアダムによる無理心中と考えられたが、只独り一命を取り留めたが頭を撃たれて昏睡状態にあった長女キムが事件から5か月後、意識を取り戻す。事件を断片的にしか憶えていないキムだったが、アダムではない別人が犯人であること、そしてなぜか犯人がキムを撃つ前、“永遠に、ロミオ”と口にしたことを思い出す。ロミオとは誰なのか。その時ジャコビ家にいたのか。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
ジャコビ家の隣人の証言によれば、アダムはキムのボーイフレンドに激怒していたという。そこでキムの高校の同級生だったリックが怪しいと睨まれるが、現在のリックはキムとは付き合っていなかったと主張。また、キムのPCを分析すると、キムが当時ストーカーとチャットしていた可能性が浮上し、相手の名前はロミオだったらしい。キムの別の記憶が新たに甦る。両親の夫婦ゲンカの最中、家のバスルームにいたキムにロミオから電話がかかってきて、キムが窓から見たロミオの背後にはレーザー銃の光があったという。光はステュアートと隣の少年ジェフがゲームで遊んでいたものだったが、現在のジェフはストーカーがジャコビ家の中にまで侵入していたこと、チャットをしていたのが実は母親エミリーだったことを明かす。そして事件の当夜、キムの携帯から電話を受けていたリックは真実を明かす。その夜ジャコビ家では、家族に絶望したキムが銃を取り出していたという。しかし現在のキムは殺人課での事情聴取で、キムを追い詰めたことを反省した両親が家族としてやり直そうと決意した直後、ストーカーがジャコビ家を訪れた……と証言するいなや、この5か月間キムの看護助手だった男性、エドが拳銃を手にして殺人課に押し入る。
犯人は、キムが自分を愛していると誤解したエドだった。警察の狙撃手に撃たれたエドはスティルマンを撃つが、リリーはそんなエドを説得してキムを解放させる。しかし、ヴァレンズの銃がエドを撃ち抜く直前、エドが撃った銃弾はリリーの体を貫いていた……。
一方、リリーの母親エレンは突然亡くなってしまう。母親にさよならすら言えなかったことを激しく後悔するリリーだが……。
【今回の深読み】
「コールドケース」第4シーズン最終回となった今回は終盤、犯罪者が拳銃を手に、フィラデルフィア市警に乗り込んでくるという壮絶なクライマックスに。銃で撃たれたリリー、そしてスティルマンの運命は……。あるシーズンの結末が次のシーズンの始まりにつながるという、TVドラマ用語でいうところの“クリフハンガー”で幕を閉じた。
正直いうと、さすがにリリーは死んでいないと思うが(リリーがいない「コールドケース」なんて!)、彼女を悩ませた母親ヘレンの他界と共にリリーがこれから過去を引きずらないかファンとしてやや心配。また男の中の男、スティルマンの傷は雰囲気からして重傷ではないようだが、ちょっとおトシなので(←失礼)、気にならないといえば嘘だ。
そんなこんなでファンは第5シーズンをあれこれ期待したり予想しながら待つしかないが、今まで全話を見てきた筆者としてはこの第4シーズン、ジョジーという新たな女性刑事が現れながら、なぜかすぐに消えちゃったりした第3シーズンに比べると各エピソードはバラエティ豊かかつ粒揃いで、第1・2シーズンの高いレベルに戻ったと感じた。これはあくまでも筆者の意見だが、筆者の個人的ベスト5エピソード、「ビデオカメラ」「義手」「熱帯魚」「ホタル」「ルイーズ」など、この番組ならではという傑作エピソードも多く、リリーのトラウマの原因である彼女の母親がきちんと描かれたというのも大きな見どころとなった。「蓄音機」という番組史上最も古いコールドケースを取り上げた、その野心も忘れがたい。継続こそ力なりと示した、そんな本作にあらためて感謝したい。
あっ、このブログの第3シーズンで間違えていた部分の修正ですが、年明け一発目にWOWOWのご担当に修正をお願いしますので、もう少々お待ちください(すみません)。
それでは「コールドケース」ファンの皆様、よい新年をお迎えください。そしてまた、お会いできる日まで……。
【ロミオよ、ロミオ。あなたはどこにいる?】
ヴェラがこう呟く場面は、もちろんシェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」の名台詞になぞらえたものだ。そこでヴェラは謎の人物のハンドルネーム“モンタギュー01”は、ロミオの家、モンタギュー家にちなむと推測する。
2008.12.20|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
【STORY】
1998年5月8日。ヘッジファンド・マネージャーとして成功したジェイは、かつて自分を採用しなかった会社を乗っ取り、即座に社長を解雇する。その態度は自信満々だ。しかし、ジェイは悪性脳腫瘍に冒され、病院のベッドで息を引き取る。
そして現在。ホスピスの看護師ケニックが10年間に患者を6人も安楽死させた罪で逮捕される。他にも被害者がいないかどうか捜査が進む中、1998年にケニックが担当していたジェイの死に注目が。余命3か月を宣告されたジェイだが、モルヒネの数値が異常に高かったため、1か月も早く亡くなったらしい。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
一代で巨財をなしたジェイだが、腫瘍が見つかったのは遅すぎた。病院のベッドの枕元のノートには“ルイーズ”という一言があった。リリーとヴァレンズは拘置所のケニックを訪ねるが、ケニックはジェイ殺しを否定し、“ルイーズ”という言葉にも心当たりがなく、ジェイが妻キャロラインと口論していたと証言。現在のキャロラインは、夫が同じ病院に入院していた少女の母親、アメリアと対立していたこと、夫が何か幻覚を見ていたことを振り返る。アメリアはジェイの死の数日前に娘を失ったが、なぜかジェイが亡くなった日にも病院にいた。現在のアメリアは、病院にいたのは巨額の治療費の相談のためだったと弁明すると共に、ジェイが息子トミーに激怒していたことを思い出す。現在のトミーによれば、ジェイは仕事の相棒フィルとキャロラインの不倫に気づき、フィルが絶交される光景を見たという。現在のフィルはジェイが亡くなる直前、会社から大金を勝手に引き落としたことを証言。その金額はアメリアが困っていた治療費と同じ額だった。アメリアは自宅に来たジェイに余ったモルヒネを引き渡したことを認めつつ、トミーがジェイを迎えに来たという。そしてトミーは死が近づいた父親との会話を思い出す。“ルイーズ”とはジェイが幻覚で見た、かつて家族3人で過ごしたという海辺のモーテルの名前だった。キャロラインはジェイの思い出を否定するが、リリーの説得に折れ、思い出が事実だったと告白。
犯人はキャロラインだった。弱ったジェイを見た彼女は彼と和解し、激痛に苦しむ彼から頼まれ、彼を楽にしてやったのだった。
一方、リリーの母親エレンはどうしても断酒できず、再び酒を口にしてしまう。しかしリリーの気持ちに変化が……。
【今回の深読み】
泣かされました、筆者は今回も。強欲な主人公が死を前に改心する物語はありがちと言えなくもないが、ミステリー性やレギュラー登場人物の魅力を絡めることで、「コールドケース」ならではの一編に仕上がっていた。海と浜辺という舞台が重要なのは第3シーズン第9話「ペンダント」を思い出させるが、あれも泣かせるエピソードだった。
それでも深読みしないといけない訳だが、まず“安楽死”“尊厳死”に着目したあたりがユニークだ。筆者は米国の病院ドラマも色々と見ているが、そうした作品において医師たちの目標は患者の治療であるからか、“安楽死”“尊厳死”は取り上げられにくいことに気づいた。病院とホスピスの違い、と置き換えることもできる。ちなみに米国のオレゴン州では法律で安楽死が認められている。
そして1998年だが、米国では折しもITバブルの全盛期だったはず。ジェイのような若手金融マンが羽振りを利かせた時代だったのだろう。そんなジェイですら最期には家族の愛を選んだ、それが筆者にはよく分かる。
話はそれるが、筆者は今から10年位前、体のおかしくなった部分を町のお医者さんに見せに行ったところ、数秒後にそのお医者さんが大きな病院に電話をかけ、そこに即入院したという経験があるが、そこへお見舞いに来てくれた人たちに感謝はしたが、当時まだ独身だったので奥さんや子供たちのお見舞いがないのが素直に寂しかったことを今もよく憶えている。ちなみに同じ病室にはヤが付く自由業の方もいて、子分の方々(?)が続々とお見舞いに来る、そうした光景ですらアット・ホームに見えて、少々嫉妬してしまったほどだ。
今回のラスト、夫や息子と思い出を作ったあのビーチに立つキャロラインは、一旦釈放されて裁判を待つ身なのかもしれないが、夫そして息子の愛を取り戻した彼女が幸福な余生を送れることを祈りたい。
そしてリリーだが、母親エレンに対する心境の変化も終盤のキャロライン尋問シーンで明かされ、連続ドラマならではの見どころに。犯罪者を憎むのではなく、犯罪に巻き込まれて犠牲になった人々の心を救うという、本作の精神をあらためて見た思いだ。
さて、次回「ロミオ」は第4シーズンの最終エピソード。おなじみの刑事たちに何か大事件が起きそうな気配? お見逃しなく!
2008.12.13|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
【STORY】
2005年5月20日。フィラデルフィア港の埠頭で談笑する湾岸労働者たち。そのうちの1人マイクは、いつかマイアミに引っ越す夢を仲間に語る。仲間たちと別れたマイクは1つのコンテナの様子がおかしいと思って中を覗くが、そこには怯えて震える大勢の女性が。1人の少女が弱っているのを見たマイクは、彼女を抱えてコンテナの外へ。だが翌月、マイクは何者かに殺されてしまう。
そして現在。港で身元不明の女性の遺体が見つかる。東欧系で、足の裏をタバコで焼く手口から、ロシア系人身売買組織のボス、ナチャルニクのしわざと見られる。トマス検事補は似たようなコールドケースをナチャルニク逮捕の糸口にしたいといい、スティルマンは05年に殺されたマイクを思い出す。マイクの足の裏にもタバコが押し付けられた跡が。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
マイクが密入国を黙認してリベートを受け取っていた可能性が疑われる一方、現場監督のロイはマイクが善人だったといい、孤児であるマイクはコンテナにいた15歳の孤児リナの面倒を見ようとしていたと振り返る。リナがビザを取得できないか、マイクから相談を受けたウクライナ・コミュニティ・センターの女性ボイカは、リナがマイクのもとから逃げたといい、リナが最後にキリルという男に電話していたと思い出す。現在のキリルは自分がナチャルニクの運転手で、リナをパール通りの売春宿に連れて行ったこと、マイクがリナを探していたと振り返る。やがて当時パール通りの売春宿で働かされていた女性カテリーナが浮上。今はネイルサロンを経営しているカテリーナは、マイクがリナに会えるよう手引きしたと認める。ついにナチャルニクの正体が、何とボイカだと分かる。しかしボイカはマイク殺しを否定。やがてマイクの船がコネチカットで見つかるが、現在の船のオーナーは訛りがある女性から船を買ったといい、リナの犯行である可能性が浮かぶ。リリーに見つけられた現在のリナは、マイクが自分でなくカテリーナを選んだと証言する。
マイクを殺した犯人はカテリーナだった。マイクのリナに対する愛情に嫉妬し、しかもマイクに拒まれたのが動機だった。
一方、リリーは倒れた母親エレンを見つけてショックを受ける。病院に担ぎ込まれたエレンは肝硬変の末期であることが分かり……。
【今回の深読み】
前回お伝えした通り、「アンタッチャブル」「ブラック・レイン」、最近だと「オーシャンズ13」にも出ていた人気俳優、アンディ・ガルシアが監督をつとめた今回の「コールドケース」。
東欧女性の人身売買がテーマで、事件そのものはフィクションと思われるが、そうした背景は実際に大きな社会問題になっている。以前WOWOWが放送した英国産ミニ・シリーズ「セックス・トラフィック」を思い出した人も多いだろう。貧しい東欧女性たちが英国などに売られていく現実は余りに厳しく、とても気が重くなったことを筆者は憶えている。ロシア系マフィアの台頭共々、アップ・トゥ・デートな題材で、古い事件を描く当番組としては珍しい例だが、いま虐待されている女性たちを救いたいという、この番組の強い姿勢を感じた。それにしても、これが地上波で放送された米国って凄いよ!
さて、ガルシアがどういう経由で今回監督したか、筆者はまだ調べていないが、彼としては子供時代、キューバ難民だった自分を重ね合わせられたからではないか。彼の一家は革命が起きたキューバを逃れ、船に乗って米国のマイアミに渡り、まだ子供だったガルシアも汚れ仕事で生計を立てたとか。マイクが熱いキャラとして描かれている点に、熱いラテン系=ガルシアの演出を感じた。
さて刑事陣では、リリーの母親が引き続いて心配。そしてヴァレンズは、検事補トマスと引き続いて仲が悪いと思いきや、いきなりアターック(笑)って分かりやす過ぎ。それでもラスト、“解決”と書いた箱の下の箱、“DOE,J(身元不明の女性に付けられる名前、ジェーン・ドゥのこと)”を見てやり切れない気持ちになったが、いつか変わるのか。
それと今回も“男の中の男”、スティルマンに筆者は感激。“俺は港をよく知っている”なんて、筆者も死ぬまでに1度は言ってみたい(笑)。年齢からいってもマーロン・ブランドが主演した映画「波止場」のようにワイルドな世界にいたんでしょう、恐らく。
【カテリーナ役のヘレナ・マッツォン】
美人だなぁと思って俳優データの宝庫、IMDbで調べたら、1985年スウェーデン生まれで、19歳の時に渡米したとのこと。それから3つの「CSI」すべてなど多数のTVにゲスト出演。美人を只キャスティングしただけでなく、そんな経歴が東欧(かロシア)から米国に渡ったカテリーナ役にふさわしかったからでは?
2008.12. 6|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
【STORY】
1919年6月9日。クラシカルな街並みを親しい人々と歩く若い女性フランシスは、父親アンブローズから“じゃじゃ馬”と罵られて立腹。しかし女性の参政権を主張する女性たちに目がとまり、心がときめく。そんなフランシスだがしばらくして命を落としてしまう。
そして現在。ペンシルベニア大学で女性学を学ぶ学生エマがリリーを訪ねてくる。祖母のおばフランシスは1919年に何者かに殺されたが、祖母の形見のロケットの中から、フランシスがフィリッパという人物に宛てた手紙を見つけたという。フランシスは婚約者ローレンスに浮気を知られたのか。リリーは、今まで取り組んできた事件で最も古いコールドケースの扉を開く。
フランシスは6月23日、自宅の2階から転落死していたが、当時の新聞記事の写真の片隅にいるメイドがフィリッパで、その目元には殴られた跡が。どうやらフランシスは結婚して家庭に縛りつけられるのを嫌い、自由に生きることを望んでいた。現在、フィリッパの娘オードリーが殺人課に呼ばれるが、オードリーはランブローズの家が禁酒法の影響で破産したと振り返りつつ、母とフランシスは確かに仲が良かったが性的関係でなかったこと、フランシスがフィリッパを女性参政権論者の集会に誘ったことを思い出す。生前のフランシスの日記からは、彼女とフィリッパが初めて集会に行った日、母親エリザベスが乗り込んできてフランシスを強引に連れ帰ったことがわかる。リリーたちは、運動の指導者アリスがフランシスをスパイと誤解して殺した可能性を疑うが、生前のアリスに会ったことがある大学教授は、アリスとフランシスは意気投合していたと語る。ヴァレンズは当時の警察の記録から、警察に拘留されたフランシスに婚約者ローレンスと父親アンブローズが面会に来たと知り、フィリッパがアンブローズに運動のことを密告していたこと、友人に裏切られたフランシスが父親の説得に折れて帰宅したことを推測。再び現在のオードリーは、母が暴力的な夫に脅され、夫に娘を奪われないよう仕方なく密告したこと、そしてフランシスが留置場のアリスを救おうと決意していたことを振り返る。やがてエマの家から、エリザベスが録音したレコードが見つかる。蓄音機の上で回り出したそれは、長い時を越える意外な告白だった。
犯人はエリザベスだった。保守的なエリザベスは自分の言うことを聞かない娘と揉み合ううち、娘は2階から転落したのだった。
一方、リリーは何か問題を起こして留置場に入れられた母親エレンを引き取りに行く。エレンは恋人のジャッキーに捨てられたと嘆き、再びアルコールに溺れていた……。
【今回の深読み】
セピア色で始まり、セピア色で幕を下ろした今回の「コールドケース」。1本のドラマで2つの時代を描く当番組の真骨頂を思わせる力作だった。
虐げられた女性たちの歴史が1つのテーマである当番組だけに、女性の参政権が認められる前の時代というのは気合が入った題材に違いない。ちなみに日本で女性参政権が認められたのは1945年だった。
さて今回、勉強不足の筆者にとって面白かったのは、女性参政権を求めた女性たちは禁酒法にも賛成していたという歴史的事実。これはフランシスの父親アンブローズが犯人かもしれないという可能性を示唆して緊迫感を維持するが、禁酒法と聞いて即、TVや映画の「アンタッチャブル」のような世界しか思い浮かばなかった筆者には目からウロコ。調べると当時、男性の泥酔に批判的な女性たちと女性参政権を望んだ女性たちは重なっていたんだとか。それは考えたことがなかった。
また劇中、大学教授が“手に入れるのが大変だった参政権なのに、今は大切にされていない”とこぼすが、この人、米国の民主党なのかも。先日、民主党のオバマ候補が次の大統領に決まったが、選挙権がありながら今まで大統領選に投票しない層が動いての勝利という声もある。
レギュラーの刑事陣では、久しぶりに母親エレンが登場したリリーが主人公の回となった。“コールドケースじゃなくてアイスケースだな”というヴェラに、“アイスピックを出さなきゃ”といって捜査に入るあたりは颯爽としていたが、終盤でエレンが再び酒を口にしてしまう(前出の禁酒法と対になっている!)カットはショッキング。お母さん、あまりリリーをいじめないで……。
次回は俳優アンディ・ガルシア(おっ、映画版「アンタッチャブル」が出世作なのは奇妙な偶然!?)が監督した話題のエピソード「コンテナ」がついに登場。お楽しみに!
【メアリー・ピックフォード】
今回の背景となった1910年代、映画がまだサイレントだった頃のスーパースター。当時は“アメリカの恋人”と呼ばれたほどの人気者で、エリザベスがファンだというのは、いかに彼女が保守的かを示す巧い引用。そんなピックフォードだが、後に人気男優ダグラス・フェアバンクスと結婚するも離婚し、実業家に転じて活躍するという、エリザベスよりはフランシスやアリスに近い女性だったのが皮肉。さりげないようで練った人選だ。
【現在のオードリー役のエレン・アルバーティーニ・ドウ】
1918年生まれで、何と今回の事件が起きた頃から生きていらっしゃる! しかもこの女優さん、約30年も演技やダンスの先生をした後、70歳近くでデビュー。今回は88歳の時に出演し、今後も映画など4本に出演予定。超遅咲きの実力派として長生きしてください!
2008.11.29|エピソードガイド|固定リンク|コメント(0)|トラックバック(0)
【STORY】 1997年9月1日。ある高校のグラウンドで高校生たちがフットボールの練習に打ち込んでいる。一方、グラウンドの隅では新人チアリーダーの入部審査が行われており、レイニーとセレステの2人が合格する。しかしレイニーの遺体がグラウンドで見つかり、体内からドラッグとアルコールが検出されたため、事件は事故死として処理される。 そして現在。来場者が紙に秘密を書いて貼るというモダンアートの作品から“私がレイニーを殺した”というメモが見つかり、そこには犯人でしか知り得ない情報が。レイニーの母親は、娘はドラッグにもアルコールにも手を出していなかったという。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
スティルマンらはレイニーの親友だったセレステを訪ねるが、ベッカという先輩がレイニーを利用して自分の落ち目ぶりを隠そうとしていたと証言。そして現在のベッカはレイニーが、後にドラッグを精製して退学になった“負け犬”の男子生徒ジョーがレイニーに接近していたと思い出す。そんなジョーは現在、レイニーは純真だったといい、ケイシーというアメフト部員がチアリーダーたちに接近していたと振り返る。そんなケイシーは大学でデート・レイプ事件を起こしていたが、かってチアリーダー同士歪んだ関係があった上、コーチのプルイットに問題があり、抗議したレイニーを脅していたと証言。現在のプルイットは、レイニーが死んだ日の前日、物理の授業でレイニーがベッカを批判し、ジョーがレイニーを応援していたと語る。その教室で意外なものが見つかる。それはモダンアートに貼られたメモにもあったマークの落書き。マークを書いたのはジョーで、彼は取調べに対し、自分がレイニーを殺したと自白する。しかしそれは自分がレイニーを救えなかったという意味。ジョーは当時レイニーがチアを辞めると決めたことを振り返る。リリーはレイニーの代の同窓会の夜、現在のベッカを問い詰める。ベッカは自分とチア仲間たちがグラウンドでレイニーをいじめたのを認めるが、その場にセレステもいたという。
レイニーの死には、ベッカ、そしてセレステに責任があった。セレステはチアリーダーになって周囲を見返そうとするあまり、親友のレイニーがチアリーダー部を混乱させたことに危機感を抱いた。そして、ベッカにドラッグ入りビールを飲まされたレイニーを、グラウンドに置き去りにしたのだった。
【今回の深読み】
米国の若者の間にいじめや差別の問題があるというテーマは、今までも第3シーズン「小屋」や第4シーズン「ビデオカメラ」でも取り上げられたが、今回はチアリーダーでいながらチアやアメフト部の体育会(米国ではジョックスという)の腐敗と、その圧力に抵抗した少女の悲劇が展開。
筆者は日本の学校しか行っていないが、男子はアメフト部、女子はチアリーダーを頂点とするヒエラルキーが全米の高校では当たり前なんだとか。そんなポピュラー(人気者)は、いじめなどで弱者を支配し、こうして強者と弱者の格差はますます広がる。
かつて全米でヒットしたドラマ「バフィー~恋する十字架」はホラーやコメディの要素を駆使してその陰惨さを薄めていたが、リアルに描くとこうだよ、というのが今回の「コールドケース」だったと思う。
そんなヒエラルキーだが、実は高校までのもの。大学に入れば勉強が忙しくていじめなんてしてられないし、社会でチアやアメフトが役に立つとは限らない。しかし、虐げられた者の屈辱はけっして忘れてはならないという、番組の作り手のメッセージを感じた。
話は変わるが、米国の学校のいじめは日本のそれと異なるそうだ。たとえば少数民族をいじめたらそれは差別となるので、親も徹底的に注意する。そして生徒は授業毎に教室間を移動するので(日本は教師が動く)、休み時間にできるいじめは大したことがないという声も。なので1つのソサエティ(たとえば体育会)の中で、ひそかにいじめは起きるという。今回の物語、レイニーの母親が、娘が悩んでいたことに気づいていなかったのは、そんな背景があるからかもしれない。
さて、筆者はリリーが力強く尋問する場面が大好きだが、今回は後半、“私が行く”と言って現在のベッカに歩み寄ったのがカッコよかった。“あなたはハイスクールのプロムが人生のピークだった”と言い切るなんて、ひょっとしたらリリーも昔はいじめられていたのか。さらにその場を去ろうとするベッカに“そこ一歩も動くな。捕まるよ”と決め台詞。吹替の田中敦子さんの演技もいい!
刑事陣では、最初のほうでヴェラが、高校時代はアイスホッケーをしていてモテたと振り返ったのが何だか笑えました。
【原題の“Stand Up and Holler”】
Stand Upは「立つ」で、Hollerは「叫ぶ」(Horror=恐怖と似たスペルなのが面白い)。「立ち上がって叫ぶ」というチアリーダーらしい動作と、ベッカらチア関係者に抗議したレイニーの勇気ある行動、両方にかけた、うまいタイトルだ。
【BGM2曲目の“Wannabe”】
当時の英国の人気女性グループ、スパイス・ガールズ(Spice Girls)のデビュー曲。本国で7週連続ナンバーワン・ヒットを記録し、世界37か国でナンバーワンに。お時間のある方はネットで歌詞を探してみてください。この場面にあまりにピッタリな内容!
【ラストの曲はレディオヘッド】
凄い偶然だが、WOWOWは11/28(金)深夜0:30に4年半ぶりの来日公演の中継「Radiohead Japan Tour 2008」を放送!
【現在のベッカ役のローレン・ウッドランド】
見たことがあるような無いような、と思って調べてみると、子役出身で数多くのドラマにゲスト出演。で筆者が見ていたのはTV版「エイリアン・ネイション」のエミリー役だったが、当時の写真はここの写真の一番手前の少女。これじゃあ思い出せないって!
2008.11.22|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
【STORY】
1987年5月9日。住宅街の路上で自転車に乗る練習をする少年クレイトン。補助輪を付けていない自転車は転んでしまうが、父親ミッチはそんな息子を励ます。母親タラは心配そうに2人を見守るが、ついにクレイトンは1人で自転車に乗れるように。幸福な風景だ。しかし、クレイトンは何者かに殺される。
そして現在。ビルから男性が墜落死するが、自殺ではなく他人に両手を縛られていた。男性は性犯罪で逮捕歴があり、犯人は“毎日1つずつゴミを片付ける。わが子クレイトンの事件が解決するまで”という声明を残す。クレイトンの父親ミッチの犯行だった。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
クレイトンはレイプされた上に絞殺されたが、自転車が消えていた。遺体が見つかったのがミッチの職場で、遺体に付着した体液がミッチの血液型と一致したことなどからミッチは逮捕されて終身刑となったが、控訴審で証拠不十分が認められて釈放されていた。そこへミッチから、兄マイクが性犯罪の被害を受けたヴァレンズに電話がかかる。ミッチはマイクのことを新聞で読んでいて、“真犯人を捕まえてくれ”とヴァレンズに頼む。
ミッチの別れた妻タラは現在、クレイトンがいなくなった日を思い出し、日曜日なのに郵便局員グラバウスキーがいたことを思い出す。性犯罪歴があるグラバウスキーは現在、ミッチの家のベビーシッター、トリッシュの恋人アダムがクレイトンの下着を洗っていたことを思い出す。現在のアダムはクレイトンと親友のジョニーが“スケアクロウ”という人物からナイフをもらったと証言。現在のジョニーは、スケアクロウとは近所の高校生デイモンで、クレイトンが彼に自転車を奪われた直後、デイモンが庭に何かを埋めていたという。デイモンの家の当時の庭から自転車が見つかる一方、ミッチは再びヴァレンズに電話をかけた後、今度はグラバウスキーを墜落死させて殺してしまう。リリーたちが見つけたデイモンはクレイトンの通夜でタラがミッチと口論していたと証言。現在のタラはその夜、ジョニーの写真を見つけたといい、その姿勢はクレイトンの遺体と同じだった。やはりクレイトンを殺したのはミッチなのか。しかし、現在のジョニーは写真を撮ったのが自分の父親クリフだったと告白。クレイトンを殺したのはクリフだった。
そこへミッチがクリフをビルの屋上に連れ出したという報せが。捜査陣とSWATは現場へ急行。ミッチは写真のことをヴァレンズに聞き、クリフが犯人だと分かったのだ。ヴァレンズとタラはクリフを殺さないようミッチを懸命に説得。ミッチはクリフの自白を聞くと投降し、警察に逮捕される……。
【今回の深読み】
重いエピソードが多い最近の「コールドケース」でも、今回は超ヘビー級だった。一人息子を殺されたのに自分が犯人と誤解され、一度は終身刑の判決まで受け、妻にも捨てられた男。事件から20年の間、その悲しみは怒りに転じた。性犯罪者を私刑することで息子が殺された事件を再捜査させるというのは、人間として崖っぷちに立たされたのだろう。筆者は、妻帯者ではあっても子供はいないが、もしも自分に子供がいたらどちらの立場に立っていたか、考えさせられた。だがそんな悲劇をエモーショナルに描くだけでなく、今の米国の性犯罪を取り巻く各事情を社会派ドラマの要素としてきちんと盛り込んでみせたのが、本作の秀逸な点であると確認した。
レギュラー陣では、今回はヴァレンズが主役か。性犯罪者たちへの厳しい態度はなかなか男らしかったとはいえ、結果としてミッチにヒントを与えるドジをしてしまうあたりがこの男、面白い。
悲しみが深すぎる悲劇には違いないが、ラストシーン、ミッチとタラが20年にも及ぶ誤解を乗り越えて抱き合った後、最愛のクレイトンが2人に見えた最後のカットは、家族愛の復活を思わせ、さらに感動がこみ上げてきた。そしてユニークなのはその後、製作総指揮2人の名前が映るところが今までの本作と異なり、白地に黒い文字で書かれたこと。細かい工夫まで手抜かりなしだ。
【女性検事補トマス】
第4シーズン第7話「日食」以来の再登場だが、今回はヴァレンズと対立ムードが濃厚に。今後も登場するので要チェック。
【グラバウスキーの足首にあったもの】
GPS(グローバル・ポジショニング・システム=全地球測位システム)を使った発信機。米国では過去に性犯罪を起こした者に再犯させないよう、こうした足輪を装着させて居場所を把握しようという試みが実行中だ。
【メーガン法】
1994年に米国ニュージャージー州で成立した性犯罪者情報公開法の俗称。他州、たとえばフィラデルフィアがあるペンシルベニア州でも、連邦法のもとに導入されている模様。過去に性犯罪を起こした者を、再犯率が高いという理由でその居場所の情報をネットなどで公開するものだが、再犯抑止に本当に効果があるかどうかなどまだ議論されている。
【“スケアクロウ”】
リリーも言っていたが、コミック「バットマン」の悪役キャラの1人。映画「バットマン・ビギンズ」と続編「ダークナイト」(やはり傑作でしょう)にも登場した。これがあだ名というのはデイモンの暗い性格を象徴?
【グラバウスキーの遺体が見つかった場所】
筆者は9月、LAで米国のドラマの収録を幾つか取材したが、この路地にも行っていたのでびっくり。「ザ・ユニット 米軍極秘部隊」シーズン4のロケ地の1つがダウンタウンのこの裏路地だ。もしも見たらよーく見てください……といっても、カメラの向きが違うので分かんないかも。ひょっとして私も!?
2008.11.15|エピソードガイド|固定リンク|コメント(0)|トラックバック(0)
【STORY】
1999年9月13日。1台のステーションワゴンが住宅街を走っている。しかし、停まる場所はどこにも無い。車内では幼い姉妹、姉ナタリーと妹アビーが家が無い生活に不平をこぼすが、運転する母親マーリーンは娘たちに言い聞かせる、“好きな家に住めるわ、いつかね”。その後、ステーションワゴンはどこか水の中に沈み、運転席にはマーリーンが……。
そして現在。環境保護グループがある公園の池を調べるとモーリーンの車が沈んでいて、中には小口径の銃で射殺されたモーリーンの遺体が。しかし他の家族は見当たらない。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
マーリーンは夫をガンで失い、巨額な医療費のため全財産を失った。現在のナタリーは母親が自殺したと信じていたが、元の家を出た最初の夜に行ったホームレス用シェルターを思い出す。そこでモーリーンと口論になった元ホームレスのヴィータは犯行を否定し、マーリーンが勤め先のスーパーで、オーナーのアニルを移民局に不法移民の雇用を訴えると脅していたと証言。だがそんなアニルは当時マーリーンに同情し、護身用の銃を与えたと振り返り、ホームレスのホッパーがマーリーンに接近していたのを思い出す。ホッパーはマーリーンに宝クジを贈り、当たったら100万ドルの賞金を山分けする約束をしたが、アビーを乗せたまま車がレッカーされる事件が発生。レッカー係のトニーも疑われるが、トニーはアビーが銃を隠していたと証言し、現在のアビーはマーリーンに反発したナタリーが銃を持っていなくなったと振り返る。そしてナタリーはホッパーにもらった宝クジが25ドル当たったことを思い出す。
犯人は100万ドルの宝クジが当たったと勘違いしたホッパーだった。分け前を迫るうち、ついマーリーンを殺してしまったのだ。
一方ジェフリーズはスティルマンから警告を受けながら、妻メアリーをひき逃げした男ケラーに犯行を認めるよう詰め寄るが、意外な結論にたどり着く。それは……!?
【今回の深読み】
2人の幼い娘がいながらホームレスになってしまった女性。彼女から命を奪ったのは、やはりホームレスだった……という、今回も重い気持ちにさせられるエピソードだが、同時に米国社会の矛盾を反映している。
今回のエピソードが全米放送されたのは2007年3月で、サブプライムローンの問題が浮上しだした頃のはず。この問題は1年半後、現在の世界金融危機を生み出すが、モーリーン母子がホームレスになった理由は別だとはいえ、現状を先見したかのようで脚本に感心させられる。また、モーリーン母子が亡き父のため高額の医療費を払わされたというのも国民皆保険が実現していない米国では大いにありうる話で、最近WOWOWも放送した映画「シッコ」でも詳しく描かれていた。また、スーパーのオーナーのアニルが“大型店に押されていた”と愚痴るが、米国では大手の大型スーパーが小さなスーパーや小売店から客を奪い、空洞化の問題を起こしている。
もう1つ気になったのは、1999年の事件なのに回想場面はモノクロだったこと。近年の事件の回想場面はカラーであることが多い「コールドケース」であるのに、あえて事件を古く見せようとした狙いだが、想像するに昔も今もこれらのような悲劇は無くならないという作り手の視点があるからではないだろうか。富める者がいる一方で貧しい者がいる。その事実はなかなか変わらないのだろうか。
そうしたメインのストーリーにも感銘したが、今回の大きな見せ場になったのはジェフリーズの決断。刑事として踏み外してならないところでぐっと踏みとどまった、その勇気に拍手したい。亡き妻が好きだったマイルス・デイヴィスのアルバムという小道具も泣かせる。スティルマンも、上司というより親友としてジェフリーズを心配したかのようで、この2人、筆者は同じ男から見て憧れるよなぁと感動させられることが多いぞ!
【アイザック役のジョン・ディール】
前回からジェフリーズの妻をひき逃げした男、ケラーに扮しているのは、懐かしの刑事ドラマ「マイアミ・バイス」で三枚目の刑事ジートを演じたディール。以後、色々なドラマにゲスト出演しているので、お久しぶりってことはありませんけど……。
【今回の選曲】
細かいようだが、今回は全曲、女性ボーカルの曲だった。亡くなったマーリーンへのレクイエムのようでもあり、残された娘2人への応援歌(?)でもあったように思える。
2008.11. 8|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
【STORY】
1984年9月15日。スーパーを経営するパットは店で、レスリング選手である息子グラントがジュニア・オリンピックの強化選手に選ばれたことを誇らしげに発表する。そして店にいたグラントの弟モーリスは、父パットから将来の目標を持てと説教される。そんなモーリスは行方不明になってしまう。
そして現在。ゴミの投棄場からモーリスの白骨遺体が見つかる。遺体の損傷の仕方は、モーリスが何者かに殺されたことを語っていた。リリーはコールドケースの扉を開く。
現在のパットやグラントは、生前のモーリスが町の主流の男たちのようにスポーツを好まず、本や音楽が好きで、誰かに殴られていたと振り返る。またグラントは弟が近所のダンス学校を窓から覗いていたと明かす。ヴァレンズたちがダンス学校を尋ねると、グラントに殴られているモーリスを救った女性、クリスタルがいて、モーリスが亡くなった母親の影響でダンスに興味があり、当時のクリスタルの気の荒い恋人カルロスが、モーリスを挑発したのを思い出す。現在のカルロスは、直後に自分がモーリスをダンス・コーチのリロイに引き合わせたといい、現在のリロイはモーリスの熱意にほだされ、彼にダンスを教えたと言う。モーリスはめきめきとダンスの腕を上げ、クリスタルとも親密になっていったという証言が。現在のクリスタルはモーリスとの交際を認め、意外な事実を明かす。ある日モーリスが突き飛ばしたせいでグラントは膝を負傷してオリンピックをあきらめ、パットはモーリスを罵倒したという。だが現在のパットは、ダンス学校の入学オーディションでモーリスが熱心に踊る姿を見て、彼の才能を認めたことを思い出す。
犯人はグラントだった。強化チームについていけないグラントは、オリンピックをあきらめて父親の期待に背くのを恐れ、ケガを偽装すると共に、急に弟が父親に認められたのが悔しく、犯行に及んだのだった。
一方、11年前にジェフリーズの妻メアリーがひき逃げされた事件の有力情報が。ジェフリーズは犯人らしき男ケラーに会いに行き、ケラーこそ犯人だと確信するが……!?
【今回の深読み】
1967年生まれの筆者には自分の少年時代、1984年のことが次々と頭に浮かぶノスタルジックなエピソードだった。ラストシーンも、いつも以上にMTV風に見えたし。1984年といえば前年に映画「フラッシュダンス」が大ヒットし、エアロビクスやヒップホップなどのダンスが流行した頃だ。ついでにいうとダンス教師リロイの名前は「フェーム」の登場人物が元ネタかとかツッコミたいし、ウィキペディアなしで今回のBGM全曲に一言はふれられる自信もある。しませんが(笑)。
同時に、マッチョな男性が持てはやされた時代だった。たとえば映画界ではシルヴェスタ・スタローンが「ロッキー」と「ランボー」で人気で、1984年には「ターミネーター」でアーノルド・シュワルツェネッガーにも注目が集まった。兄がマッチョで弟がダンス好きだったら……というのは面白い着想だ。そして1984年はロサンゼルス五輪が開かれた年でもある。
とはいえ今回は、ほぼ間違いなく英国映画「リトル・ダンサー」が下敷きだろう。筆者も感激したのを覚えていた映画だが、忘れていたが、これも1984年の物語だったのだ。今回のエピソードの邦題を考えた人も気づいた? お薦めの映画なので未見の方はぜひ。
ミステリー的には前半、グラントがモーリスを殴った時点で犯人が分かってしまった気もするが(動機もたっぷりだし=苦笑)、あまりに1984年の雰囲気たっぷりな今回は、筆者のフェイバリットに加わった。
レギュラー・キャラだが、かつて筆者はジェフリーズの妻の事件に“コールドケースでは?”とツッコんでいたが、本当にそうなるとは。犯人に逃げられないよう応援したい!
【1曲目“Heat of the Moment”のエイジア】
当番組のファンにとっては、第3シーズン第22話「ポーカー」のラストに流れた“Only Time Will Tell”でもおなじみ。当時は他にも“Don't Cry”“Smile Has Left Your Eyes ”などのヒット曲もありました。
【5曲目“I'm Free (Heaven Helps the Man)”】
1984年の青春ミュージカル映画「フットルース」の挿入曲で、歌ったのは主題歌“Footloose”も歌ったケニー・ロギンス。この映画、「ハイスクール・ミュージカル」のザック・エフロン主演でリメイクが決まった!
【モーリス役のネイサン・ハリデイ(Nathan Halliday)】
今回はこの人の踊りが盛り上げてくれたなぁと思い、ついIMDb(http://www.imdb.com/name/nm2524008/bio)を調べたら、1988年ニューメキシコ州生まれで、おそらく今回が俳優デビュー! 続いて「CSI:科学捜査班」の第8シーズンの第2話にもゲスト出演したようです。いきなりこんな若者が出てくるとは、米国って層が厚いとあらためて感心!
【クリスタル役のヴァネッサ・ウィリアムズ】
かつてWOWOWも放送した海外ドラマ「メルローズ・プレイス」の第1シーズンでロンダを演じていた女優。本人も「アグリー・ベティ」のヴァネッサ・L・ウィリアムズとよく間違えられることを認めているとか。でもこちらは女優業と並行し、シンガー・ソング・ライターとしても活躍しているとか。
2008.11. 1|エピソードガイド|固定リンク|コメント(0)|トラックバック(0)
【STORY】
1964年3月22日。1台の乗用車がある建物へ急ぐように到着する。お腹に子供がいる若い女性ヒラリーはその建物に預けられるようだが、送ってきた両親に“見られないようにするから家にいさせて”と懇願。しかし、両親の車は彼女を降ろして走り去る。やがてヒラリーは、何者かに殺されてしまう。
そして現在。ヒラリーの娘バーバラはフィラデルフィア市警殺人課を訪ね、2か月前に育ての母が亡くなった後、自分が養女だったことを初めて知ったといい、1964年に17歳だった実母ヒラリーが、自分を産んですぐに殺されて迷宮入りになった事件の再捜査を依頼してくる。“あなたはお母さんと仲よくないの?”と問われて動揺しながらも、リリーはコールドケースの扉を開く。
1964年当時、米国で“未婚の母”は中絶も認められずに世間から白い目で見られ、ヒラリーは両親の薦めで自分と同じような十代の少女をひそかに集めて出産させ、産まれた子供の養子斡旋をする施設《セント・メアリーズ》に預けられていた。ヒラリーは当時、ハンクという恋人と付き合っていたが、現在のハンクは孫もいて幸せに暮らしており、当時ヒラリーと結婚しようと決意したが、ヒラリーの父に反対されたという。また現在のヒラリーの母パトリシアは、《セント・メアリーズ》が予想したような施設でなく、少女たちが“フランケン博士”のアダ名を持つ医師フィネガンらによってひどい扱いを受けたという。フィネガンは6人もの命を奪いながらすでに他界し、ヴァレンズらは施設で働いたシスター・マーガレットを訪ねるが、シスターは、自分たちは世間から見捨てられた少女を救ったと言い張り、ヒラリーがカレンという不良少女と仲がよかったと思い出す。現在のカレンは、当時ハンクが確信犯的にヒラリーを捨てたことを証言し、ハンクに都合が悪い秘密をヒラリーが握っていたようだと証言。そんなハンクはヒラリーの母パトリシアが、娘が自分で子供を育てるといったことに激怒していたという。パトリシアは自分が子供を産んで運命が変わったのを認めつつ、シスターがヒラリーに子供を養子として手放すのを無理矢理認めさせたと振り返る。やがてシスターが、赤ん坊を売り飛ばしてワイロを得ていたのが明らかに。シスターはその事実を認めつつもワイロは教会に寄付したといい、ヒラリーに脱走をほのめかしたと証言する。
真犯人はカレンだった。自分が赤ちゃんを手放したことを後悔したカレンは、ヒラリーに同じあやまちを繰り返してほしくないと思ったが、彼女と揉み合いになり、あやまってヒラリーの命を奪ったのだった……。
【今回の深読み】
今回の事件は、せつない事件が多い「コールドケース」の中でも特に哀しいと思ったのは筆者だけではないだろう。ヒラリーの命を奪ったのは、最もヒラリー近いカレンだったとは……。しかし残酷な現実を見る者に突きつけ、考えさせるからこそ、筆者はこのドラマを支持したいとあらためて感じた次第だ。
今回意表を突かれたのは、1960年代の米国音楽もまた、ある意味混乱していたこと。アメリカン・ドリームそのままなシュープリームスの曲が流行する一方で、前回のボブ・ディランのように内省的なアーティストもいれば、今回のラストに流れる“You Are My Sunshine”のカバーを歌ったカーリー・サイモンのようなアーティストもいた(実はシニカルな選曲ではないか)ということは、時代の混乱のひとつの反映である。そんな時代の混乱の中で若いヒラリーが命を落とした、その事実はどう解釈しても重いように思える。
【“フランケン博士”】
メアリー・シェリーによる古典小説に登場した、人造人間を生み出した男、フランケンシュタイン博士がルーツと思われる。なおすでにさんざん言われたことかもしれないが、フランケンシュタインは怪物の名前でなく、生み出した博士の名前だ。
【映画「ビキニ・ビーチ」】
1964年に全米でヒットした映画「ムキムキ・ビーチ」(劇場未公開)の同年に作られた続編。監督はTV「奥さまは魔女」の主演女優エリザベス・モンゴメリーの夫だったウィリアム・アッシャー。筆者は未見だが、想像するに、厳しい世相があったからこそおバカに徹した青春映画だったのだろうか!?
2008.10.25|エピソードガイド|固定リンク|コメント(0)|トラックバック(0)
【STORY】
1981年6月5日。ある家でかつて反戦運動に青春を捧げた面々がスライドを見ながら当時を懐かしむ。だが写真の1枚を見た途端に漂う気まずい雰囲気。その夜はお開きとなるが、そんなキンボール家のキッチンでガス管が爆発し、ジャックとジョハナの夫妻は亡くなり、ガス漏れ事故として処理される。
そして現在。旧キンボール邸の内装工事でパイプキャップの破片と溶けた電池が見つかり、81年の爆発はガス漏れに見せかけた爆弾だったと分かる。爆弾を使ったのは誰か。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
夫妻はいずれもペンシルベニア大学の卒業生で、反戦運動のリーダーだったジャックは人気コピーライター、妻ジョハナは企業弁護士として裕福に暮らしていた。そして彼らの仲間、ポーターは軍需企業に勤務し、Z(ズィー)は大学院にいたが、71年に恋人マクブライドを爆弾事件で失ったサラだけはまだそれを忘れられずにいた。
現在のサラは、ジョハナが前にポーターと付き合っていたと証言。ジョハナがジャックと結婚しても、ポーターは彼女をあきらめられずにいた。だが現在のポーターはジョハナが、ポーターが軍需企業で働いているのが不満でポーターを激怒させたといい、自分よりZが問題で、友人たちが1981年には過激派から保守派に転向したことを嘆いていたとか。そんな現在のZは反戦運動の集会には数回出ただけだと言いはるが、実は相当の頻度で出席していた。そんなZがかつて爆破関係の仕事についていたことも分かる。しかしZは当時、マクブライドを失ったサラがジャックを責めたと証言。そんなサラによれば1981年、ジャックはマクブライドの死には仲間の全員に責任があったといい、みんなで自首しようと呼びかけたが、それぞれ生活が安定した仲間たちは自首することに拒否したという。
ついに捜査陣は意外な事実に気づく。今サラとして生きているのは、実はジョハナだった。貧しい家庭で生まれたジョハナは、ジャックを愛しながらも裕福な生活をあきらめられず、自分と似たサラを身代わりにジャックを葬ったというのが真相だった。
一方、スティルマンの娘ジェイニーは、冷え切った夫婦関係を打開すべく、夫カールとの話し合いを決意。息子ショーンを一晩だけ父親に預ける。幼児にあまり慣れていなさそうなスティルマンだが……!?
【今回の深読み】
いつもアクションが少なめの「コールドケース」とあって、いきなりの爆破シーンに驚かされる今回。終盤で明かされる真実にもびっくりだが、1970~80年代の米国社会を知っていると、本当にありそうな話と思えてくるほど説得力はあった。
1960~70年代の米国の若者たちはベトナム戦争に反対し、平和を愛するヒッピー文化の広まりと共に、多くが反戦運動に参加した。ところがベトナム戦争が終わると、代わって“ヤッピー”が台頭。ヤッピー(Young urban professionalsの略語)とは、都会で暮らすエリート・サラリーマン。つまり学生時代は反戦運動をした面々も結局はエリートで、一部は社会に出ると、文明(戦争や富含む)を否定したヒッピーと正反対なヤッピーに一変したのだ。こうしたヤッピーはその後、レーガン政権下で定着をはたす。
今回の「コールドケース」のジョハナがサラになりすますアイディアも、ヒッピーがヤッピーに転じた、そんな当時の社会現象を背景にしたに違いない。只のトリックでなく、当時の社会情勢の反映なのである。
そういう訳で今回のBGMが全曲、1960年代に人気が出てフォークの神様となったボブ・ディランの曲だというのはベストのチョイス。過ぎ去った年月の重みを感じさせる。
レギュラー陣では、スティルマンの優しいおじいちゃんぶりがイイ感じ(笑)。もっとも第2シーズン第16話「お星さま」以来、久しぶりに登場した娘のジェイニーは、夫と問題がありそう?スティルマンを困らせないといいのだが……。
【原題の“Blood on the Tracks”】
1975年にボブ・ディランが発表したアルバム「血の轍」の原題がルーツ。心の痛み、怒り、孤独感をテーマにした重厚な内容だったにも関わらず、ビルボードのチャートで第1位になった。2003年に米ローリング・ストーン誌は歴代ベスト500アルバムの第16位に選んでいる。
【エンディング曲の“Like a Rolling Stone”】
「コールドケース」のエンディング曲というと事件があった頃の曲が基本だが、今回のこの曲が発表されたのは、実は1981年でなく1966年だ。ディランの名曲だから、という理由もあるだろうが、ジャックとジョハナでなくマクブライドが亡くなった時代への郷愁を感じたのは筆者だけだろうか。
2008.10.18|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
【STORY】
2002年1月28日。その日の午前8時3分、高級住宅街チェスナットヒルの高校で13歳の少女マディソンが何者かに射殺される。一方ほぼ同じ時刻、荒廃した地区ノースフィリーの高校でも、15歳のアフリカ系少年スキルが何者かに射殺された。
そして現在。スキルの死に遭遇していたミラーは初めてマディソンの事件を知り、2つの事件に何か関係があったのではないかと疑う。ミラーはコールドケースの扉を開く。
ノースフィリーの情報屋トゥーミーは事件の前、麻薬密売の縄張りをめぐってスキルがチンピラに重傷を負わせ、祖父のもとに身を隠したと思い出す。一方、マディソンと撃たれる直前に会話を交わした友人マイケルは、マディソンの母親は夫が家を出て以来、女友達たちから避けられていたことやマディソンの家で覚醒剤が入った瓶を目撃したと証言。覚醒剤を売ったのはスキルかと思われたが、マディソンの母は娘と覚醒剤の関係を否定。やがてマディソンと同じ高校に通い、ドラッグを売っていたジビーは、マディソンに覚醒剤中毒者が集まる“ドラッグハウス”を紹介したと証言。だがそれはマディソンが、メタンフェタミンに溺れて家から消えた母シャーリーを捜していたからだった。そんなシャーリーは自分が更生施設に入れず娘が絶望したこと、メタンフェタミンを求めてみずから家を出たことを振り返る。スキルの祖父モーゼスは、スキルが売人をやめて高校に戻ったというが、女性教師ボイドはスキルを訪ねて白人少年が学校に来たと語る。その少年とはマイケルだった。彼は姿を消したマディソンを捜していたが、マディソンは母親を捜すのに疲れてメタンフェタミンを溺れていたと告白。実は当時、マディソンと出会ったスキルは彼女を励まし、お守りであるドリームキャッチャーを彼女にプレゼントしていた。
マディソンを殺した犯人は、売人をやめようと決めたスキルから357マグナム銃を買ったジビーで、マディソンから罵られたのが動機だった。また、スキルを殺した犯人は、今もドリームキャッチャーを持っていたトゥーミーだった。スキルが足を洗おうとしたことに対する怒りが動機だが、今や社会の成功者と失敗者に分かれたジビーとトゥーミーが、近い時刻に許されぬ愚行に手を染めた。それは単なる偶然だったのだろうか。
同じ頃、ヴェラはトニとのデートに遅れていまい、トニからやはり刑事とじゃ付き合えないといわれて落ち込むが……。
【今回の深読み】
近い時刻に異なる場所で起きた2つの殺人事件は関連が薄いようで、実はドラッグという共通項で結ばれていたという今回の「コールドケース」。スキルとマディソンというパッと見は共通項が無さそうな少年少女がドラッグで悩んだ結果、どちらも悲劇的運命を遂げたという、とても悲しいエピソードだ。
ドラッグの恐ろしさゆえ、2人の若者が結びついたと共に、それぞれ近い時刻に命を落としたという、希望と絶望が背中合わせになった展開。加えて犯人2人も、今や片や社会的に成功しているが、もう一方はストリートの過酷な現実から抜けられずにいるという二重構造がドラッグの問題の深刻さを捉えており、シリアスなテーマに真正面から向いた本作の姿勢にはあらためて感心させられる。
さてレギュラー陣を見渡すと、最近はちょっと影が薄かった感があったリリーが、犠牲者の1人マディソンの母親シャーリーが娘の苦悩に配慮できなかった点に怒ったのがリリーらしく、安心した。また、スキルが女性教師ボイドから教科書を読むよう指名されてうまく読めない場面(ボイドの態度がムカつく!)は、今も米国の一部の若者を苦悩させている現実であり、こうした描写をきちんと盛り込んだのは本作ならではだろう。
もっとも、ヴェラとトニの間の亀裂発生は心配。どうする、ヴェラ!?
【映画「スカーフェイス」のアル・パチーノ】
元ヤクの売人なのに今はスーツ姿で社会的ステイタスも高そうなのがめちゃくちゃ感じが悪いジビー(苦笑)が、ドラッグを売って成り上がったシンボルとして例に挙げる。この映画でキューバ移民のトニー(パチーノ)はドラッグの売人として成功しながら最後は自滅していくが、筆者が聞いた話によればトニーに共感した悪党が全米には大勢いるんだとか。でもジビーのように、小賢しく生き延びたヤツにエラそうにいわれても何だかなーと思う。皮肉としては上等だが。
【全曲U2】
今回のBGMは全曲、アイルランドが生んだ人気バンド、U2によるもの。古い曲もあれば新しい曲もあるが、今回取り上げたドラッグの問題が、根強い問題であることを遠巻きに示唆していると思ったのは筆者だけ?
2008.10.11|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
【STORY】
1996年1月11日。富豪スタンの豪邸でその孫息子、マシュー(マット)の誕生日会が開かれる。だが、マシューの母でスタンの長女ジニー、ジニーの弟タッド、スタンの若き婚約者ダイアンがいるところへスタンの元妻ローレンが現れ、雰囲気はたちまち気まずくなる。翌日、邸宅のプールにローレンの遺体が浮かぶが、溺死事故として処理される。
そして現在。スタンの屋敷を買った男性からプールがおかしいという通報が。リリーとヴァレンズが調べると、プールからローレンのつけ爪が見つかる。彼女は亡くなる直前、誰かと争っていたようだ。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
当時の記録によれば、ローレンは停電の間に亡くなったという。第1発見者の元夫スタンは、ローレンとの離婚で財産の半分を彼女に取られたとはいえ犯行は否定。むしろローレンの情報でダイアンに子供が3人いると分かって婚約を破棄できたことに感謝すらしていた。その一件でローレンを恨んでいたであろうダイアンは、当時タッドとローレンのケンカを目撃したと証言。現在のタッドは、ローレンから相続した300万ドルは全部寄付したといい、ジニーと母がマシューの教育方針をめぐって争い、ジニーが母からの生活費の援助を拒絶したと明かす。そして現在のジニーは当時、ローレンがスタンを罵倒していたと明かす。スタンは、ローレンが何とマシューを誘惑している場面を目撃したと証言。マシューは自分が祖母によって母から引き離されそうだったこと、祖母のセクハラからタッドが救ってくれたと語る。タッドは自分が13歳だった頃、夫との愛が冷めたローレンが容貌への自信も失い、彼女からマシューと同じように誘惑されたと告白。だがタッドは事実を認めながらも犯行は否定。そして母に別れを告げようと決めた頃、停電が復旧したことも明かす。何者かが再び電気を消した上でローレンを殺したようだ。
犯人は、ローレンが暗闇を恐れていたと知るジニーだった。彼女は長年にわたって母を恨んだ上、母が息子を誘惑したので立腹。かつて弟タッドを守れなかったという後悔の念もあり、ローレンを殺したのだった。
一方、ヴェラとトニはいい雰囲気を育んでいるようで、ヴェラはアンドレの恋の問題にも相談に乗る。ヴェラはアンドレとも親密になれたようだ。
【今回の深読み】
富豪ファミリーで起きた事件とあって、財産争いが事件の背景かと思われた今回の「コールドケース」だが、後半には驚愕の事実が判明。三代にわたる一家の複雑な事情が浮き彫りにされた。
それにしても同情せざるをえない被害者が多い「コールドケース」だが、今回の被害者は幾らなんでも……と思ったのは筆者だけだろうか。ローレンの息子や孫に対する歪んだ愛情は、もはや愛情と呼べない。ローレンには心の闇があったとジニーはいうが、停電によって闇が人々の心に広がった夜、悲劇は起こるべくして起こったともいえよう。原題の“Blackout”には停電の意味に加え、暗転(舞台などの)という意味もあるが、ジニーの心も暗転したかのようだ。またこのタイトルはタッドのモノクロ写真にもかけたようで、うまい題だと思う。
さて今回の事件にはモデルになったと思しき事件が。スタンの元婚約者のダイアンは、1996年の前年である95年、63歳上の夫(!)である富豪が他界し、莫大な遺産を手に入れた女優のアンナ・ニコル・スミスのようだ。夫の逝去が2人の結婚からたった1年後だっただけでなく、スミスが夫の葬儀にウェディングドレスを着て参列するなどし、騒動に拍車をかけた。もっともこの手のスキャンダルは多いので、特にこの事件を知っていなくても今回のエピソードは楽しめただろう。
さてレギュラー陣では、やはりヴェラの幸福そうな姿が印象的。最初は気まずい出会いだったアンドレとも仲よしになれそう。この幸せが続くことをファンとして祈りたい!
【ローレン役のドナ・ミルズ】
1940年生まれで、今回の収録当時は65歳か66歳だったはずだが、水着姿まで見せるなど美貌を誇示。日本では映画「恐怖のメロディ」(71)などで知られるミルズだが、米国では80年からTVドラマ“Knots Landing”(日本未放送)に9シーズン出演した美熟女の女優として有名。ローレン役は怖いほどの(?)ハマり役だった。
2008.10. 4|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
【STORY】
2005年11月18日。名門大学への入学をめざす高校生ジェームズ。父や妹も、彼が奨学金を獲得できるよう応援していた。だが数か月後、ジェームズは町のどこかで血だらけになり、そのまま行方不明とされる。
そして1年後の現在。ジェームズの妹アレクサはインターネットの画像投稿サイトで、ある光景を発見。それはジェームズが激しく殴られている模様だった。ストリートに詳しいミラーは、映像を録った場所が麻薬の温床であるボトム地区だと気づく。優等生がどうしてそんな場所に行ったのか。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
ボトム地区を調べるとドラム缶から若い男の遺体が見つかる。それはジェームズだった。リリーとヴァレンズはジェームズが通った名門高校へ。ヴァレンズは生徒の1人、ルーカスから、ジェームズが行方不明になる直前、別人のように変わったと聞く。ジェームズが同級生タナーに挑発されてからだ。タナーは富豪レノックスの息子だが、《ファイトクラブ》にジェームズを誘っていた。そのクラブは、裕福な家庭に育ちながら日常に不満を抱えた少年たちが、本気で殴り合うことでスリルを求める集団だった。クラブのリーダーは同じ学校のコールだったが、コールは自分がジェームズを奮い立たせたことと、高校の校長が不正をして生徒を差別していたと証言する。高校の校長はそのことを認めつつ、それをジェームズの父ダリルに話していたと証言する。そしてジェームズの指の爪からダリルの皮膚が見つかる。ダリルによれば、ジェームズは自分に反抗していたという。だがその時にジェームズは携帯を壊しており、ジェームズの遺体のそばにあった携帯はルーカスが貸したものだった。ルーカスは事件当時、血にまみれたジェームズが“人を殺したのでもうおしまいだ”と話していたと証言。そしてコールが決定的な証言をする。ある夜タナーは興奮し、通りすがりの無関係な男性を殺してしまったという。その場に居合わせたジェームズは、タナーが警察に捕まるべきと考えた。
犯人は息子タナーの事件を揉み消そうとしたレノックスだった。タナーが未来を失うのを恐れての犯行だった……。レノックスもタナーも逮捕される。
ヴェラとトニは引き続いていい雰囲気。しかし同僚からは、そんなヴェラに冷静になれという声も。ヴェラは思い切ってトニをデートに誘うが……!?
【今回の深読み】
映画「ファイト・クラブ」(後述)やチャック・パラニュークによるその原作小説を知っているかどうかで見る側の評価も大きく変わってきそうな、でも、そこがユニークともいえそうな今回の「コールドケース」。現実に“ファイト・クラブ”のような集団を成立させるのは難しいというのが結論だが、映画や原作のファンにとってはもう少しハードなクラブ活動(?)を見たかったし、“ファイト・クラブ思想”の真髄に近づいてもよかった気がするが、それはマニアックすぎる?
展開を振り返ると、事件を揉み消そうとした富豪レノックスと息子タナーこそ、本来の“ファイト・クラブ”の攻撃目標そのもので、そこはきちんと押さえていた。当時はカリスマのように振舞ったタナーの今のへたれっぷりは実に皮肉めいている。
【ファイトクラブ】
1999年の映画「ファイト・クラブ」がルーツと思われる。ブラッド・ピット、エドワード・ノートンが出演し、「セブン」の鬼才デヴィッド・フィンチャーが監督。カリスマ的な男性テイラー(ブラピ)は、現代人は殴り合いで生きる実感を取り戻せるといい、彼と知り合ったジャック(ノートン)はテイラーや仲間たちとファイト・クラブにのめり込んでいく……というお話。過激で滅多にない面白い映画。見てない人は何としても必見!
2008.9.27|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
【STORY】
2000年11月13日。音楽界で成功する夢を胸に、南部のテネシーから北部のフィラデルフィアに、あるカントリー・バンドがやって来る。しかしバンドの1人であるトラック・シュガーは、フィラデルフィアのライブハウスの前で何者かに射殺されてしまう。
そして現在。かつて事件を担当したのはジェフリーズの元相棒ギャレットだが、残業嫌いのギャレットは市警の嫌われ者。実はある事情を抱えるギャレットだが、カイリーという女性が夫の浮気にキレて撃った銃が、トラックを殺した銃と一致したとリリーたちのもとへ。“カウボーイたちを家に帰そう”と、リリーたちはコールドケースの扉を開く。
カイリーはトラックがいたバンドが出演したライブハウスの経営者ミッチの妻で、犯人はミッチだという。彼女はトラックが殺された日、ミッチの銃を目撃していたが、カイリーは当時ミッチの愛人で、彼をかばうため銃を隠したという。ミッチはテネシーから来たトラックたちを田舎者扱いしてトラックを怒らせ、逆ギレしたミッチが犯行に及んだのだと推測。だが現在のミッチはそれを否定し、バンド内に問題があったと証言。メンバーのダスティは当時ドラッグに溺れ、バンドのアンプを質屋に入れた挙げ句トラックに金をせびったが、それを拒否されていた。
殺人課では聞き込みのため、クジ引きの結果、リリーと共に、カントリー・ミュージックを毛嫌いするヴァレンズがテネシーへ出張することに。ダスティは事件当夜のアリバイを主張すると共に、タイとトラックの不仲を証言。また、トラックの妻ハニーは、トラックが人気女性歌手エディといい雰囲気だったのを見たと証言。ハニーはトラックと離婚するつもりだった。そしてエディは、彼女のマネージャーがトラックの才能を認めていたと振り返り、タイも弟トラックの独立を認めるつもりだったと証言。やがてある証拠から、ダスティに疑いの目が向く。
トラックを撃った犯人はダスディだった。トラックはカントリーへの愛情を捨てられずに、エディと別れてハニーとよりを戻そうとしていたが、ダスティはドラッグを買う金ほしさにトラックを殺してしまったのだ。
一方、ヴァレンズはテネシーのナッシュビル警察のシャーリーンと軽い気持ちでデートし、リリーはそれを知ってしまうが……!?
【今回の深読み】
米国の国民的音楽、カントリー・ミュージックを題材にした意欲的エピソードが今回の「コールドケース」。しかし、流行とカントリーにはズレがあって……という背景が、事件をよりミステリアスにしている。
さて、2000年というと、本編でもちらりとふれられていたが、共和党のブッシュ現大統領と民主党のA・ゴアが大統領選挙で争った年。そしてまたカントリーの世界では、ガース・ブルックスが大成功を収めるなど、ロックやラップとの融合を進んだ時代。そんな時代だからこそ、ピュアなカントリーを志向した事件の犠牲者トラックの純真さが際立つと同時に、カントリーと縁遠い日本人にはちょっと分かりにくいエピソードだったかもと認めざるを得ないのは筆者だけだろうか……。
レギュラー陣で気になるのは、やはりヴァレンズ。でも、もしもこんな場面に遭遇したら、日本人なら会話そのものが成立しない気もしたが、リリーとヴァレンズの関係、今後はどうなるんでしょうか?
【ジョニー・キャッシュ】
当番組のファンにとっては、全曲キャッシュの曲が使われた第2シーズンの第4話「ボス」も馴染み深い、カントリーやロックの伝説的歌手。伝記映画「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」はとてもいい映画だったと筆者は思います。
【ダスティ役のトラヴィス・ハワード】
全米NBCで放送された、次世代のカントリー音楽のスターを発掘するリアリティ・ショー“Nashville Star”に出演した面々の1人。只のゲストのようで実は……という、米国人には意外な起用だったと思われる。
2008.9.20|エピソードガイド|固定リンク|コメント(4)|トラックバック(0)
【STORY】
1968年7月7日。教会で赤ちゃんが洗礼を受ける式に青年クーパーが遅れてくるが、赤ちゃんの父親ジミーは気にならない。クーパーとジミーは相棒のパトロール警官同士で仲がいいのだ。しかし、やがてクーパーはパトカーで何者かに撃たれて命を落としてしまう。
そして現在。ガンで余命僅かになった老受刑者が、釈放を交換条件に情報提供を申し出てくる。クーパーが殺された直後、遺体のそばにヘロインの塊があったという。長年英雄とされてきたクーパーに何があったのか。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
自身も警官だったクーパーの父ブローガンが、息子の名を汚す捜査は望まないと主張する一方、捜査陣は第1発見者のマーフィー元巡査に聴取。ヘロインはテディという売人が扱っていたが、テディはクーパーが不正に関わっていなかったといい、自分はクーパーの上司マクリーにワイロを払っていたと認める。マクリーはワイロを同僚たちにも分け、クーパーはそれを拒んだが、現在のジミーは自分もバークからワイロを受け取っていたと認める。そしてクーパーを彼が殺された橋の下に導いたのは警察無線の指令だったが、その夜はマクリーが担当していた。しかしマクリーはクーパーに女性問題があったと主張。そして後にジミーと離婚した元妻アイリーンは、クーパーがジミーと親密だったと認める。彼女はある夜、何とジミーとクーパーがキスするのを見た。再び疑われたマーフィーは、ジミーとクーパーの関係を心配し、ブローガンに相談したこと、そして警察無線の指令が実は自分だったと認める。リリーはジミーを事情聴取に呼ぶ。ジミーは両眼に涙を浮かべて、自分はクーパーを愛していたが、彼の思いに応えられなかったと告白する。
犯人は、警官がゲイであることに我慢できなかったマクリーだった。ショットガンで撃たれ、死に瀕したクーパーは無線を手に取ってジミーに語りかけた、「俺たちは幸せ者だ。忘れるな」と……。
一方、アンドレのバスケットボールを取り返そうと母親トニが警察に乗り込んでくる。初対面で大ゲンカしたヴェラとトニだが?
【今回の深読み】
モノクロに一部だけ色をつけたスタイリッシュな映像は、最近ならカルトな映画「シン・シティ」を思い出すが、今回の「コールドケース」も“罪の町”だった頃のフィラデルフィアを舞台にしたエピソード。同性愛を描いたストーリーに佳作が多い当番組らしく、クーパーとジミーの許されぬ愛に切なさとやりきれなさがあふれ、感動的に幕を下ろす。
さて、このエピソードの裏テーマだが、冒頭、教会の洗礼式で幕を開けるが、クーパーの“神父”という一言から、この教会がカソリックであることが分かる。米国の都会の警察にはアイルランド系の警官が多いといわれるが、これにはアイルランド系にカソリックが多く、また、カソリックが教会を重視する、いわば都市型教派であることと関係している。クーパーたちの上司の名前、マクリーのマクの部分もアイルランド系だからだろう。
そして、カソリックは基本的に同性愛を否定する立場で、そんな環境の中でクーパーとジミーが愛し合うようになって生まれたのが今回の悲劇だ。米国では今年、カリフォルニア州で同性結婚が認められたが、ちょうど40年前の米国ではこんな悲劇があったかもしれないという着眼点に唸らされる。。
さて、前回始まったヴェラとバスケ少年の問題だが、ヴェラと少年のお母さんトニの急接近に発展。今後が楽しみ!
また、1968年の警察を知るスティルマンの当時の腐敗を否定する態度や台詞に、あらためて男らしさに感銘。当時は不正が当たり前だったという元警官たちへの毅然とした姿勢、クーパーの写真への献杯など、カッコいい!
【原題の“Forever Blue”】
ある時期まで米東海岸の警察の制服に多かった青(Blue)の色と、暗い気持ちを意味する青をかけたタイトルだったと思えるが?
【監督のヤノット・シュウォーク】
映画ファンにとっては「JAWS/ジョーズ2」「スーパーガール」など、ちょっとスベった娯楽大作で知られるが(でも「ある日どこかで」は泣かせる名作)、米ドラマ・ファン的には1960年代後半から「鬼警部アイアンサイド」「刑事コジャック」「刑事コロンボ」など多数の刑事ドラマで手堅い演出を見せてきた名職人。来年11月で70歳!
【バットマンとロビン】
アメコミ・ヒーローのバットマン(の正体のブルース・ウェイン)は、ずっと独身だからか、相棒の少年ロビンとデキているという説は、以前はよく冗談にされたが、原作コミックではロビンが少女だった時期もあり、これは時代の古さを醸すための台詞なのでは?
【いつもの酒場の壁の写真】
終盤、スティルマンとジェフリーズがいるおなじみののバーだが、クーパーの隣の遺影が第1シーズン第5話「ランナー」のジョー(1973年に亡くなった若い警官)だと、吹替版スタッフの1人が気づいたそうだ。さすが!
2008.9.13|エピソードガイド|固定リンク|コメント(3)|トラックバック(0)
【STORY】
1989年1月5日。ビデオカメラに向かって自己紹介する眼鏡をかけた丸顔の独身女性、マーサ。葬儀社で働き、男性との出会いを通じて人生を変えたいと望んでいる。そこは交際相手を紹介してくれるデート・サービスの一室。だが彼女は何者かに射殺されてしまう。
そして現在。結婚詐欺師らしき男性ラモーンが拳銃自殺するが、彼は死の直前、マーサのビデオを見ていた。マーサとラモーンの関係とは何か。彼にとって彼女はカモだったのではないか。リリーは“彼は彼女のことを愛していたかもしれない”といい、コールドケースの扉を開く。
マーサの当時のルームメイト、ステファニーは、彼女をデート・サービスに誘ったのは自分で、マーサのビデオに反応したのは唯一ラモーンだったが、ステファニーは彼に会わないよう助言した。そんなステファニーが警察に渡したマーサの遺品のほとんどはロマンス小説だが、中からマーサの日記が。実はマーサはラモーンと会い、初デートは大成功だったという。しかし日記は後ろの頁が無くなっていた。ラモーンは自宅と別に倉庫を借りていたが、そこから女性たちを収録したデート・サービス用ビデオが19本見つかる。何とそのうち5人は1989年にひき逃げ事故で亡くなっていた。事故に遭わなかった1人、ユージニアは、ラモーンに全財産をまき上げられ、生前のマーサに警告したと証言。マーサがラモーンと会った事実を隠した可能性があるステファニーが事情聴取に呼ばれるが、嘘をついた理由は、ラモーンに捨てられそうになったマーサが、彼に犯罪を持ちかけたからだという。マーサとラモーンは兄妹になりすまし、ラモーンが目を付けた女性と結婚してはマーサが彼女たちを車でひき殺していたようだ。そんなマーサはある小説の登場人物、セリーナを偽名にしていたが、マーサはセリーナ名義でラモーンに生命保険をかける一方、セリーナ名義で銀行に貸金庫を持っていた。その貸金庫から日記の後半が見つかる。いつしかマーサはひき逃げに罪悪感を覚え、犯行をやめようと彼に提案したが、その途端ラモーンはマーサにプロポーズ。だがマーサは自分が殺されると思い、ユージニアに相談していた。
マーサを殺したのはユージニアだった。まだラモーンを愛していたユージニアは、マーサを裏切って彼女を殺したのだった。しかしラモーンは真剣にマーサを愛するようになっていて、現在、自殺を遂げたのだった。
その頃、モーテル暮らしに飽きたヴェラはアパートの地下室に引っ越していたが、アフリカ系の少年アンドレがバスケの練習していて、安眠を妨害されたことに怒るが……。
【今回の深読み】
愛ゆえに常識で測れない行動に走った人々を描く、少々ダークなエピソード。ラモーンと出会い、自分が大好きなロマンス小説のヒロインになったかのように誤解したマーサ。そして結婚詐欺師なのに本気でマーサを愛してしまったラモーン。そして誰からも愛されなかったユージニア。米国に限らず、たとえば日本でも起きたとしてもおかしくない三角関係の悲劇が、「コールドケース」らしい語り口で描かれた。
1989年といえば、翌年にハリウッドで「ゴースト/ニューヨークの幻」「プリティ・ウーマン」がヒットし、日本では88年に村上春樹の小説「ノルウェイの森」がベストセラーとなり、91年にはTV「101回目のプロポーズ」がヒットするなど、何かと“純愛”がもてはやされた時代。しかし純愛の定義が今も曖昧なように、ブームの熱が先行した時代だったように思える。そして今回のマーサも、そんな熱に道を誤らされた1人だ。彼女が車で女性をひき殺す場面に、“えっ!”と驚いた人もいるだろうが、愛の狂気をブラックユーモアで味付けすることでバランスを取ろうとした演出だと思ったが、どうだろう。
さて、細かい見どころでは、ヴェラが引っ越し先で出会った少年アンドレと、ヴェラの関係。ついバスケのボールを蹴り飛ばしたヴェラだが悪気も感じているようで、今後アンドレとどんな関係になるか、気になる!
【今回の音楽のアーティストたち】
Roxetteは前出の映画「プリティ・ウーマン」のサントラの1曲“It Must Have Been Love”も手がけ、Eric Carmenの“Hungry Eyes”も映画「ダーティ・ダンシング」のサントラの1曲。“Love Shack”のThe B-52'sはプレスリーをカバーした“Can't Help Falling in Love”も1993年に大ヒットと、この時代に流行ったアーティストの代表曲がガンガン流れたので、思わず当時を思い出したという人も多いのでは?
2008.9. 6|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
【STORY】
1975年8月13日。アフリカ系の少女シュリースは自宅の窓で1通の手紙を受け取ると、笑顔で家から飛び出す。行き先の森はシュリースと友達の白人少女メラニー、ふたりだけの場所。シュリースが“夏が終わるともう会えなくなる”と嘆くと、メラニーは、自分たちは“永遠と1日、友達だよ”と約束する。“夏が終わるとホタルは天国へ行くのかな”“そうだね、もしかしたら……”。やがて10月、メラニーは行方不明になり、殺された可能性が高いと考えられる。
そして現在。1975年当時、アフリカ系家庭への配達をボイコットしていた郵便局員の遺品から、1通の手紙が見つかる。そこには“トロールに捕まった”と書いてあった。それはメラニーからのSOSだったのか。“せめて犯人を捕まえよう”とスティルマン。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
シュリースと家族はメラニーの家の隣に引っ越してきたが、当時白人だらけの町でアフリカ系は差別され、当初はシェリースの兄テレルが犯人として疑われた。現在のシェリースはトロールが嫌な人物をさす暗号だったといい、白人のウィルソンがメラニーと会話する自分に怒っていたと思い出す。現在のウィルソンは、不動産業者フロイドが、アフリカ系が町に越してきたことを利用して他の町の家を売って儲けていたと指摘。そんなフロイドは、アフリカ系のシェリースを友人にしていたメラニーを、ウィルソンの息子デイルも脅していたと思い出す。現在のデイルはメラニーにちゃんと詫びたといい、シェリースが周囲の住民から人間じゃない生物にかけて“クリッター”とあだ名されていたと語る。しかし自分の家に“クリッターびいき”と落書きしたのはメラニーの母だった。メラニーにシェリースと別れさせるための自作自演だった。そんなメラニーの母は、デイルが父親に殴られていたと思い出す。その頃、メラニーとシュリースの友情にはヒビが入っていた。だがテレルは、妹がケンカの後、メラニーとまた会っていたと証言。そして現在のシュリースは実はメラニーと仲直りしていたこと、そして事件の夜、デイルが自分とメラニーに拳銃を撃ったことを証言する。そのままメラニーはいなくなり、自分が何もできなかったことを、シュリースは後悔し続けていた。
犯人はやはりデイルだった。父親に殴られ続けたことなどの憤りから、メラニーに引き金を引いたのだった。
だが、驚くべき事実が分かる、メラニーは負傷こそしたが、別の州で生きていた。撃たれたショックで記憶を失いつつ、生きのびたメラニーだが、確かな記憶が1つあった。あの夜、自分は輝くホタルに、生きなきゃダメだと励まされたことを。かつての家に帰って来たメラニーが振り返ると、そこにはシュリースの姿が。あの夏のように眩しい、優しい笑顔をたたえて……。
【今回の深読み】
もっとありそうで今までないという意外なパターンで幕を下ろした今回の「コールドケース」。メラニーが生きていた事実に驚かされながら、2人の少女の気持ちが今もホタルでつながっていたことに涙が浮かんでくる、感動のエピソードだった。時間が経っても、“許さない”ことが印象に残る「コールドケース」だが、今回は“許す”が上に立った、奥の深いストーリーだったと思う。
とはいえ、事件当時の時代性をしっかり盛り込む「コールドケース」。この頃は公民権運動の成果でアフリカ系がゲットーを出て白人が住む町にも進出した時代(これが進むと白人は続いて郊外に向かうが、その話はまたいつか)。それを利用した不動産業者の挿話も時代を感じさせる。また、公民権運動が実を結んだとはいえ、テレルのように“16時間ぶっ続けで警察に取り調べられた”なんて乱暴なこともあったり、シュリースがデイルのことを証言できなかったのは致し方のないところ。リリーいわく“臆病な時代”だった混乱期。だからこそ、メラニーとシュリースのピュアな友情はますます輝く。
さて、今回は刑事たちのプライベートは描かれなかったが、ミラーの奮闘、中でもテレルへの尋問が印象に残った。自身もシュリースと同じアフリカ系で、幼い娘がいるミラーにとっては思わず気合が入る事件だったのだろう。とはいえ“妹は無邪気な年だった”と振り返るテレルに、“貴方もね”といって彼を慰める気配りも。いいねぇ、ミラー。
【トロール】
メラニーとシェリースが嫌な人物を呼んだ暗号。元々は北欧、特にノルウェーの伝承に登場する妖精の一種。メラニーたちがおとぎ話に憧れる、純粋で繊細な年頃だったことを象徴している。
【今回の音楽のアーティストたち】
今回のアーティストたちは、1989年に解散するGladys Knight & The Pips以外、America、大御所Stevie Wonder、The O'Jays、Earth, Wind & Fire、Fleetwood Mac、いずれも現在も活躍中。いい音楽が多かった時代でした。
【ラストにかかるFleetwood Macの“Landslide”】
当番組では、シーズン3第12話「遺書」のラストで、Smashing Pumpkinsによるカバー・バージョンがすでに使われている名曲。
2008.8.30|エピソードガイド|固定リンク|コメント(3)|トラックバック(0)
【STORY】
1979年1月13日。ある家で開かれたにぎやかなパーティは、実は“キー・パーティ”だった。それは夫婦の1人が他の夫婦の1人と肉体関係を持つ、いわゆるスワッピングの場だった。直後の2月26日、パーティに参加していた女性リビーが死体になって見つかる。母の遺体に駆け寄ろうとする娘に、1人のアフリカ系刑事は約束する、“犯人は絶対捕まえる”と。
そして現在--。当時事件を担当したジェフリーズは、リリーやヴェラをある場所に呼ぶ。そこはリビーの遺体が見つかった場所のそばで、若者たちがリビーのジャケットや車のキーを見つけたという。リビーは車の運転ができなかったので、キーは犯人のものである可能性が高い。27年間の時を経て、ジェフリーズたちはコールドケースの扉を開く。
リビーの夫カールは現在、パーティでリビーがビルという男性と仲良くなっていたと振り返るが、現在のビルは、当時のリビ-はカールと夫婦仲がうまくいっていなかったのではないかと証言。そんなビルの妻アリソンは、ビルとリビーの関係を認めつつ、リビーの娘ヘレンが、そんな大人たちに不満を持っていたこと、アリソンは自分の息子ジェドが父カールとリビーの不倫を知っていたことを明かす。そしてジェドはリビーに好意を抱いたのを認めつつ、各パーティを仕切っていた男、ジョーもリビーに気に入っていたのではないかと語る。だが現在のジョーは、ヘレンが父カールとうまく行っていなかったと証言。そんなカールは、ヘレンが母リビーの浮気に激怒していたという。そして現在のヘレンもリビーの浮気が不満だったと認める。そしてジェフリーズは、リビーが殺された夜は皆既日食が起きていたことを突き止め、ジェドがリビーと日食を見る約束をしていたことを思い出す。犯人はジェドだった。ひそかにリビーを愛してしまったジェドは、その思いが強すぎてリビーを殺してしまったのだった。
一方、ヴァレンズの兄マイクを虐待していたらしき少年ボクシング教室のコーチ、フィッツパトリックの被害者の1人が自殺し、女性検事はヴァレンズを通じてマイクに証言をするよう求めてくる。複雑な心境のヴァレンズ上司スティルマンもそんなヴァレンズを心配するが……。
【今回の深読み】
スワッピングという際どいテーマを取り上げた今回の「コールドケース」。スワッピングという不毛な遊びの代償として悲劇が描かれている。もちろん殺人はけっして許されないが、母アリソン(過去の場面では当時流行った70年代風ヘアースタイル)にかまってもらえなかったジェドが、母性をリビーに求めたのが原因ではないかと思うと、アリソン、そして周囲の大人も反省してほしいものだ。そういえば今回のエピソード、今シーズンでいうと第4話「オルゴール」の少し前の時代で、この頃の米国は大人が混乱して、多くの子供がそれに巻き込まれていたのか、なんて考えてしまう。
そして、ついに裁判で過去を証言しようと決めたヴァレンズの兄マイク。今回の事件を取り上げた理由だが、マイクが虐待された頃に近い時代だったからではないだろうか。大人が自分のことしか考えず、子供のことを考えなくなった時代の始まりを憂うという、時代を越えたミステリー「コールドケース」ならではの意義を再確認させられた。
もちろん、渋いジェフリーズの怒りと執念に思わず萌えたなんてファンもいるはず!
【オープニングにかかる“Best of My Love”】
ジ・エモーションズによるディスコ・ヒット・ナンバー。当時のポルノ映画業界を描いた映画「ブギーナイツ」で最初にかかった曲として憶えている人も多いのでは。この映画、R指定なので、大人になったら見てくださいね。
【ブレア・ウィッチ祭り】
若者たちが幽霊探しをするという、99年のカルト映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」に引っかけた呼び名と思われる。
【現在のカール役のロバート・パイン】
古くから海外ドラマを見ている人には、懐かしのヒットドラマ「白バイ野郎ジョン&パンチ」のギトレア部長役でおなじみ。近年も「24」「クリミナル・マインド FBI行動分析課」など、多数のTVにゲスト出演。
【ジェドがリビーを車で送っていく場面にかかる“Babe”】
事件と同じく1979年にリリースされ、全米No.1シングルとなったスティクスの大ヒット曲。スティクスというと“ドモ・アリガット、ローボ(ット)、ローボ(ット)”という日本語が歌詞にある「Kilroy Was Here(ミスター・ロボット)」も思い出します。ジェドにとってリビーはベイブ(愛しい人)、でもリビーにとってジェドはベイブ(赤ちゃん)という皮肉を感じたのは筆者だけ?
2008.8.24|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
【STORY】
1958年8月29日。ラジオの人気DJ、ホークことジョン・ホーキンスはラジオ局のブースの中へ。本番が始まるとホークはいきなりテンションを上げ、ヒット曲のレコードを次々とターンテーブルへ。 だがバラードの“Scarlet Rose”が流れている途中、リスナーたちは異変に気づく。レコードの針が飛び続けても、ホークはそれを直そうとしない。そんなホークは右手の拳銃で自分の頭を撃ち抜いており、当時の警察は自殺と判断する。
そして現在--。再放送用に録音されてあったホークの番組が最新の音響分析ソフトにかけられ、ホークが亡くなった直後、何者かがブースから出ていく音が見つかる。ホークの死は自殺ではなかったのか。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
当時は売れっ子のDJがミュージシャンに負けない人気を誇った時代。レコードの売り上げにも影響力を持ち、そこでレコード会社は“ペイオラ”と呼ぶワイロ
をDJに送ることがあったが、ホークはこれを受け取らず、自分が気に入った曲だけを番組でかけ、黒人の音楽を使うのもためらわなかった。
ホークと離婚した元妻のドッティは、ボーンズというホークの助手がホークを脅していたと証言。今やレコード会社の重役となったボーンズは、ホークの女性
ファンの父親チェスターが、ホークが自分の娘を妊娠させたと抗議していたことを思い出す。現在のチェスターは、ホークが妊娠させたことが誤解だったこと、
ホークがジェニーという少女と親密になり、その恋人のスキッズと揉めていたと証言する。そして現在のスキッズは事件当夜のアリバイを主張し、歌手志望の
ジェニーが自分で“Scarlet
Rose”を歌ったレコードをホークに渡していたと明かす。また、現在のジェニーは、ホークとレコード会社のオックリーの会話を思い出す。オックリーは
ボーンズに“ペイオラ”を渡したと語っていた。
そこでヴェラが重大な事実を発見する。“Scarlet Rose”を作ったのは、実はホークで自分とドッティの娘、ジェニーに捧げた曲だった。現在はジェニーは当時を振り返り、ホークがジェニーと親子の仲を取り戻したいと望み、彼女の歌手になりたいという夢をかなえるとジェニーに約束したことを明かす。
ホークを殺したのは、ドッティだった。ドッティの父はミュージシャンだったが、ひどい暮らしを続け、ジェニーが歌手になることにドッティは反対だった。そこでホークがジェニーに協力するのを阻止しようとしたのだった。
さて、ヴァレンズの兄マイクの妻アレグリアが署に来て、夫が寝込んで仕事にも行かないという。ヴァレンズはマイクを訪ねるが、子供の頃、ある夜マイクの様子がおかしかったことを思い出す……。
【今回の深読み】
音楽が売りの『コールドケース』らしく、音楽が重要な要素となった今回のエピソード。レコードの針が飛んで曲のサビが繰り返されるという不気味な導入部だが、そのリフレインに犠牲者の尽きない無念を思わせる上、事件解決の糸口になるという、印象的なストーリーとなった。
同時に、今回の捜査でしばしば登場する“ペイオラ”もやはり実話なのがこの番組らしい。スティルマンが挙げた当時の人気DJの1人、アラン・フリードはペイオラを受け取ったことが発覚し、東海岸の放送界を追われている。この事件を機に1960年、ペイオラは法律で禁じられるようになった。今回の事件はその少し前、まだホークという良心的なDJがいた時代が、当時を知る米国人には懐かしいに違いない。
さて、今回は、そうとは口にしないものの、ジョセフの一件を引きずって落ち込んでいるのか、元気がないリリーに代わって他のレギュラー陣が活躍。ジェフリーズがカントリー音楽(実質的に白人の音楽)が好きで、大学時代にDJをしていたと明かしたり(白人のホークが黒人の音楽を好んだのと対になっているのが面白い)、ハイテクが苦手そうなヴェラが「パソコンオタク野郎に負けてたまるか」と言って歌詞と作者を調べたり、ラストでスティルマンがオフィスでステップを踏んだりと、微笑ましい場面が多かった。
何よりファンは、ヴァレンズの少年時代に驚いたはず。ちっちゃかったヴァレンズ、可愛かったですね~。それにしてもヴァレンズの兄マイク、まだ謎を残し、次回予告で兄弟は殴り合いになってるしと、気になる!
【“Scarlet Rose”】
既成の音楽をたくさん使う「コールドケース」だが、実は番組のために作られたオリジナル曲もたまにある。今回の“Scarlet Rose”もそうで、ミュージシャンのゲイリー・ハースがこの番組のために書いたという。本当に昔の歌のようで、よく出来ているを関心したのは筆者だけでないはず。でも歌っているのが誰かなのは残念ながら不明。本当に昔のジェニーを演じたサラ・ドリュー(TV「エバーウッド」でもおなじみ)だったら面白いのだが……。
2008.8.16|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
【STORY】
2003年4月18日。自閉症の少年ブレントがいるハリス家は、両親も姉もブレントに優しく接する温かい一家だった。だが数か月後、ブレントの両親、スティーヴとリサは何者かに拳銃で射殺されてしまう。
そして現在--。ジョセフが福祉局の仕事で訪れた養護施設にブレントが預けられていて、ジョセフが事件の話をすると必ず決まった数字を口にするので、事件の何らかの証言ではないかとリリーを呼ぶ。数字は両親の遺体が見つかった車の走行距離計と一致した。ブレントは両親が殺される現場にいて、犯人を目撃したのか。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
事件は遺留品も目撃者もなく迷宮入りしていたが、両親の熱帯魚店はその半年前に火事で全焼していた。そしてブレントは事件の現場で“アー・ユー・ハイ?(Are You High?)”と書かれた靴を履いた者がいたのを覚えていたが、それはブレントと姉ルビーが通ったリッター・ユニオン高校のあだ名だった。
ルビーは、当時ブレントが学校でグレッグという少年にいじめられていたことをリリーたちに伝える。そんなグレッグは、ブレントの両親は学校に不満をもっていて転校させたがっていたこと、その時に“プランB”と口走っていたことを指摘。
ブレントによればプランBは“サミーを助けること”だったという。サミーは事件の夜、ブレントが容器に入れて持っていた熱帯魚の名前だった。そしてブレントが現場で見たというルビーの当時の恋人ダグは、サミーが救われたのは熱帯魚店が潰れる前、別の日だったと証言。ハリス夫妻は熱帯魚を地下に隠していたという。リリーは夫妻が自分たちで店に火をつけたと推測する。
ルビーは両親の放火を認めたが、ブレントを転校させたい学園の校長から2万ドルのワイロを要求されたためだったと明かす。しかし保険金は下りず、また校長も、自分はバーモントにある施設を夫妻に紹介したという。ついにルビーは、ブレントが両親を殺し、自分が証拠を隠すのを手伝ったと告白。しかしブレントは新たな数字を呟く。それはダグの電話番号だった。
真犯人はダグだった。ルビーと離れたくないダグは、一家がバーモントへ引っ越すのを阻止しようとハリス夫妻を殺したのだった。
ジョセフは、リリーが昔彼女にプロポースしたレイとまた会っているのを気にしだす。そしてレイはリリーに、遠くカリフォルニアに行くので一緒に行かないかと誘うが、リリーは申し出を断り、彼に別れを告げる。しかしそれを聞いたジョセフの反応は……!?
【今回の深読み】
ルビーが“弟が殺した”と告白した瞬間、第4シーズンは5話連続重いエピソードかよーと絶叫しかけたが、真犯人が別にいて、あーよかったという。いや、人が2人も殺されたのだからよかったというのは不謹慎ですね。それにしても、最初の1分で犯人の名前がもう台詞にあったことに気づきました?
古い事件が多い『コールドケース』だが、今回は3年前という新しい事件だ。それは恐らく、自閉症という障害がまだ正しく理解されていないことに番組の作り手が憤り、問題にしたかったからではないだろうか。
ブレントは自閉症だが、記憶力は優れており、それによって事件は解決に導かれていくが、ダグはブレントを誤解していたために墓穴を掘る。それだけでなく、ひょっとしたらルビーも愛する弟を誤解していたかもしれなく、そこが今回のエピソードは深い。
自閉症を食い物にする校長がジェフリーズに逮捕されるカットも天罰を受けるかのようで、今回は痛快なエピソードに仕上がったが、それは作り手の正しいメッセージがあってのものだと理解したい。それと今回は、ブレントと辛抱強く交流を続けたヴァレンズに、“よくがんばったで賞”をあげたい(笑)。
あと、“当時の警察はちゃんと捜査しなかったの?”と時々ツッコミたくなる「コールドケース」。3年前の事件なら当時捜査を担当した刑事が今もリリーたちと同じ殺人課にいてもおかしくないと思うが、なぜリリーたちを手伝わないのか。「CSI」だったら、ダグの手から硝煙反応を見つけていたかも?
さて、リリーとジョセフだが、レイが去ってひと安心(?)と思いきや、ジョセフはリリーに冷たい反応を。どうする、リリー!?
【アー・ユー・ハイ?】
なんでこれが高校のあだ名なの、と筆者は一瞬困惑したが、リッター・ユニオン(Ritter Union)のイニシャルはRU。R=Are、U=You、High(高校)だったのですね。
2008.8. 9|エピソードガイド|固定リンク|コメント(4)|トラックバック(0)
【STORY】
1982年2月16日。ある広告会社で、ビジネスウーマンのモリーがクライアントたちにプレゼンをしている場に、夫の弁護士ロジャーが幼い息子デヴォンとまだ赤ちゃんの女の子、アイリスを預けに来る。一瞬戸惑ったモリーだが、これを利用しない手はないとばかりに、これからの時代、女性は仕事と子育てを両立するとプレゼンを続ける……。
そして現在--。1980年代前半に乳幼児突然死症候群(SIDS)と診断された事例を検事局が再調査するうち、1982年のアイリスの急逝に疑問が投げかけられる。スティルマンが遺族に配慮するよう忠告する中、リリーはコールドケースの扉を開く。
リリーたちは、今や離婚したロジャーとモリーを聴取。モリーは仕事と育児、両方のストレスで押し潰されそうになっていたと認め、ロジャーは2人目の子供アイリスは欲しくなかったと漏らす。そしてアイリスの兄デヴォンは事件当夜のことを憶えていないという。やがて、乳母のマルタも息子をSIDSで亡くしていたこと、夜のベビーシッターのブリーがいい加減な子守をしていたこと、ロジャーがモリーの同僚ステラと浮気していたことも浮かび上がるが、ロジャーもモリーもデヴォンも、精神状態はよくなかったようだ。
犯人は、モリーだった。ある夜、思いつめたモリーはアイリスを胸に抱き、雪が降る庭に、心中するかのように横たわったが、モリーだけが幼い命を落としたのだった……。
一方、リリーは再びレイから電話で呼びだされるが、彼は病院のベッドにいた。レイは何者かに襲われたというが、リリーはレイに請われて彼のそばにいてやる。
【今回の深読み】
重いエピソードが続いている「コールドケース4」だが、今回も子供の変死という悲痛な事件が題材。とはいえ、SIDSを取り上げることはこの時代でなくとも出来た訳で、番組の作り手がなぜこの時代を選んだか、勝手に深読みしたい。
1960年代に起きたウーマンリブ運動は、1979年、国連総会で女子差別撤廃条約が採択されるなどの成果を挙げ、女性の自立に社会の関心は集まった。1980年には、妻の自立が夫婦関係を壊していく映画「クレイマー、クレイマー」がアカデミー作品賞に輝いている。だが、「クレイマー、クレイマー」もそうだったが、子育てや親権の問題など、自由の代償として苦悩を背負う女性もいた。モリーはそんな1人だったのだろう。
広告の仕事で“ダイナミック・ウーマン”という勇ましいキャッチフレーズをアピールしたはずのモリーが、皮肉にも誰にも救われぬまま壊れていく、その姿はあまりに痛々しい。アイリスが亡くなった夜に現れた鹿はアイリスで、母親に別れを告げにのだろうか。しかしラストは珍しく、リリーが犠牲者が消える様子を見ることがなく、アイリスの魂がまだ天国に行っていないからかもしれない、と思ったのは筆者だけだろうか。
さて、今回もやはりレイの関係を引きずるリリー。弱い者に同情するのが彼女とはいえ、ジョセフとの関係はどうなるのか、心配だ。
もっともモリーに過去を思い出せと迫る姿は、まるで自分の母親に問い詰めるかのよう。また、同じ仕事の鬼でも私はモリーのようにならないという、リリーの強い意志が感じられた。
【乳幼児突然死症候群(SIDS)】
主に1歳未満である健康そうな乳児に、何の予兆もないまま突然死をもたらす疾患。しかし、原因不明のため、疾患とすべきかどうかは今も議論が続いているという(本編にもそういう台詞があった)。今回の事件は、赤ちゃんにうつ伏せをさせないなどの対策が講じられる、1980年代後半よりも前に起きた事件だ
【ジャクソン・ブラウンの“Somebody's Baby”】
邦題は「誰かが彼女を見つめてる」という、いかにも当時の洋楽っぽいタイトル(笑)。この曲、今回の事件が起きたのと同じ年である1982年の映画「初体験/リッジモント・ハイ」の主題歌。ショーン・ペン、ニコラス・ケイジ、フォレスト・ウィテカーという後のアカデミー賞男優が若き日に共演した青春映画の傑作だ。
【フィル・コリンズの“In The Air Tonight”】
邦題は「夜の囁き」という、いかにも当時の(以下略)。TV「マイアミ・バイス」第1話のクライマックスでかかったのを憶えている人も多いのでは?リメイク映画版でもエンディング、ノンポイントによるカバー・バージョンがかかった。
【ジャーニーの“Open Arms”】
邦題は「翼を広げて」という(以下略)。この曲も映画「ヘビー・メタル」のサントラの1曲だった。ジャーニーといえば、第2シーズンの第17話「保険金」のラストでかかった“Don't Stop Believing”も忘れがたい。
2008.8. 2|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
【STORY】
1947年3月24日。薄暗い地下の坑道。砂堀り人たちは危険な職場での厳しい仕事に不満を持っていたが、1人の白人男性は労働者が力を合わせられると信じていた。だが突然、落盤事故が……。
そして現在--。地下鉄のトンネルから人骨が見つかるが、そこは1948年に閉鎖された坑道の跡地だった。状況から推測すると、骨の男性は生き埋めにされて殺されたらしい。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
骨は1948年に失踪した砂堀り人、ドノヴァンのものと判明。彼は40年代、労働運動のリーダーとして有名だった男だ。まずドノヴァンと同じ職場で働いていた義理の弟、ボビーに聞き込みが。ボビーの姉はドノヴァンの妻で、ボビーの父親ビッグ・マックは現場監督だった。そして当時の落盤事故で命を落とした黒人ネイトには、アリスという妻がいた。
ドノヴァンたちを雇っていた建設会社の社長バートルマンの息子は当時、労働者同士も揉め、ザッカードという白人至上主義が、有色人種に優しいドノヴァンと対立していたという。そして現在のアリスは夫の死後、ドノヴァンに優しくされたことを振り返る。
ボビーは、ドノヴァンがひそかにストを計画していたことを会社に告げ口したと告白。またバートルマンは、妻がいるドノヴァンが黒人のアリスと親密になったことを材料に、ストを止めるよう圧力をかけていた。
捜査に急展開が。アリスはドノヴァンの子を身ごもり、出産していた。ドノヴァンは現場監督に出世したお祝いで、ビッグマックからライターを貰っていた。そのライターは現在、ボビーが持ち主になっていた。
犯人はボビーだった。父親が自分でなく、ドノヴァンを監督に選んだことに嫉妬したボビーは、坑道で2人きりになった時、ダイナマイトを使ってドノヴァンを生き埋めにした。そんなドノヴァンは亡くなる間際、“君は一人じゃない、アリス”と呟いていた……。
一方、リリーはジョセフから“愛してる”と言われるが、リリーの元彼氏、バイクの男レイがリリーの前に再び現れて!?
【今回の深読み】
今回の事件が起きた1948年といえば、米国で共産主義者が弾圧された、いわゆる“赤狩り”が始まった年。労働運動のリーダーが殺された事件の周囲で見られた、当時ならではの現象をふんだんに盛り込み、これも「コールドケース」らしいエピソードとなった。
労働運動だけでなく、当時の人種差別も事件が起きる背景の1つだ。ルイ・アームストロングの“I Wonder”が感動的に使われているが、サッチモの愛称で親しまれた彼もまた、人種差別を受けていたのは有名で、そこまで意識した上での選曲かもしれない。1つのエピソードで同じ曲が2回以上はあまり流れない「コールドケース」にしては珍しく“I Wonder”を途中とラストで2回使い、泣けるラストシーンの伏線にしたのも秀逸だ。
ただ、このエピソード、ドノヴァンの妻を見せたほうがよかったのではないかと思ったのは筆者だけだろうか。
さて、レギュラー陣では、リリーの恋愛に動きが。レイの再登場だが、彼との別れ際、リリーがレイを忘れようとしているのか、それともその反対なのか、気になった。直後にリリーはジョセフに“愛してる”といったがややぎこちなく、リリーの気持ちは……!?
また、細かいところでは、スティルマンが警官になった理由が“火事と落盤が怖かったから”というのがユーモラス。と思いきや、「何にでも終わりはある。殺人罪以外はな」と「CSI:マイアミ」のホレイショばりの決め台詞を発射(笑)。カッコいい!
【ドーナツ】
オープニング直後、リリーはジョセフに「ドーナツ?私が警官だから?」というが、これはリリー役のキャスリン・モリスが昨年来日した時のトークショーでもたまたま出た話題。米国では仕事をサボってドーナツを食べる警官が多いらしく、そうした警官を“ドーナツ・コップ”と呼ぶんだとか。
2008.7.26|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
【STORY】
2004年2月21日。主婦たちやその子供が集まって歓談を楽しむ場に主婦の1人、デイナの夫ジェフが、軍から彼女に、イラクへの派兵通知が届いたと告げに来る。デイナと夫には、まだ幼いリンジーという娘がいた……。
そして現在--。フィラデルフィアを流れるデラウェア川の底で、1本の義手が見つかる。それは2年前、イラクで擲弾(てきだん)の攻撃に遭って右手を失って帰還し、その3か月後に失踪したデイナのものだ。彼女の生死はいまだ不明だが、事件の可能性を感じたリリーたちはコールドケースの扉を開く。
ジェフは、右手を失って帰還した妻デイナに困惑したと告白しつつ、戦友トミーがデイナの親友になっていたと語る。そんなトミーは帰国直後、デイナが親友ブレンダと対立していたと証言。ブレンダの夫フランクは、デイナが右手を失った際に只1人戦死し、ブレンダはデイナを非難していた。そんなブレンダは、帰還したデイナが心的外傷後ストレス障害でキレやすくなっていたと指摘。またリンジーは、母は軍人のコズロウスキーから強迫じみたことを言われていたという。そんなコズロウスキーの妻ノラは、ジェフがデイナの友人ポーラと浮気していたと明かす。
デイナは戦場で、敵の少女を見て動揺し、トラックの速度を落としたせいで攻撃され、そこでフランクが戦死したことに重い責任を感じていた。そんな妻にジェフは、武勲勲章を捨てて過去を忘れろと言ったという。彼女はトミーに勲章を預けていたが……。
デイナを川に突き落として殺したのはトミーだった。戦場でつらい経験を共有したトミーはデイナに、戦友という意識と友人を越えた感情の両方を抱いていた。トミー逮捕後、川からデイナの遺体と彼女の勲章が見つかる。
一方、ヴァレンズは仕事を半休し、妻や息子と暮らす兄マイクを訪ねるが……!?
【今回の深読み】
いまだに続くイラク戦争を事件の背景にするという、今回も社会派の「コールドケース」らしい重厚なエピソードとなった。
デイナは料理学校の学費作りのため、州兵に入隊して7年半勤務し、もうすぐ任期が終わるという時に、無情な派兵通知が。しかも右腕だけでなく命まで奪われるという、悲惨な最期を遂げてしまった。
今回のエピソードのユニークな着眼点は、常備軍でなく予備部隊である州兵を題材にしたことだ。州兵というのは後述するが、本来は(現実はともかく)米本土の防衛が任務で、デイナやその家族は、デイナがイラクに送られる可能性は低いと考えていたのでは。
また、戦争のプロという意識が強い常備軍と異なり州兵のデイナは、だからこそ、自分の娘に近い年齢の少女が敵兵であることに、1人の母親として反応してしまったのだろう。
これらの背景には、ベトナム戦争以来、米国に徴兵制がないことも関係しているように思える。軍人に必要な専門性が高まって、短期の従軍しかない徴兵制はすでに不要だとする声が強い一方、徴兵制がないことによって軍人の質が下がったという意見もある。
本来なら同じ組織にいなかったかもしれないトミーとデイナが戦友になった、そのことが一番の悲劇だったのでは。それでいて冒頭部、デイナと友人の主婦たちの団らんを通じ、彼らの人間関係が結局は戦友より弱いつながりでしかないと描くことで、友人と戦友、両者が対をなしているのが余韻を深める。
なお、劇中の台詞にも出てきた、アブグレイブ刑務所での女性米兵らによるイラク人虐待事件もまた、2004年に発覚した。
いずれにせよ、戦争の醜さをテーマにしたエピソードに秀作が多い「コールドケース」らしく、今回も深く考えさせられる。
レギュラー陣も、兄が性的犯罪者の被害に遭っていたのではないかと動揺するヴァレンズをはじめ、6歳の時に父親が家を去ったとジョセフに明かすリリー、シングルマザーとして奮闘するミラー、ベトナム戦争に出兵していたジェフリーズ(上司スティルマンと同じだ!)、さりげないが濃密な描写が多い。
【イラク戦争】
2003年3月19日に開戦し、今なお続く戦争。01年9月に同時多発テロ事件を起こしたアルカイーダとイラクのフセイン大統領に関係があり、またイラクが大量破壊兵器を保有しているというのは開戦の主な理由だったが、やはり2004年、米国の調査団はイラクに大量破壊兵器は存在しないと最終報告を提出。その後も米軍らとゲリラなどの反体制勢力らは戦闘を繰り返し、米軍は同時多発テロ事件の犠牲者より多い4000人以上を失い、一説によれば100万人以上のイラク人が命を落とした。
【州兵】
アメリカ軍の予備部隊で、英語でNational Guardということからも分かる通り、国内で災害救援や暴動鎮圧などの治安維持にあたるのが大きな任務。しかし実際は、大統領の命令で連邦軍に編入されることも多く、米国が海外でおこなった戦争の多く(ベトナム戦争含まず)に派兵されている。
2008.7.19|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
【STORY】
1995年9月23日。ハンディビデオカメラの揺れる映像は、土曜の午後、人混みでごった返すショッピングモールの風景を映しだす。収録していた2人の少年は突如、1人がショットガンを、もう1人がサブマシンガンを手にし、乱射を開始する……。2人の高校生、ニールとキャメロンは買物客を15人も無差別に射殺すると、最後に自殺をとげた。
そして現在--。モールの通気孔の工事中、11年前の悲劇を収録していたビデオカメラが発見される。カメラの映像を再生すると、そのカメラをニールたちから渡された“第3の人物”がいる様子。犯人が他にも? リリーたちはコールドケースの扉を開く。
ニールとキャメロンは世間や周囲に不満を抱いていたらしく、オンライン・ゲームでうさを晴らしていたようだ。ヴァレンズたちがキャメロンの父親を訪ねると、父親は2人にデイトンというゲーム仲間がいたと語る。事件の現場に居合わせたデイトンは後遺症で、今は閉所恐怖症に。デイトンはニールたちのゲーム仲間でありながら、ニールたちを見下していじめていたグループの1人でもあった。やがてヴェラの調べで“第3の人物”が事件の現場から逃げず、生存者に紛れていた可能性が浮上。ビデオカメラがモールの家電店から盗まれた物であることも分かる。
その家電店では、ニールたちの同級生デイヴィがバイトしていた。事件後、人間不信に陥って厩舎で働いていたデイヴィは、ティナという女子高生がカメラを万引きしたと明かし、それがバレたティナは警備員のバリーに捕まっていた。またバリーは警備室でニールたちに防犯カメラの映像を見せていた。事件で撃たれ、下半身不随になったバリーは、その際にティナに励まされたこと、デイトンが“僕のせいだ”と語っていたのを思い出す。
デイトンは、ティナがザックのグループ(ニールたちをいじめていた)がその日レイプされていたこと、ひそかにティナに好意を寄せるデイヴィがザックたちを“殺す”と発言していたことを思い出す。レイプされて自暴自棄になり、ニールたちに乱射を煽った“第3の人物”はティナだったのだ。
真実の扉が開いた時、衝撃的な事件が起きる。あのショッピングモールに、ティナが銃を持ってたてこもったのだ。リリーはティナに接近し、投降するよう説得を開始するが!?
【今回の深読み】
半年ぶりに「コールドケースブログ」を再開いたします。前シーズン、間違えた個所は修正しますとお約束したにも関わらず、現在までそのままなのは本当に申し訳ありません(第4シーズンの間に修正できるといいのですが……)。今後も間違いがないようにしたいと思いますが、もしも見つけたらぜひコメントでご指摘ください。
さて、第4シーズンの第1話は、実際に米国であった事件を時々モデルにする「コールドケース」らしく、1999年に起きた《コロンバイン高校銃乱射事件》を下敷きにしたと思わせるハードな内容だ。乱射犯が高校生2人組であること、彼らが同級生からいじめられていたこと、2人が散弾銃とサブマシンガン(TEC-9)を持っていたこと、犯行直後に自殺したことなど共通項は多い。とはいえ、ならばなぜダイレクトに高校や学校を事件の舞台にせず、舞台をショッピングモールにしたのか。そこに「コールドケース」らしい、考え抜かれた工夫を感じたのは筆者だけだろうか。
今や日本でも珍しくなくなったショッピングモールだが、消費社会が高度に進化した米国ではある意味、社会の縮図となることが多い。アルバイトの職場にする貧しい高校生もいれば、裕福な家庭の子供が財力を拠り所に闊歩する場でもあり、今回のティナのように寂しさを忘れるために入り浸るだけの者も。そんな当時の事情をケヴィン・スミス監督が青春群像劇にして描いたのが、今回の事件と同じ1995年に作られた映画「モール・ラッツ」(WOWOWは「モール・ラッツ青春白書!?」として放送)。モールに集まる若者たちのぐだぐした日常を描くこの映画は、日常的すぎたようでヒットはしなかったが(日本では劇場未公開)、モールはある意味持てる者と持たざる者の接点であり、このような悲劇が起きることもあると警鐘を打ち鳴らしたのが今回の「コールドケース」ではないか。モールが欠かせないリッチな高校生たちを描く青春映画「クルーレス」も95年の作品だ。
無論、無差別殺人は許されるはずがない(今回の「コールドケース」でも誰もそんなことは言っていない)。しかし、ニールとキャメロンと“第3の人物”が、社会から虐げられる者同士、一瞬でも共鳴し合ったために悲劇が起きたという、そんな事実を厳しく見つめたのが今回の「コールドケース」。社会派ドラマとしての鋭い視点も健在だ。
ちなみに事件が起きたのは1995年9月23日だが、この回が全米放送されたのは2006年9月24日。11年経っても改善されなかった、米国社会に内在する矛盾への憤りも印象深い。
さて、番組を見続けているファンにとっては、フィラデルフィア市警の面々との再会や彼らのその後も、きっと楽しめたはず。リリーは前シーズンの最後に出会った新恋人ジョセフと幸せそうだが(夜中にヴェラに職場に呼ばれていたのは可哀そうだけど)、彼もようやく周囲からも受け入れられそうな気配。でもリリーは幸せで居続けられるのか。
また、ヴァレンズに兄がいたという新事実が。少年ボクシング教室のコーチにヴァレンズの兄は虐待されていたらしい。ヴァレンズの反応は……!? 気になる滑り出しだ。
【“シュウィーン!”】
冒頭で犯人2人組の会話に出てくる一言だが、元ネタは映画化もされたTV「サタデーナイトライブ」の1コーナー「ウェインズ・ワールド」のダメ男子コンビ、ウェインとガースがよく使っていた単語。美女(ベイブと呼ぶ)に出会うと男性(の体の一部)はこうなる、という時に使い、全米の若者の流行語になった。懐かしいという人もいるでしょ?
【“これは別世界への旅です”】
同じく犯人2人組の会話に出てくる一節。米国の名作SFドラマ「ミステリー・ゾーン(トワイライト・ゾーン)」のオープニングで番組のホスト、ロッド・サーリングがつとめたナレーションの一部。前出の“シュウィーン!”共々、ニールとキャメロンのオタクっぽい一面を表している。
【監督のマーク・ペリントン】
最近ようやくDVD発売された警察ドラマの傑作「ホミサイド 殺人捜査課」で初期のメイン・タイトルをデザインしたり、同番組で1エピソードを監督する一方、07年にはライブ映画“U2 3D”を監督するなど、映画・TV・音楽方面で活動。「コールドケース」にぴったりといえる監督の1人で、コンサルタンティング・プロデューサーもつとめる。
2008.7.12|エピソードガイド|固定リンク|コメント(3)|トラックバック(1)
【STORY】2005年3月9日。ドラッグ中毒のティーンエイジャーのリハビリ施設《ロビンソン・ハウス》。入所者の少年コーリーが同じく入所者のオーランドを殺し、そこへ現れたカウンセラーのジョセフの目前で逃亡する事件が。その2か月後、裁判で証言する前夜、ジョセフは顔を撃たれて亡くなる。
そして現在--。あれから1年、ジョセフのクレジットカードを何者かが使おうとする。現在のコーリーは目撃者のジョセフが死んだため、釈放されていた。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
コーリーは、少女の入所者クリスタルがジョセフに片想いしていたが、ジョセフに遠回しに拒絶され、入所者たちの前で“殺してやる”と口走ったと証言。そんなクリスタルは、ジョセフの義理の兄ワイルダーが入所者以上に深刻なドラッグ中毒だったと明かす。また、ワイルダーの母親でジョセフの里親のリーバは、ジョセフがワイルダーを引き取り、“農場へ行く”と言っていたという。
不幸な子供時代、仕事中毒、そして猫好き。自分との共通点を感じたリリーはいても立ってもいられず、スティルマンの反対を無視してその夜、農場に行く。そこでリリーが会ったのは、なんとジョセフだった。彼は1年前に撃たれたのがワイルダーだと告白し、《ロビンソン・ハウス》の経営者ジェーンから証言をやめるよう忠告されていたとも話す。
翌日、リリーは仮病で仕事を休み、刑事のルールに反して独自に捜査へ。そこで浮かび上がる意外な事実。誰がワイルダーを殺したのか。その理由は。すべてを知ったリリーの反応は……!?
【今回の深読み】
いよいよ第3シーズンの最終回。ほぼ1年前の事件という、ちょっと「コールドケース」らしくない事件ともいえるが、それはやはり、今のリリーにつながる事件を取り上げることで次のシーズンに関心をつないだ、といったところだろう。何といっても気になるラスト・シーン(音楽が始まったから事件が解決したと思って見逃した人は再放送で必見!)。“ええぇーっ!”と絶句させられるのは海外ドラマならでは、というか、某局みたいに打ち切りがある局だったら、この先見られなかったらどうなっちゃうのよという結末(爆)。それと、さりげなく映ったヴァレンズの手の傷は、もちろん第22話のラストを受けてのもの。そんなリリーとヴァレンズを見守るスティルマンの今後の出方も気になる!
そういえば来日したキャスリン・モリスは“古くない事件のほうが個人的に好き”と語っていたが、最近の各エピソードを見るとレギュラー・キャラの内面が掘り下げられる回は最近の事件が多いという気がこのシーズンはした。前2シーズンに比べ、各キャラの複雑な内面を浮かび上がらせた第3シーズンだが、これらをバネに次シーズンもどこまで跳ぶか、筆者は大きなプレゼントを貰った。
それでは「コールドケース ブログ」、第3シーズンはここまで。月刊誌の仕事が多い筆者は、毎週ここの原稿を書くのになかなか慣れませんでしたが、作品の面白さ(と来日した時のキャスリンの笑顔)に元気を貰ってここまでたどり着けました。お読みいただいたみなさん、ありがとうございました(誤字などの修正は年内には必ずやります。ごめんなさい!)。ではまた会う日まで……。
【ジョセフ役のケネス・ジョンソン】
見たことがない人は損! という傑作ドラマ「ザ・シールド ルール無用の警察バッジ」のカーティス・レマンスキー刑事役で海外ドラマ・ファンにはおなじみだろう。マニアックに掘り下げるとTV「ペンサコーラ 黄金の翼」の第1シーズンにキャスリン・モリスが、第2・3シーズンにこの人がレギュラー出演していたなんてトリビアあり。もっとマニアックに突っ込むと、同じ名前の名TVプロデューサーがいるのでややこしい(笑)。あと07年夏の全米TNT局の新番組“Saving Grace”は残念ながら9話で打ち切り。
2007.12. 8|エピソードガイド|固定リンク|コメント(5)|トラックバック(0)
【STORY】1984年1月14日。病院のERで働く医師グラントは全力を注ぎ、1人の男性の命を救う。だが同じ年の夏、グラントは路上で射殺されて亡くなってしまう。
そして現在--。ダナー検事の後任であるデヴィッド検事は、グラントが殺される現場を目撃したという女性を連れて市警へ。彼女によればグラントはキャップをかぶった白人と一緒にいたという。デヴィッドに、ジェフリーズの復帰が再捜査の条件だと告げるスティルマン。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
グラントを殺したのは当時、彼の靴を履いていたアフリカ系男性のホームレスと思われたが、男性の獄中死によって事件は終結したと思われた。だがグラントの妻アンは、夫の同僚セスがアンに思いを寄せ、グラントに嫉妬していたと証言。現在のセスはアンに対する気持ちを認めながらも、グラントがポーカーにハマっていた事実を明かす。そしてグラントのポーカー仲間のサイは、グラントに“地獄を見せてやる”と脅していた。
そんなサイは、財産を使い果たしたグラントが、クレジットカードが差し止めになり、息子ジェイソンの婚約者の前で恥をかいたと語り、またアンがグラントの死後、巨額の生命保険を受け取っていたことが分かる。そんなジェイソンは、父の保険金で名門コーネル大に進学していたが、グラントの遺体についていたハート形のステッカーが、ジェイソンがアルバイトしていた血液バンクのものだと分かり、ジェイソンが犯人である可能性が高まる。だがジェイソンにはアリバイがあり、彼はセスがグラントをどこかに連れ出したことを証言する。当時、グラントのポーカー好きは仕事にまで支障をきたしていて……。
グラントを殺したのは一体誰か。そしてその理由は……!?
【今回の深読み】
これまでも人間の弱さを描いてきた「コールドケース」だが、今回は優秀な医師ですらギャンブルに溺れて人生を破滅させたという、このドラマらしいエピソードだったといえよう。とはいえ、舞台となる1980年代との関係はやや薄く(日本にはバブル経済があったが今回は一応米国の話)、そこはややインパクトは弱かったかも。あ、でもジェフリーズの職場復帰はいいニュース!
とはいえ今回は、筆者的にはクライマックスに流れるエイジアの“Only Time Will Tell”といい、最初のボニー・タイラーといい、途中で流れるカーズやピ-ター・ガブリエルといい、1980年代魂爆発! の選曲にぐっと来てしまった。実はこのシーズン、1980年代の曲が以前より減ったなーと個人的に思っていたが、いきなり一気にツケを返された感じ。いい曲が多かったと思った人、ぜひ今回のアーティストたちをチェックしてほしい。
さてメインの事件以外ではラスト、ヴァレンズが変質者風の犯罪者を殴っていたのが気になるところ。これから問題にならなければいいが……。
次週で「コールドケース」第3シーズンは最終回。ぜひお見逃しなく。
【カーズの“Drive”】
アンがギャンブルにハマったグラントを責める回想シーンのBGM。アルバム「ハートビート・シティ」に所収されているロマンチックなナンバー。プロモーション・ビデオを俳優ティモシー・ハットン(「普通の人々」)が監督したというトリビアあり。最近も、映画「トランスフォーマー」のロマンチックなシーンで印象的に使用されていた。
【ピ-ター・ガブリエルの“Mercy Street”】
リー夫人がグラントに翡翠のお守りをあげた、回想シーンのBGM。1986年に発表されたピ-ター・ガブリエルの傑作アルバム「So」の中の一曲。 「So」は、以前この番組にもかかった“In Your Eyes”をはじめ、“Sledgehammer”“"Big Time”“Don't Give Up”といった当時のヒット曲を満載。今なお語り継がれる名盤です。
2007.12. 1|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
【STORY】1945年5月8日。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線でドイツが降伏した結果、連合軍が勝利し、町中が兵士たちの帰還を祝う。フィラデルフィア・センチネル新聞社では有能な女性記者ロレーナ・キニーが活躍していた。だがそれから数か月後、ロレーナは列車にはねられて命を落としてしまう。
そして現在--。フィラデルフィア・センチネル新聞のある記者が記録室を調べると、引ったくりにあって線路に落ちたはずの“センチネルの亡霊”ことロレーナは生前、駅で何か起きるとメモを残していたという。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
ロレーナは誰かにホームから突き落とされたのか。ロレーナの同僚だった記者バーディは当時のロレーナの同僚ヘレンが人生相談を担当したいと望み、その頃の担当ロレーナに嫉妬していたという。そんなヘレンは、ロレーナが戦場帰りのある男性から、彼のスキャンダルを紙面でバラしたせいで恨まれていたと語る。殺人課はその男性がアーサーという男だと突き止める。アーサーの息子デヴィッドは、親戚の帰還兵ノアがロレーナと出会ったことを明かす。オランダ生まれのノアはアウシュビッツ収容所を脱出して米国に到着し、ロレーナは彼に関心を抱いた。
現在のノアは当時、ロレーナと恋におちたことを認め、事件の直前、ロレーナに好意を抱いていたバーディが、自分に嫉妬していたと語る。そんなバーディは、ノアの経歴に偽りがあるのではないかとロレーナに疑問を呈したことを明かす。ニューヨークにはヨハンナという、ノアと同郷の女性がいた。
リリーはヨハンナと会うためニューヨークへ。ヨハンナの口から、意外な事実が……!
【今回の深読み】
今回の「コールドケース」は1945年、ホロコーストなどの戦時下の混乱に加え、当時の女性に対する差別も盛り込んだ、この番組らしいエピソード。何より、犯人がついた、あまりに大きすぎるウソ。裏切られたと知ったロレーナの絶望的な気持ちもそれに続いた悲劇も、あまりに切ない。それとも、結婚しない女性は周囲から“売れ残り”といわれた時代、ロレーナは記者として越えてはならない一線を越えてしまったのか……!?
それにしてもジェフリーズ、前回の事件は彼自身、大きなショックを受けたにちがいないのに、まさか降格とは! とはいえ“休みの日、何もすることが無かった”と語るジェフリーズと、自分もそうだと明かすスティルマン、2人の男同士の友情にじんと来た。“多分、俺も君も好きなんだろうな、クズを追い回すのが”(名台詞!)といった後、自分のデスクから酒を出し、ジェフリーズに一杯注ぐスティルマン。く~、渋すぎる!
あと、細かいが、ニューヨークに出張するのをリリー以外どうして嫌がったか、これはひょっとして周囲がリリーに“妹と再会できるチャンスだぞ”と勧めたということ!?
【現在のノア役のピーター・グレーヴス】
DVDも発売中の名作ドラマ「スパイ大作戦」の“おはよう、フェルプス君”(日本語吹替は日本のホーマー・シンプソン、大平透氏)でおなじみ、ジム・フェルプスを演じていたベテランがグレーヴス。現在81歳!!
実は筆者、今年の春にグレーヴスと国際電話でインタビューしたが、「スパイ大作戦」が日本で大当たりした当時に来日したこと、CMに出たことがあるホンダの本田宗一郎氏との交流など思い出話をたっぷりを聞かせ、81歳と思えない(←失礼)ほど元気だった。但しこんな大物が出てきたことで、今回の鍵を握っているのは予想できちゃったかも!?
ちなみにノア役の吹替は声優界の大ベテラン、小林清志氏が担当!
【“61(歳)にもなって~”】
確かに全米でちょうど1年前頃に放送された第2シーズン「トラック」に、ジェフリーズが「60(歳)になった」という場面があったような……(どうでしたっけ!?)。
2007.11.24|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
【STORY】1994年6月4日。住宅街の一軒家に父親マイクと16歳の娘ケイトという2人家族が引っ越してくる。荷物を運び込む引っ越し業者の1人、アンドレ・ティッブスは刑務所を出所したばかりのアフリカ系男性だった。その夜、ケイトは自宅で何者かにレイプされて殺されてしまう。
そして現在--。12年前の事件で取り調べを担当したジェフリーズは、ケイト殺しで逮捕され、3日後に処刑を控えた死刑囚アンドレに呼び出されて刑務所へ。逮捕以来、無罪を主張していたアンドレは、それを証明するかもしれない手紙をノーマン巡査に奪い取られたと主張していたが、自殺したノーマンが数々の不正をしていたと分かった今、もう一度事件を調べ直してくれとジェフリーズに頼む。ジェフリーズはアンドレが天性の嘘つきだと疑っていたが、リリーたちはコールドケースの扉を開く。
ケイトは自宅のキッチンで殺されたが、その夜近所にいたアンドレが逮捕され、彼の靴についたケイトの血とマイクの目撃証言によって、アンドレは有罪を宣告されていた。アンドレは事件の前、アルコールに依存していた頃に傷害事件を起こし、出所後にウェインが経営する引っ越し業者に就職していた。だが作業中にマイクの妻の形見である姿見を壊してしまい、アンドレはどの場で解雇されていた。アンドレはその夜、バーに行ったが酒を飲むのは我慢し、マイクへの詫び状(ノーマンに取られた手紙)を書いたという。そして深夜、マイクの家を訪ねたところ、息絶え絶えのケイトを見たという。やがてマイクの目撃証言がノーマンに誘導されたことがと分かるが、ケイトの友人の少女の証言から、アンドレが事件当夜、ケイトに電話していたのが明らかに。ジェフリーズは、まだ何か隠しごとをしているとアンドレを問い詰めるが、アンドレは無実を主張するだけだった。
ついに処刑当日。マイクは、実はアンドレがケイトに電話したのではなく、ケイトのほうがアンドレに電話した事実をジェフリーズに明かす。刑務所でジェフリーズと最後の面会をすることになったアンドレは、引き続いて自分の無罪を主張する。
死刑執行室に向かうアンドレ。事件は本当に彼が起こしたものか、それとも……!?
【今回の深読み】
泣いてしまいました、今回の「コールドケース」。そして基本的なパターンがある番組ならではの、それを崩すことによって物語に深みを加えるという手法にも、海外ドラマ・ファンの1人として唸らされる秀作だった。
殺人罪には時効がなくても、真実が明らかになる前に、罪のない他者が犠牲になることも……というストーリーは、「コールドケース」の矛盾を突いたようで、意欲的かつ衝撃的である。そして“フェイス”という一言の使い方。英語のfaithだとすると、“神への信仰”だけでなく“信念”“約束(とそれを守ること)”など様々な意味があり、それは事件の当事者たちの捉え方で異なるが、実はもう1つの意味があった、というのも、ぴんと来ない日本の人もいるかもしれないが、分かる人には説得力があったはずだ。
まず、アンドレ。「俺はやっていない」と繰り返すだけで、それは確かに捜査陣の役に立たなかったかもしれないが、彼が正しいことを言い続けたことに違いはない。死の直前まで彼は、ジェフリーズを信じることで人間そのものを信じようとしたのではないか。ケイトを気づかう優しさも持ちあわせながら、不器用なために流され続けた人生(酒に依存したのもそんな背景があるから?)だが、崇高な志を胸に天国へ旅立ったと信じたい。
彼を救えなかったジェフリーズだが、警官としての経験が豊かなのが、かえって犯罪者への眼差しが厳しくなりすぎることも。今回はその目利きが捜査の障害になった。
さて、意外な真犯人は絶対に許せないが、彼もまた家族に問題があり、最初はウェインを助けてやろうという気持ちが少しはあったはず。真相が分かった後ではまた複雑だ。
妻を失った上に娘を失ったマイクもまた不幸だが、多感な娘の胸のうちで何が起きているか、気づかなかったのは惜しまれる。
事件が解決しなかった、若しくは解決が遅かった、という展開は米国の刑事ドラマでけっして珍しくないが、今回の「コールドケース」も、ほろ苦いながらも、本当の正義が何かを見る者に問う、胸に残る秀作と思えた。
2007.11.17|エピソードガイド|固定リンク|コメント(4)|トラックバック(1)
【STORY】1928年12月31日。大富豪バートルビー家の豪邸で大晦日のパーティが開かれている。こういう華やかな場に慣れていないヴァイオレット・ポーリーだが、新年へのカウントダウンの途中、1929年は最高の年にすると誓う……。
そして現在--。リリーは久しぶりに母親エレンと再会。エレンはジャッキーという男性と再婚するので、結婚式でブライドメイドをしてくれという。だがリリーは母親が苦手で、返事を留保したまま母親と別れる。その頃、殺人課には、1929年のクリスマスに殺されたヴァイオレットの曾孫エイミーが、曾祖母の事件を再捜査してほしいと訪ねてきていた。エイミーは、祖母も母親も不幸だったのはヴァイオレットの呪いではないかと心配していた。そんなエイミーに自分がダブったのか、リリーはコールドケースの扉を開く。
ヴァイオレットは他の場所で殺されてから、ダーリントン女子寮の前に運ばれていた。今や歴史的建造物となった女子寮には、1920年代にある少女が書いた日記帳が残っていて、そこにはヴァイオレットに関する記述が。両親を亡くした彼女は、自分の歌を人気歌手に歌ってもらうという夢を胸にフィラデルフィアにやって来た。そんなヴァイオレットはジンジャーという女友達と共に、バートルビー家のパーティに乗り込んでいった。そこですっかり酔っぱらったヴァイオレットは、ついピアノに上って歌を熱唱してしまったが、フェリックス・スピーシックという男性に声をかけられていた。スピーシックは金持ちではなく、バートルビー家の運転手だった。
スピーシックの孫によれば、彼はバートルビーに命じられると何でも調達する仕事もしていた。スピーシックが当時を回顧するテープによれば、ヴァイオレットを呼んだのはバートルビーだった。彼は歌うヴァイオレットを見て一目惚れしたようだった。翌日、バートルビーは彼女が住む寮に300本の花を届けたという。ジェフリーズは「300本の花」というブルースの名曲のことを思い出す。
ヴァイオレットは故郷に農夫のジェブという恋人を置いてきたが、故郷に帰りたくないのでバートルビーとの新生活を選んだ。ジェブにはアリバイがあり、ヴァイオレットを殺せなかったはず。また、バートルビーには女優の恋人カミラと別れたばかりで、カミラはヴァイオレットに嫉妬していた。だが、カミラの研究家によれば、カミラとヴァイオレットは数か月後に仲直りしていたと分かる。実はヴァイオレットは、バートルビーの子供を妊娠していたのだ。
その年、全米を大恐慌が襲い、バートルビー家も経済的に大打撃を受けていく。ヴァイオレットを殺したのは一体誰なのか……!?
【今回の深読み】
1920年代、ジャズエイジと呼ばれる繁栄の時代とそれに続く大恐慌を背景にした物語。ご覧になった人のイメージを壊してしまったら申し訳ないが、1980年代から1990年代にかけての日本のバブル経済とそれが崩壊した頃にもあったかもしれない、今回の「コールドケース」の展開。歴史は繰り返す。
しかしジャズエイジの時代に引っかけてか、ジャズを前面に押し出したのが「コールドケース」ならでは。ドラマ・シリーズの1エピソードで1920年代の米国まで再現するその底力にあらためて感心した。
印象的な「300本の花」という歌だが、何と今回の脚本を書いたリズ・W・ガルシアが作詞し、番組の音楽を担当するマイケル・A・レヴィンが作曲した、番組オリジナルのナンバーとのこと。これだけで何だかありがとうと言いたくなる贅沢さだ。
そして、事件に刑事たちのドラマが絡むことが多いこのシーズン、今回は今まで以上にリリーのプライベートに迫った。リリーの母親エレンの初登場にびっくり! しかし筆者は、想像していた以上に普通の母親であることにも大いに驚いた。それでもリリーが煮え切らないのは、これまで番組で語られてきたような彼女と母親の関係があるからだろう。だが母親に「あなただっていいの、幸せになっても」と言われた時、ついハッとしてしまったリリー。直後、検事補のカイトに電話するリリー(こんなに酒を飲んで荒れるなんて!)を見て、幸せになってほしいと願わなかったファンはいないはず(レイとまた別れたことも、狙って今回まで伏せたのかも)。やっぱりいいなぁ、「コールドケース」。
【リリーの母親エレン役のメレディス・バクスター】
初登場したエレンを演じるメレディス・バクスターは、海外ドラマ好きなら1980年代の人気ドラマ「ファミリー・タイズ」(マイケル・J・フォックスの出世作でもある)のキートン家の母親エリスを知っているはず。さすがにおばあちゃんに近づいてきたが……。
【ヴァイオレット役のアリソン・ミラー】
ヴァイオレットが歌う場面、何と代役なしに歌っているそうだ。1986年イタリア生まれでまだ無名だが(「デスパレートな妻たち」「CSI:ニューヨーク」にもゲスト出演しているが)、日本の同名アニメをハリウッドで実写映画化する「Blood: The Last Vampire(原題)」(2008)に準主演していて、日本の小雪らと共演しているとか。今後バケるかもね!
2007.11.10|エピソードガイド|固定リンク|コメント(4)|トラックバック(1)
【STORY】2002年3月15日。タクシー運転手のデニスは人前で歌ったことがないのに地元劇団のオーディションを受け、ミュージカル「キャバレー」の挿入曲《ヴィルコメン》を歌う審査で最初はトチるが、2回目は無事成功する。5月のある日。ミュージカル「キャバレー」の主役の1人に選ばれたデニスだが、公演初日、開演直前になって遺体となって見つかる。
そして現在--。解散した劇団の舞台装置を買い取った劇場主から、引き出しの中から38口径の拳銃を見つけたという通報が殺人課に。事件は当時続いた強盗事件の1つと考えられたが、迷宮入りしてしまっていた。デニス殺害は、強盗のしわざに見せかけようとした劇団の関係者によるものか。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
リリーとヴァレンズはタクシー運転手で働くデニスの元婚約者、グロリアを訪ねる。彼女によれば役者のクリントンには劇団で唯一人、過去に犯罪歴があったという。現在はバーで働くクリントンは劇団のおかげで更生し、デニスとも仲がよかったといい、プライドが高い演出家レイフがデニスと口論になっていたことを思い出し、また、自分がレイフに拳銃を準備したことを明かす。レイフは俳優の仕事の役作りのために拳銃を入手したことを認めつつ、デニスの相手役のノーラとデニスが恋におちたこと、劇場の音響係のライルがデニスに嫉妬していたと証言する。
市警に呼ばれたノーラは、デニスがグロリアと別れるつもりだったと告白。また、ライルは、公演初日を有名エージェントが見ることになっていたこと、グロリアが、デニスとノーラが恋に落ちたと知ってショックを受けていたことを明かす。
グロリアは自分が嫉妬したと認めるが、初演の直前、デニスはレイフや彼のエージェントと打ち合わせをすると言っていたという。実はエージェントに見捨てられていたが、演出家のメンツのため、デニスやノーラにプロになる夢を持たせようとしたと語るレイフ。そして実は野心家であるノーラは自分こそエージェントにスカウトされるべきだと言い、デニスは彼女に裏切られた気になっていた。
急にクリントンが市警に来て、リリーたちに意外な事実を明かす。それは……!?
【今回の“深読み”】
「コールドケース」が1つのミュージカルから全曲を借りたエピソードは、第2シーズン第21話「制服」の「ロッキー・ホラー・ショー」以来2度目。場末のキャバレーを舞台に歌姫と作家志望の青年の恋と破局を描いた「キャバレー」は1966年にブロードウェイで初演され、トニー賞で9部門を受賞。1972年にはライザ・ミネリ主演で映画化され、アカデミー賞8部門に輝いている。
リリーが何度も繰り返すように、俳優たちが演技力で真実を隠し通す難事件になるかに見えたが、自分の演技力を証明したい犯人はみずから犯行を認めてしまうという皮肉な結果に。だが何より、夢を抱いて舞台の世界に足を踏み入れたデニスだが、非日常的な舞台の世界が奇妙な日常を生み出すこと、そんな矛盾に押し潰されたように思える。ラストの曲のサビ“人生はキャバレー”という歌詞を聞きながら、筆者はそんな感慨を抱いた。
刑事たちに目を向けると、リリーはどうしてミュージカルが嫌い? 今後その答えは出るのか。また、次回予告では「あたし変わる」という台詞と共に、いつもよりぐっと女性らしいリリーが。一体何が!? 気になる!
あと、不謹慎ながら刑事たちが犯人を予想して賭けをする場面、ヴェラが「今は個人的にオンナを信用していない」と言っていたのが……まだ奥さんとヨリを戻していない!?
【「キャバレー」】
ミュージカル「キャバレー」は1966年に初演されたが、今回のエピソードでは1988年にアラン・カミング(後に「スパイキッズ」シリーズにも出演)が主演したリバイバル版舞台のサントラから各ナンバーを借りている。
ちなみに冒頭でデニスが歌う「キャバレー」のナンバーで、今回の原題にもなっている“ヴィルコメン”はドイツ語で“ようこそ”という意味。
【メソッド】
アメリカの演劇界に定着している演技法の1つだが、メソッドにも色々なタイプがあるという。ちゃんと解説するのは困難だが、あえていうなら、俳優の内面を重視して本物の感情をリアルに演じる演技法。代表的な俳優は、今回何度か名前が出てきたロバート・デ・ニーロ。ラルフは刑事映画の役作りのため銃を入手したというが、実際に銃を持ってみないと銃を持つ者をリアルに演じられないと考えたのだろう。
2007.11. 3|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
【STORY】1973年10月5日。女子テニス界の第一人者であるキングが男子選手リッグスを破ってから2週間後。ペンシルヴェニア大のコートでも、1人の女子選手が快挙を成し遂げる。新入生のアンディが、男子一テニスが上手い先輩、フリッツを破ったのだ。だが翌日、アンディは学生寮の自室で絞殺死体となって発見され、事件は迷宮入りする……。
そして現在--。アンディの妹エミリーがフィラデルフィア市警へ。アンディのコーチでもあった父親ビルの引っ越しの荷造り中、事件当夜にアンディが使っていたタオルが見つかり、それを触っているうちに気分が悪くなったという。検査の結果、タオルには人体に有害な薬品が付着していたと判明。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
アンディとフリッツの試合は、コーチのスーザンが女子部の資金集めのために企画。まずビルの証言から、試合そのものを嫌がり、練習中からすでに荒れ、試合に負けた結果プロ入りを断念したフリッツに聞き込みが行われる。現在はテニスクラブでコーチをしているフリッツだが、アンディは自分より他の女子選手との確執のほうが大きかったと証言。しかも、女子部ナンバーワンの座をアンディに奪われたフリッツの元恋人、グレイスは化学を専攻しており、薬品を入手することができた。だが現在のグレイスは、事件当夜のアリバイを主張し、世間一般の男女格差に政治的に反対していたコーチ、スーザンがビルと対立していた事実を明かす。
現在のスーザンは体育部長に出世。彼女はビルとの対立は認めたが、当時の体育部長ブラウンを共通の敵とする味方同士だったという。女性を差別するブラウンはアンディに、わざと負けろと指示していた。だがブラウンは既に他界しており、リリーたちは当時大学新聞の記者だったエリックを訪ね、彼はブラウンのアリバイを証明。そして試合前夜のパーティでフリッツがアンディに接近し、グレイスが嫉妬していたこと、アンディにいたずら電話がかかっていたことを明かす。
グレイスは、タオルが自分のしわざだったことを認めるが、実は狙った相手はフリッツで、アンディが取り違えたという。そしてビルがアンディの寮に来ていたという。ビルはテニス以外の生活を楽しみたいというアンディに口論になっていた。
アンディを殺したのは一体誰なのか。そして、その理由とは……!?
【今回の“深読み”】
テニス界という異色の舞台、多彩な顔ぶれからなるミステリー、1970年代当時の男女差別という時代性、1970年代ロックの名曲の数々(2曲目のキャロル・キングとか)など、「コールドケース」らしい見どころ・聴きどころが揃った、楽しめるエピソード。
あえて1つに注目するなら、当時までテニス界にあった男女差別を取り上げたことだろう。直接的な言及はないが、今回のコーチのスーザンは、1960年代後半のウーマン・リブ(女性解放運動)の影響を強く受けたような女性像だ。被害者のスーザンは、当時女子選手たちを差別した男性の犠牲になったのか、それとも、彼女の魅力やテニスの才能を妬んだ同性に襲われたのか……という2つのミステリーを生んでいる。しかしスーザン自身は純粋に、強い選手になりたかっただけというのが同情を誘うと共にやり切れない。
ちなみに人気を呼んだ日本のテニス漫画「エースをねらえ!」の雑誌連載が始まったのも、この1973年であった。
さて、番組のファンにとっては、ヴェラの妻ジュリーの登場にもびっくり。いやー、ヴェラの家庭、こんなに大変なことになっていたとは。筆者も、カミさんにこんなこと言われたら大ショックだろうという台詞もあったし。男女差別が問題になった今回の事件と、ヴェラと妻のこじれた関係が少し重なるあたり、今回もシナリオがいいなぁと感心しつつ、それにしてもヴェラが心配だ!
【ビリー・ジーン・キング】
米国の女子プロテニス界で活躍するにとどまらず、女子テニスの社会的発展にも貢献した名選手。今回の舞台となった1973年、キング夫人(自分でそう名乗った)は男子テニス界の往年の名選手ボビー・リッグスは、母の日に“テニスの母”と呼ばれたコート夫人(今回のエピソードでもセリフに出ていた)を倒し、その勢いで男女同権運動の旗手だったキング夫人に対戦を申し込んだ。そして9月20日に、“男女対抗試合(Battle of the Sex)”が行われ、キング夫人は3セットのストレート勝ちを収め、女子も男子に勝てることを証明。この年、女子テニス協会を設立した。キング夫人は引退するまでに、テニスの4大大会女子シングルスで計12回優勝した。
【現在のエリック役のジェフ・ペリー】
海外ドラマ・ファンには「刑事ナッシュ・ブリッジス」のハーヴェイ・リーク刑事役でおなじみ。「グレイズ・アナトミー」ではメレディスの父親に扮し、「ER 緊急救命室」「ザ・ホワイトハウス」「CSI:科学捜査班」「LOST」「プリズン・ブレイク」などにもゲスト出演。今回エリックの声をアテた牛山茂は「ナッシュ」でハーヴェイの声もアテていたが、本作の吹替版の演出家、高橋剛は「ナッシュ」も演出しており、これはひょっとして嬉しいお遊び!?
2007.10.27|エピソードガイド|固定リンク|コメント(3)|トラックバック(0)
【STORY】1980年6月7日。ある家庭の微笑ましい光景。その日悲劇が起きるとは、よもや誰も思っていない。“もう(子供のあだ名のように)スティーヴィーって呼ばないでよ”と母親にぼやきながら、17歳の少年スティーヴは高校卒業を祝うプロム・パーティのための身支度に追われる。そんな独り息子を温かく見守る両親。だが外出した直後、スティーヴは何者かに拉致されて生き埋めにされ、若い命を落としてしまった。
そして現在--。雨の夜、1人残った殺人課から帰宅しようとしていたリリーは、中年男性の訪問を受ける。男性は、26年前に殺されたスティーヴを知っているかとリリーに尋ねるといきなり1本のシャベルを取り出し、自分がこれで彼を埋めたと明かす。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
男性が持ってきたシャベルには新しい土が付着しており、リリーは男性に、今まさにもう1度、誰かを埋めてきたのではないかと問い詰めだす。捜査資料によれば26年前、犯人は被害者に手紙を書かせ、それをスティーヴの両親に送り付けるという残忍な行動に出ていたが、男性はその内容を知っていた。さらに男性は、自分が“名無しのジョン”だとリリーに自己紹介すると、26年前の犯行を自白し始める。父親から借りたキャデラックが故障し、道に立ち往生していたスティーヴを助けたというジョンだが、今夜また1人の少年を生き埋めにしたと告白。少年を救うために残された時間は推定6時間。リリーら殺人課は、手分けして全力で捜査にあたる。
ジョンは意外にも、リリーが連続殺人鬼ジョージを射殺したことを憶えていると言い出す。またジョンは、スティーヴの両親に会いたいとスティルマンに要求。ジョンは大胆にも、両親の求めに応じたとはいえ、自分がスティーヴを殺した時の様子を詳細に語る。
やがてジョンの証言にあった“ロッカー”“排気口”という言葉を手がかりに、鉄道の駅が怪しい可能性が浮上。ヴァレンズとヴェラが駅に行くと、ロッカーの1つに1枚の遺書がしまってあった。それは今回の標的の少年、ジャスティンが書かされたものだった。
殺人課はついに、ジョンの元妻のもとにたどり着く。そこで意外な事実が判明するとジョンはヴァレンズに、“あいつらに永遠などないことを教えたかった”と語りだす……。
【今回の“深読み”】
過去の未解決事件の捜査を描く「コールドケース」だが、今回は珍しく、現在進行中の事件とその阻止も描き(ちょっと「クリミナル・マインド FBI行動分析課」や「FBI 失踪者を追え!」風?)、ダークだが迫力満点のエピソードに仕上がった。
犯人自身、ある背景があったとはいえ、けっして同情はできない今回の事件。“17歳”がオブセッション(強迫観念)になるという、かなり奇妙な事件だったといえよう。
「コールドケース」ならではの時代性も、今回は希薄なように見えるが、これこそ筆者の深読みなのだが、1980年の事件が起点だというのは、どうしてもAIDSを連想せざるをえなかった。このブログを読んでいる方は、どう捉えただろうか。
だがそれ以上に今回重要だったのは、物語がリリーの心の傷にも迫ったこと。ジョンからおもむろに、リリーが連続殺人鬼を射殺したこと(第2シーズン「森」)を知っていると指摘された彼女は、あの忌まわしい経験を思い出してか、一瞬険しい表情をする。
続けて“雨が嫌いだ”と明かすリリー。これこそ筆者の深読みなのだが、第1シーズンの第1話「テニス・ラケット」のクライマックスが激しい雨で彩られていたのが本当に偶然だったのかと、リリーが背負った計り知れない運命の重さに、しばし愕然となってしまった。だが、そんなリリーの“私は他の人みたいに見捨てたりしない”という言葉に一条の希望を感じたののもまた事実で、ますますリリーを応援したくなった次第である。
それと今回意表を突いたのは、事件当時の曲で終わるのが定番の「コールドケース」(今回なら1980年前後の曲がかかるのが本来のパターン)だが、オルタナティブ・バンド、ライフハウスが2002年に作ったという曲“You and Me”で終わったのはどうしてか。そんな事実に照らすと、ジョンの17歳を描く唐突な回想場面(と続く現在の扱い)が、いつもの「コールドケース」と一線を画すようなのも気になった。ストーリーだけでなくこれらパターンの破壊も、これまでの第3シーズンで、最も異色だったと思ったのは筆者だけ?
【名無しのジョン】
原語(2か国語の副音声)では“ジョン・ドー”と言っているが、米国で身元不明の人物をさすのによく使う言葉。これが女性だと、“ジェーン・ドー”となる。
【「アトミック」byブロンディ】
取調室でジョンが、スティーヴを殺した夜のことを思い出す場面で流れる2曲目。1970年代から1980年代前半にかけて“Heart of Glass”、“The Tide Is High”、“Call Me”(映画「アメリカン・ジゴロ」の挿入曲としてヒット。ちなみにこの映画のプロデューサーはジェリー・ブラッカイマー)などをヒットさせた米国のロック・バンドがブロンディ。この曲は、映画「トレインスポッティング」のサントラでは英国のバンド、スリーパーズがカバーしている。
【「テルマ&ルイーズ」】
アカデミー脚本賞に輝いた、1991年のアメリカ映画。今回いきなりオチをネタバレしたのはどうかと思うが(苦笑)、「エイリアン」「ブレードランナー」「グラディエーター」の巨匠リドリー・スコット監督の傑作。
2007.10.20|エピソードガイド|固定リンク|コメント(3)|トラックバック(0)
【STORY】1998年9月28日。コロンビア発の旅客機で1人の女性、アナが米国へ。空港の到着デッキでは1人の男性が待っていて、2人はキスし合う。その夜、アナは殺されて路上に放置される。腹部には大きくえぐったような痕が……。
そして現在--。8年前にアナを殺したと疑われてから行方不明だった麻薬ディーラー、ラミーロが逮捕される。8年前、ヴァレンズはラミーロをボスとする組織《コルテス》に潜入捜査していた。だがヴァレンズはなせか現在の同僚たちに潜入のことを伏せていた。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
アナが内臓をえぐり取られたのは、ヘロインを密輸しようと飲み込んだヘロイン入りの袋が胃の中で破裂し、残りのブツを回収するためだったのか。ラミーロはアナを殺していないと主張。アナを空港に迎えに行ったのはヴァレンズだったが、ラミーロはリリーに、ヴァレンズがアナを好きだったと語る。
ミラーは麻薬課時代の情報網を使い、ペラルタという神父がコロンビアからの不法移民を助けていると発見。彼の教会も、アナが殺された場所の真ん前にあった。神父は8年前の同じ頃、セシという女性を教会にかくまっていた。そんなセシは、アナがヘロインの袋を2袋くすね、これを交換条件にラミーロに取られたパスポートを取り返そうとしていたと証言する。だが再び聴取されたラミーロは、取引は成立せず、アナはペラルタ神父に連れられて帰ったという。そして神父は申し訳なさように、“これ以上味方できない”と、アナを教会から追い出したことを認めるが、アナは1人頼れそうな人物の電話番号を持っていると言っていたという。
その電話番号とは、ラミーロのもとで働く運転手のアルヴァロ、つまり潜入していたヴァレンズがアナに渡した、警察の番号だった。ヴァレンズはスティルマンやリリーに、アナに同情して潜入の掟を破ったと認める。
アナは警察に電話したのか、それとも……。アナを殺したのは何者か。そしてヴァレンズも事件に深く関わっているのか!?
【今回の“深読み”】
今回もやり切れなさに打ちのめされるが感動的なエピソード。同時にヴァレンズの知られざる過去も取り上げた、ファンには少しショッキングなストーリーだった。
高いリスクを背負ってまで(ヘロイン入りの袋が体内で破れればそれだけで命取り)、夢を持って米国に来たアナだが、本来なら彼女に一番共感できる、同じ様なヒドい目に遭った者によって裏切られていた……という結末は余りに苦く、そして重い。
同時にヴァレンズの苦悩にも思いはめぐる。ラミーロに“目が悪党だ”“毎日周りの人間をだます”と罵倒されたのも気の毒だが、真相が分かるまでは、自分がアナの死の原因になったのではないかと穏やかではいられなかっただろう。クリスティーナのことを思い出し、“すぐ親身になる”と自分を振り返り、“変わらなきゃ”と決意するヴァレンズ。だが、ヴェラの励ましのように、変わらないでほしいと思ったファンは筆者だけではないはず。今後のヴァレンズに注目したい。
そういえば、リリーの彼はどうなった!?
【コロンビア】
赤道に近い南米の国だが、多くの国民は貧しく、最も高価な農産物、麻薬で生計を立てている農家が多いという。1970年代以降、米国にも麻薬を密輸し、密売組織としては《メデシン・カルテル》が有名。今回の『コールドケース』の冒頭、アナが米国の入国審査で“麻薬を持っているか”と質問されたのは、彼女がメデシンから来たからだろう。コロンビア軍や米軍によって幾度も掃討作戦が行われた結果、カルテルは壊滅したといわれるが、それは表向きだけという説も強い。
麻薬入りの袋を飲み込んだ女性がコロンビアから米国に麻薬を密輸しようとするというストーリーは、映画『そして、ひと粒のひかり』(2004)でもリアルに描かれた。今回の『コールドケース』にも影響を与えたのでは? 同映画でヒロインを熱演したカタリーナ・サンディノ・モレノは、史上初めてコロンビア人としてアカデミー主演女優賞にノミネートされた。
2007.10.13|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(0)
【STORY】2000年1月6日。一軒家で3人の女性が集まり、そのうちの1人、ロウィーンの誕生日を祝う。ロウィーンは、宝くじに当って、豪華客船で世界中を旅したいという、つつましい夢を語る。だが直後、銀行で働くロウィーンは強盗の1人に射殺される。
そして現在--。ある銀行が3人組の強盗に襲われるが、犯人たちが揃って歌手ジョニー・キャッシュに似せたゴムマスクをかぶり、開店30分前の時間帯を狙うのは6年前、同じ銀行で窓口係をしていたロウィーンが射殺された強盗事件と同じだった。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
ロウィーンの元同僚ダーラは、今や出世して支店長に。事情聴取を受けたダーラは、かつてロウィーンの窓口に立った男が小指にドクロの指輪があったが、今回の強盗の1人も同じ指輪をしていたと証言。ジュリアスというその男は、ロウィーンの母メアリーや妹テリーによればロウィーンと交際していたという。ロウィーンはジュリアスと知り合った時、彼からデートに誘われたが、男性に慣れていないロウィーンは友人テリーを同席させていた。テリーはジュリアスの仲間、ハットも一緒にいたと供述。ハットも今回の強盗の1人で、ハットはジュリアスの兄だった。ハットはロウィーンが銀行強盗のことを事前に知っていたと供述する。
強盗仲間の3人目は、ジュリアスの友人フィルだと判明。フィルはジュリアスがロウィーンをだましていたといい、ロウィーンにそのことを警告したと主張する。そして実はダーラも6年前の強盗に関わったこと、ジュリアスと付き合っていたことを認めるが、彼に捨てられたと告白する。
はたしてロウィーンを撃ったのは誰か、2つの強盗事件を起こした主犯は……!?
【今回の“深読み”】
まだ5年前の回想シーンなのに、もっと昔を思わせるモノクロの映像というのがカッコよく、スタイリッシュなエピソード。
とはいえ、悪い男たちに純真な女性たちがだまされたというストーリー自体は新味はなく、小さな事件のようだが、あえてこれを題材にした理由は、リリーの今後の運命を変えそうな事態がこのエピソードで起きたことに関係しているのではないか。運命の皮肉を描くことが多いこのドラマらしいともいえる。
リリーは今回、19歳の時に駆け落ちした元夫レイと再会(偶然なのか、前エピソードでリリーは彼と撮った写真を見ていた)。当時はダメ男で、今もバイクに乗っているのは変わらないが、もう一人前の男になったというレイと一晩を共にしつつ、やはり別れようと彼に告げるが……!? 当分リリーのファンにはドキドキの展開が続くのか、気になる!
【原題の“Dog Day Afternoons”】
Dog Day Afternoonは猛暑の日の午後をさす英熟語だが、これを原題にしたのが1975年にアル・パチーノが主演した映画「狼たちの午後」で、3人組の銀行強盗が銀行を襲った実際の事件を映画化したもの。このエピソードで複数形にしているのは、過去と現在で似たような銀行強盗事件が2度起きたからか。
【ジョニー・キャッシュ】
カントリーとロックの歴史に数々の歴史を残した名歌手。2005年、伝記映画「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」で、歌手ジューン・カーターとの愛が再現され、ジョニーにホアキン・フェニックスが、ジューンにリース・ウィザースプーンが扮し、リースはアカデミー主演女優賞に輝いた。キャッシュは「コールドケース」のファンなら、第2シーズン第4話「ボス」の挿入歌がすべてキャッシュの曲だったことを思い出すはず。
【メアリー役のヴェロニカ・カートライト】
1979年の「エイリアン」など、SF・ファンタジー映画に多数出演している女優。出世作はTV「西部の男ダニエル・ブーン」。1978年の「SF/ボディ・スナッチャー」に出演し、2007年の再映画化版「インベージョン」にも出演し、TV「invasion インベイジョン」にも出演と、そっちの題材に縁が深い!?
2007.10. 6|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
【STORY】1968年12月14日。18歳の少女エマはその夜の舞踏会、社交界にデビューすることになっていた。そのことを母親リリアンは娘以上に喜ぶ。だが、女性たちが1人1人ステージに呼ばれても、エマは姿を現さなかった。その頃、エマは会場の階段で転落し、命を落としていた……。
そして現在--。画商のトラヴィスが、妻を自宅の階段から突き落として殺した容疑で逮捕されるが、トラヴィスは病気による発作が原因の事故死と主張。この事件を知った老いた女性リリアンが殺人課に来て、38年前に自分の娘エマは、その夜エスコートするはずだったトラヴィスに殺されたという。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
エマの家は貧しかったが、父親ティモシーがアポロ計画の宇宙飛行士に選ばれて注目され、母親リリアンの知り合い、アイリーンに誘われて社交界デビューが決まった。やはりデビューが決まっていたアイリーンの娘ランドンは、自分の恋人トラヴィスをエスコート役として貸すと申し出る。ランドンは父親同士の付き合いで、好きでもないチップにエスコートされることになっていたが、トラヴィスがエマのエスコートをすれば、舞踏会で彼と会えるからだ。
リリーは、100万ドルを払って保釈されたトラヴィスに聞き込むが、彼によればエマのおかげでデビューが取りやめになった、スローンという少女がエマを恨んでいたという。エマの代わりに、スローンのデビューが取りやめになったのだ。続いてヴェラとジェフリーズが現在のスローンと会うと、確かに当時は社交界入りが人生の目標だったが、その時点であきらめたと語り、それでもトラヴィスとエマが惹かれ合っているとランドンに密告していたことを明かす。一方、現在のランドンは、トラヴィスにエマを取られたくなかったため、トラヴィスがユダヤ系だとエマに教えたという。当時、ユダヤ系は社会的地位が低く、社交界から締め出されていた。
だがトラヴィスはエマが、自分がユダヤ系でも好きになってくれたといい、エマが、彼女の父親が入院して宇宙に行けないことを隠していたと供述。トラヴィスの妻の死因はやはり事故死だったと判明するが、それでもリリアンはトラヴィスがエマを殺したと考えを変えず……。
【今回の“深読み”】
エンディングの「ムーン・リヴァー」は甘いメロディだが、今回の「コールドケース」の真相もビターで、そのコントラストを狙った、シニカルな選曲ではないかと思った。
今回の題材は「社交界」。英語でいうとsocietyで、この単語には「社会」という意味もある。つまり、華やかな社交界も、一皮むけばドロドロした社会と変わらないということ。言い切ってしまうと、純粋なまま世を去ったエマ以外、社交界に固執した母親も、ユダヤ人を差別する連中も、彼らに従順になろうと卑屈になったトラヴィスも、みんなねじ曲がった心の持ち主だったように見える。象徴的なのは現在の場面、娘のデビューをうっとりと見つめるランドン。昔も今も社交界を肯定し続けている彼女のように、社交界は、そして社会は変わりにくいという、作り手たちのメッセージを感じたのは筆者だけか。
序盤、回想場面の中のTVにニクソン大統領が映るが、優秀な政治家であると共によくない噂も多かった彼を映したのは、そのメタファーだと筆者は受け取った。
刑事たちに目を向けると、ミラーの“水曜の夜の謎”が解決。ヴェラ(それにしても好奇心旺盛……)と同僚たちは、「ヴェロニカ」がミラーの幼い娘だとようやく気づくというオチだった。来週は、いよいよリリーのバイクに乗った元彼(?)が登場!?
【ザ・モンキーズの「Daydream Believer」】
2つめの回想シーンでかかる今回の2曲目。マイク・ネスミス、デイヴィー・ジョーンズ、ミッキー・ドレンツ、ピーター・トークの4人組からなるバンド、ザ・モンキーズは1966~70年に活動。当時は、作られたアイドルバンドのようにいわれたが、1980年、日本ではこの「Daydream Believer」がCMに使われ、リバイバル・ヒット。86年には本国アメリカでも再評価が盛り上がり、何回か再結成している。彼らが出演したTV「ザ・モンキーズ・ショー」も、主演映画「ザ・モンキーズ/恋の合言葉 HEAD!」(ジャック・ニコルソンとボブ・ラフェルソンが製作!)も今やカルトだ。
【ヘンリー・マンシーニと彼のオーケストラの「Moon River」】
映画「ティファニーで朝食を」(1961)の有名な主題曲。今回の犠牲者エマは“シンデレラ”になれなかった訳だが、映画界のシンデレラといえば、「ローマの休日」(1953)で一気にトップスターとなり、「ティファニー~」にも主演したオードリー・ヘプバーン。彼女は、花の売り子が社交界の花に成長する「マイ・フェア・レディ」(1964)にも主演。しかしシンデレラ物語は、現実では……というのが今回のエピソードだった。
2007.9.29|エピソードガイド|固定リンク|コメント(0)|トラックバック(0)
【STORY】1994年5月13日。グランジロックの人気バンド《ニルヴァーナ》のカリスマ的ヴォーカリスト、カート・コバーンが自殺してからほぼ1か月後、カートの信奉者である高校生トレヴァーが学校の屋上から転落死する。手には遺書のような走り書きが。事件は自殺として幕を下ろすかに見えた。
そして現在--。亡くなった用務員のアパートから走り書きの前半が新たに見つかり、トレヴァーの死が他殺だった可能性が浮上。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
転落死した日、トレヴァーはドーン、ボリス、ラクエルという同級生3人と校長から、居残りを命じられて自習していた。他の3人は“居残り終了の直前にトレヴァーが教室から出て行った”と供述していたが、教室を撮影した防犯ビデオの映像は4人が勉強を続けていたかのような偽造したニセ映像と判明。ボリスは自分が映像を捏造したと認める。
そしてラクエルがトレヴァーに片思いしていた事実も判明。そんなラクエルは、ドーンがトレヴァーと付き合っていたと語る。ドーンは当時、放課後に《ティーン・ホットライン》という電話カウンセリングのボランティアをしていて、そこでトレヴァーの電話を受けていた。そんなドーンは母親の再婚相手から性的虐待を受けていて、同情したトレヴァーは急速にドーンと親しくなっていった。
やがてトレヴァー、ボリス、ラクエルが、《自殺同盟》というつながりを築いていたことが判明。そしてトレヴァーはある恐ろしい計画を立てていたらしい。それはトレヴァーがドーンの母親の再婚相手を殺すというものだったが……。
【今回の“深読み”】
ロックの流れを変えたといわれ、1990年代を代表するバンドとなった《ニルヴァーナ》のボーカリスト、カート・コバーンの自殺を背景をしたのが今回の「コールドケース」。当時米国では彼の自殺にショックを受けて影響され、後追い自殺した若者が多かった。そんな時代的背景はぜひ知っておきたい。
落ちこぼれのように見えるトレヴァーたちだが、当時グランジにはまっていたファンは多く、どんな高校にも彼らのような生徒たちがいたにちがいない。
そして繊細な気持ちの持ち主だったため、カート・コバーン同様、自殺したかに見えたトレヴァーだが、実は……というのが、今回のストーリー。彼はむしろ反対に、自殺の虚しさを理解したのであり、そういった意味ではコバーンに救われたのだが、悲しい結末を迎えてしまった。
さて、このエピソード、クライマックスを彩ったスマパン(スマッシング・パンプキンズ)は確かに、《ニルヴァーナ》と同時代に大活躍。だが肝心の《ニルヴァーナ》の曲がかからなかったのはちょっと残念。
最後に刑事たちに注目すると、次第に殺人課の一員らしくなってきたミラーだが、机の上に残されていた伝言のメモから、同性愛疑惑が!? 気になる!
【カート・コバーン】
コバーンと発音するのは日本だけで、コベインと発音するのが正しい。人気バンド《ニルヴァーナ》は1991年にメジャー・レーベルからの初アルバム「ネヴァーマインド」を発表して大成功を収めた。しかしコベイン自身は、本来の自分とロックスターとしての人気の間に違和感を覚え、鬱病に苦しんだりドラッグに溺れた末、1994年4月5日、散弾銃で自分の頭を吹き飛ばして自殺。全米では彼を信奉するファンの後追い自殺が続いた。
【防犯ビデオ】
ビデオの映像をループさせて見る者をだますテクニックは、映画「スピード」でも使われていたワザ。しかし「スピード」が全米公開されたのは1994年6月なので、ボリスは一歩先がけた……というか、只の偶然!?
2007.9.22|エピソードガイド|固定リンク|コメント(2)|トラックバック(1)
【STORY】1980年6月6日。疾走するオープンカーに乗る4人の若者。今日は高校の同級生である彼ら、クレム、メイ、サリー、ピーティの卒業式の日で、4人は夢や友情や愛を語り合う。誰もが風を切って、輝く未来に向かっていると信じていた。そんな光景にブルース・スプリングスティーンの歌声が重なる。“あの日の約束を忘れずにいよう/引き下がるな/屈するな”--
それから8年後の1988年1月、フィラデルフィアに近いハイウェイで銃撃事件があり、クレムは即死し、一緒にいたメイも腕を負傷したが、警察の事情聴取の前に姿を消す。
そして現在--。ヴァレンズとヴェラはニュージャージー州アトランティック・シティのカジノで働いているメイを発見。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
高校を卒業した時、クレムとサリーは幸せな結婚をすること、メイはニューヨークに行って歌手になること、メイの元恋人ピーティは大学フットボールのスター選手になることが夢だった。だが、クレムとサリーは子供が出来たため予定より早く結婚し、生活苦に押しつぶされ、次第に愛が冷めていた。クレムはメイと再会するが、彼女は歌手になれず、借金に追われていた。ピーティはフットボール部で活躍できず、奨学金を打ち切られて大学を中退。ギャングのマックのもとで自動車泥棒など汚れた仕事をしていた。
メイが母親の葬儀で町に帰って来た時、クレムはメイに“町を出てやり直そう”と告げると、それまでピーティに断ってきた自動車泥棒を引き受けることにしたが……。
【今回の“深読み”】
全曲(9曲)、アメリカのロック史を代表する名アーティスト、ブルース・スプリングスティーンの曲(しかも発表された年代と物語の中の年もほぼ一致)という凝ったエピソードで、途中、台詞に出てきた“ボーン・トゥ・ラン(明日なき暴走)”もスプリングスティーンの曲で、同名のアルバムもある。
このエピソードの脚本も手がけた番組のクリエイター、メレディス・スティームによれば、スプリングスティーンの各ナンバーにあわせてシナリオを書き、曲の使用許諾を求める手紙をスプリングスティーン本人に送って実現したプロジェクトだとか。
タイトルの「8年」(いつものパターンだと“シヴォレー”という邦題もありだったと思うが……)が示す通り、1980年から8年の間に4人の若者に何が起きたかを振り返るという、このドラマとしても異色の構成だ(再捜査のきっかけが不明なのも珍しい)。
この時代は、1976年の建国200年を経てアメリカン・ドリームが見直された時期で、映画を例に出すと、1976年に「ロッキー」が、1977年に「サタデー・ナイト・フィーバー」が、1983年に「フラッシュダンス」がそれぞれヒットして若者たちに夢を与えた。しかし現実は厳しく、今回の4人のように挫折した者も多かったのだろう。スプリングスティーンもヒット曲“ボーン・イン・ザ・USA”が9・11以後、愛国主義的に扱われているが、実はベトナム戦争の帰還兵の苦悩を取り上げた歌だったりと、破れたアメリカン・ドリームを歌い上げる名手。スティームら製作陣にとって無くてはならなかった名曲の数々を集められた、会心のエピソードだろう。
レギュラー・キャラに目を向けると、何とスティルマンの別れた妻、リタが初登場。彼女が離婚後の彼女のパートナーと2~3か月前に別れたばかりと知ったスティルマンは、思い切ってリタを食事に誘ったが……!?
ラストのそれぞれも印象的だったが(ヴェラはダイエット中!?)、やはりリリー(直前の生花店の花もちゃんとリリー≒百合だった)が寝る前に見た写真の元カレが気になる!
【ブルース・スプリングスティーン】
ひとまず定番、ウィキペディアの紹介をご参考に。スプリングスティーンと「コールドケース」の共通項といえばフィラデルフィアもある。この町を舞台にした1994年の映画「フィラデルフィア」の主題歌「ストリート・オブ・フィラデルフィア」でスプリングスティーンはアカデミー歌曲賞に輝いた。余談だが、彼のバンド《Eストリートバンド》のギタリスト、スティーヴ・ヴァン・ザントは、TV「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」でシルヴィオ・ダンテを演じていた。
2007.9.15|エピソードガイド|固定リンク|コメント(0)|トラックバック(1)
【STORY】2001年12月1日。妻を1年前に亡くして以来、男手1つで16歳の息子トミーを育ててきたデリの経営者、フランク。彼が殺され、エルサルバドルからの不法移民であるデリの従業員、リカルドが逮捕された。
そして現在--。リリーとヴァレンズは、リカルドの弟パウロの訪問を受け、パウロは兄の無実を訴える。リカルドに有罪判決が下ったのは、デリのレジから消えた分と同額の現金を彼が持っていたからだが、彼からの手紙によれば“事件の2週間前、フランクの家が荒らされた”という。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
まず刑務所のリカルドに話を聞くと、事件の直前、フランクの愛犬は家で何者かに暴力を振るわれたという。そしてフランクの息子トミーは、犬を痛めつけたのが不良の友人、スタンプだったと明かす。スタンプは暴力沙汰が多い問題児で、本人も犬を襲ったことは認める。だが、フランクが殺された時は、トミーとパソコン教室にいたと主張。そして、リカルドがフェリックスという男に借金を返せず、フランクも脅されていたという。そしてフェリックスは借金は払われたといい、フランクがリカルドを解雇した場面を目撃したともいう。リカルドがフランクの家の鍵を持っていたため、犬を襲ったと疑われたのだ。しかし、再びリカルドに尋ねると解雇は翌日に取り消され、自分に鍵を渡したのはトミーではないかと語る。
再びトミー。彼はフランクは殺される直前、獣医の待合室で知り合った女性、アントニアとデートしていたが、アントニアの前夫はストーカーのような危険人物だったと証言。そして事件の“鍵”を握るアントニアは、フランクとのデートが失敗だったと明かし、さらに驚くべき事実を語りだす……。
【今回の“深読み”】
母を失った父子の絆を壊したのは、意外な人物だった……という、うーん、今回はちょっと救いのない話だったかも。しかし、さすが「コールドケース」というか、筆者は裏テーマがあると思った。今回の事件が起きた2001年12月は同年9月11日に起きた同時多発テロ事件の直後。その頃米国で外国人やマイノリティは偏見の目で見られ、肩身の狭い思いをさせられた。そういう言及はなかったかもしれないが、リカルドが誤認逮捕されたのは恐らく、彼が有色人種の不法移民だったからだ。そしてパウロもまた米国のビザが入手できなかったのがテロの影響だったと明かす。
そういう訳で、再び自由になったリカルドがフランクを見送るラスト・シーンは、今回のエピソードにぴったりだと筆者は思う。
さて、今回ファンにとって見ものだったのはリリーの同僚たちだろう。警察の前に置き去られた赤ちゃんを、何と自分で引き取ると決めたヴェラ(トミーに向かっての台詞、“男の価値は家族で決まる”も名言)、パウロに“あなたにも兄弟はいるだろう!?”と聞かれた時のヴァレンズの反応(はたして事実は!?)、そして麻薬課から殺人課にいよいよ転属してきた女性刑事キャット・ミラー。
そして次回も、何とリリーの過去の恋愛が分かるエピソード? 絶対に見逃せない。
【キャット・ミラー役のトレイシー・トムズ】
プロフィールはこちらをご参照を。「RENT/レント」「プラダを着た悪魔」に続く新作は公開中の話題作「デス・プルーフ in グラインドハウス」で、運転上手なスタントウーマンという、がらっと異なる役どころを熱演している。ちなみにこの映画には元「CSI:ニューヨーク」のヴァネッサ・フェルリトも出演している。
ちなみにキャット役の声優、小林さやかといえば、WOWOWが放送した「フェリシティの青春」のフェリシティ役でもおなじみ。
【ラストに流れるザ・コーリングの“Wherever You Will Go”】
ピックアップソングにもあった通り、映画「コヨーテ・アグリー」(これもジェリー・ブラッカイマーがプロデュース)でもかかったこの曲、映画「ラブ・アクチュアリー」やTV「ヤング・スーパーマン」でも流れ、聞いたことがあるという人は多いのでは?
2007.9. 8|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(1)
【STORY】1965年8月28日。夏のまぶしい太陽のもと、海水浴客でにぎわう海岸。若い母親シンディが娘のヴィヴィアンと遊んでいる。その幸せそうな光景を見つめる1人の男性。シンディは“帰りたくない”と駄々をこねるヴィヴィアンに目を閉じさせ、波の音が聞こえるかと優しくたずねる。“この海はずっとあるの。誰にも取られないのよ、いつまでも……”
そして現在--。川底から子供の白骨遺体が見つかる。遺体は40年前に亡くなったと思われる白人少女で、虐待を受けていた可能性が右腕の骨折の痕から浮かぶ。リリーたちはコールドケースの扉を開く。
当時、ある病院で4歳の白人少女が骨折の治療を受けており、担当医は虐待を見抜いたが、母親がやったと疑っていた。母親は病院でニセの名前と住所を使っていたが、服装からある食堂のウェイトレスと思われる。当時からその食堂で働く女性はそれが当時の同僚シンディで、彼女が夫や娘がいるのにどこかへ逃げようとしていたと振り返る。やがて遺骨から復元された少女の顔を見た女性、モーラが警察に名乗り出てくる。モーラは刑事たちに幼い頃の写真を見せると、復元された顔は自分だという。
実はモーラは4歳の時に養女に出され、それ以前の記憶は曖昧だが、ヴィヴィアンという空想上の友人の記憶があった。そして母親シンディから別れ際に受け取ったペンダントには、聖ミカエル像と番号が刻まれていた。聖ミカエルは警察官の守護聖人であり、番号は警察バッジのナンバーだ。
ペンダントをシンディに渡した元警官のアートは、モーラとヴィヴィアンが双子で、シンディの夫の虐待からシンディや双子を守れなかったと証言。アートはシンディにペンダントをお守りとして渡し、家庭内暴力の被害者の女性たちをかくまうシェルターの家を紹介していた。そして意外なことに、シンディの夫ロジャーとアートは同じ分署の警官だったと分かる。
モーラは40年前、夏の日に撮影された8ミリフィルムの映写を見て、自分たち姉妹や母親を海に連れて行ってくれたのがアートだったと思い出す。その頃アートは愛するようになったシンディにプロポーズし、ロジャーや今の生活を捨てて逃げようと提案していたが……!?
【今回の“深読み”】
今回の「コールドケース」も胸を締めつけるような、とても切ないエピソード。冒頭にかかる名曲“My Girl”が意味するのは、シンディにとってのヴィヴィアンやモーラ、モーラにとってのヴィヴィアン、アートにとってのシンディであると同時に、ロジャーにとってのシンディでもあるようで、なおさら哀しみは深い。モーラにヴィヴィアンを忘れさせようと“天使”の話を持ち出したシンディの心境は痛切だ。
しかしラスト、冒頭でシンディが言った“永遠の1日”に、母子3人は時を越えて帰ることが出来たとぜひ信じたい。シンディがヴィヴィアンに言った通り、その海はずっとあったのだ。
「コールドケース」らしく、時代性もテーマとして盛り込んだ。それは家庭内暴力(ドメスティック・バイオレンス)だ。アートは、当時の警察は家庭内暴力に対して対策がなかったと語る。そんな時代にシンディが感じていた恐怖は計り知れなかったであろうし、彼女が娘を捨てたと責めるのは筋違いではないか。そして彼女が逃げ込んだシェルターは40年後の今もまだ、DVの被害者たちの駆け込み寺になっている。
ちなみに6月29日のリリー・ラッシュ(キャスリン・モリス)来日記念イベントではこのエピソードが上映された。大画面と大音量で見たことも手伝って、思わず泣いてしまった来場者もいたのでは? 筆者もヤバかったです。
【過去のシンディ役のメレディス・モンロー】
回想シーンで母親シンディに扮したメレディス・モンローを見て、かつてWOWOWが放送した「ドーソンズ・クリーク」のアンディを思い出した人は多いだろう。筆者は00年春、ロケ地のウィルミントンで開かれた海外プレス向け記者会見で彼女を見ていて、そのキュートさが今も目に焼きついている……と思わずしみじみしたいところだが、IMDbを見たら当時はもう30歳を過ぎていた? 高校生役だったのに!?
【現在のモーラ役のミーガン・フォローズ】
1986年に始まり、TV作品だが日本では劇場公開された「赤毛のアン」シリーズでヒロインのアンを演じたミーガン・フォローズ。近年は2人の子供を育てながら、様々なドラマにゲスト出演している。でもよーく計算すると彼女は今回、実年齢より年上の役を演じたことに!?
【今回の監督のロクサン・ドーソン】
米国で様々な番組に出演している女優だが、海外ドラマ・ファンにとっては何より「スタートレック/ヴォイジャー」全話に登場した主任機関士、ベラナ・トレス役で知られる。「ヴォイジャー」でも計2エピソード監督した彼女は以後、女優兼監督として活躍。「コールドケース」は今回初監督だが、第4シーズンまでにあと2エピソード演出している。
2007.9. 1|エピソードガイド|固定リンク|コメント(4)|トラックバック(0)
【STORY】1972年8月16日、ベトナムから海軍パイロットのカール・バートンが愛する妻ジャネットや初めて会う息子ネッドのもとに帰還し、周囲はそれを祝う。だが1973年4月、カールは何者かに射殺されてしまった。
そして現在--。麻薬中毒者のたまり場を捜査した麻薬課の女性刑事キャット・ミラーは殺人課を呼び、押収したブツを見せる。それは木箱に入った銀のブレスレットで、ベトナム戦争時代に戦争捕虜の復帰を祈って周囲がつけたもので、「カール・バートン」の名前が刻まれていた。スティルマンは「ガイシャは戦争捕虜だ。簡単にあきらめるな」とゲキを飛ばし、リリーは事件の扉を開く。
リリーはまず、カールの妻ジャネットのもとへ。5年間の捕虜生活の末に帰国したカールは手足が不自由になっていて、勇敢だったかつてのカールから性格も変わっていたと語る。努力はしたが、夫婦の溝が埋まることはなかったとも……。しかし今や研究医となったカールの息子ネッドは父の出征中、ジャネットには付き合っていた相手がいたという。ジャネットの不倫相手ケンを問い詰めると、彼はジャネットから別れ話を切り出された腹いせにブレスレットを盗んだと告白。しかし犯行は否定し、カールが勤め先で若者と口論していたことを明かす。
若者とは、カールと同じ捕虜収容所にいたレックスの息子、ダニエルだった。ダニエルは当時。まだ帰還していない父について何か知らないかとカールに食い下がったが、収容所でのことを忘れたいカールはダニエルを突き放し、カールは“お父さんと異なり、自分は臆病者だ”とだけ語ったという。さらにリリーたちが調べると73年3月、ロジャーという兵士をはじめ大勢の捕虜が帰還していたことが分かる。ロジャーはスティルマンの戦友でもあった。ロジャーはカールだけ早く釈放されたのは、彼が敵側の南ベトナム解放軍に協力したためだと明かす。カールは他の捕虜たちから裏切り者として見られ、レックスの妻からも罵られていたと証言する。カールがレックスの追悼の集いの数時間後に死んでいたことから、ロジャーはカールが自殺していたのではないかと意見をいう。
そして重大な事実が明らかに。ネッドによれば当時、ケンはカールになりすまし、戦場での冒険談まで語っていたという。スティルマンがケンを問い詰めると……!?
【今回の“深読み”】
この半世紀でアメリカ史上最大の事件は、やはりベトナム戦争ではないか。アメリカ人だけで約58,000人の尊い命が失われ、ベトナム人も南北あわせて100万以上亡くなったといわれるベトナム戦争だが、過去の事件を取り上げる「コールドケース」としても避けて通れなかったのだろう、今回初めてベトナム戦争が題材になった。
カールがしたことは正しかったのか、それとも……という問いに、貴方ならどう答えるか。愚かだと分かっていてもそんな戦争に巻き込まれた国の兵士がどうすべきかについてまで色々と考えさせられることが多い、思慮に富んだエピソードだった。
そして、これまでの「コールドケース」第3シーズンが面白いのは、おなじみとなった各刑事たちの過去に絡んだ事件が多いこと。今回は、スティルマンが事実上の主役だ。自分も戦争から帰還した1人であると明かしたスティルマン。クライマックスでケンに投げかけた表情は、今まで見せなかったもの。これからスティルマンが今までに以上に魅力的に見えてくる、味のある表情だった。
また、ある登場人物の「こんなつもりじゃなかった」という台詞は、戦争に巻き込まれた人々すべてに当てはまる台詞ではないか。過去に起きた事件を取り上げつつ、誰が巻き込まれてもおかしくなかったという視点で描くのは、「コールドケース」ならではだ。
【ベトナム戦争】
ベトナム戦争を取り上げた映画は、筆者としては「ディア・ハンター」「帰郷」「プラトーン」「ハンバーガー・ヒル」がお薦め。リアリティの点はよく分からないが、熱くなれる映画としては「ワイルド・ブリット」も見ておきたい。「地獄の黙示録」「フルメタル・ジャケット」は確かに優れた映画かもしれないが、ベトナム戦争映画という括りで扱えないアートだと思うのであえて外したい。
2007.8.25|エピソードガイド|固定リンク|コメント(5)|トラックバック(0)
【STORY】1998年12月6日、IT企業のライオンスタッフ社は株式を上場して前途洋々だった。そして現在、小学校に寄付された中古のPCから、殺人予告の文書が見つかったと殺人課に通報が。毒殺を予告する文書の中の人名、エイミー・リンドは、PCを使っていたライオンスタッフの創業者で、1998年、文書の日付の2日後に死亡していた。当時は心不全による自然死として処理されたが、文章中の謎めいた言葉「ガスティ」を手がかりに、リリーはエイミー怪死事件の扉を開く。
ライオンスタッフは、インターネットを使った新手の医療情報サービス。幼い弟を急病で失った経験からエイミーが思いついた。ビジネススクールで出会ったエイミーと学友スコットが、資産家コールマンの援助を得て会社を立ち上げた。現在のスコットは、当時経営参加をエイミーに断られた、システムを開発したインド人マルヴィンダーが彼女を恨んでいたと語る。マルヴィンダーはヒンディ語で娼婦を意味する「ガスティ」を口走っていた。だがマルヴィンダーは、スコットとエイミーこそ仲が順調でなかったと反論する。
一方、解剖の結果、エイミーの遺体から多量の塩化カリウムが検出される。塩化カリウムの過剰摂取は心不全の原因となる。摂取されたのが早朝だったことから、リリーたちはエイミーと同居していた化学教師の姉アローラも調べるが、彼女は関与を否定する。
さて、以前は業績順調だったライオンスタッフは、スーパーボウルのTV中継にCMを出すといったスコットの浪費癖もあって経営が悪化していた。スコットは、自分とエイミーが出資者コールマンになじられていたことを認める。コールマンの妻もかつて心不全で死に、腎臓疾患を持つコールマンは塩化カリウムを処方されていた。またリリーは、コールマンの秘書のジェラルディンがエイミーに敵意を持っていたと気づく。
犯人は、アローラか、スコットか、コールマンか、ジェラルディンか、マルヴィンダーか、それとも……!?
一方、川で男が若い女性を突き落とす事件が発生。犯行現場がヴァレンズの恋人、エリッサの遺体が見つかった場所に近かったことから、ヴァレンズは男がエリッサも殺していたのではないかと疑う。
【今回の“深読み”】
日本列島が記録的猛暑に襲われている2007年夏。8月17日、東京株式市場で日経平均株価は、ITバブルが崩壊したといわれる2000年4月17日以来、最大の下げ幅を記録した。
今回の事件は米国でITバブルが頂点に達した1999年(そうえいばY2K問題というのもあった)、NASDAQの平均株価が頂点に達する2000年の前年末に起きているが、経済の混乱はいつまた起きてもおかしくない上、カネは人を変えるという作り手たちからの警告を思わせるエピソードだ。
とはいえ、当番組のファンには、やはりヴァレンズの苦悩が胸に迫る。第1シーズンでエリッサを失い、第2シーズンでクリスティーナに去られ、第3シーズンではサットンとすれ違ったまま……。リリーは第6話で元気を取り戻したようだが、今回スティルマンから「いつまでも苦しむことはない」と助言されたヴァレンズ、その復活を祈りたい。
【スーパーボウルのCM】
全米プロアメフト界の王者を決めるスーパーボウルのTV中継は、米国で一年間で最も視聴率が高い、まるで「紅白歌合戦」のようなもの。スコットはスーパーボウル中継に自社のCMを出したが、当時は30秒のCMを流す料金が200万ドル以上、日本円で2億何千万円以上もしたという(2007年は260万ドル)。それでも1999年は計19社のIT企業が広告を出し、“ドットコム・ボウル”と呼ばれたほどだった。
【「愛と哀しみの果て」】
1985年の米映画でアカデミー賞で作品賞など7部門を受賞したが、ここで語られているのはアイザック・ディネーセンによる原作小説(「アフリカの日々」「アフリカ農場」といった邦題あり)のほう。アフリカのケニアに渡ったデンマーク人女性カレンの波乱にみちた人生を描いたもの。マルヴィンダーはエイミーの生き方がカレンのようだと語った。
2007.8.18|エピソードガイド|固定リンク|コメント(4)|トラックバック(1)
【STORY】1999年11月25日、アフリカ系女性のメイーヴ・バブリーは、幼い5人の息子たちと感謝祭の夜を祝う。
だが、同年から2年おきに息子たちは1人ずつ殺され、現在、ギャング同士の抗争で4男ルーサーが殺される。リリーは現場にいたメイーヴに心覚えが。1999年に長男ヴォーンが殺された事件は、リリーが殺人課に来て最初の事件だった。メイーヴによれば兄弟で生き残ったのは、15歳である5男のパトリックだけ。リリーは4つの事件の扉を開く。
4つの事件共に、バブリー兄弟と敵対してきたギャング団のリーダー、ミゲールが黒幕である可能性が高い。銃撃戦でルーサーに撃たれたミゲールの手下、カルロスをヴァレンズは激しく尋問すると(サットンが個人的に休暇を取ったのも苛立ちの理由?)、現場には直前までパトリックもいて、ルーサーは「ウェッブ・Dのお返しだ」と叫んだという。
1999年を思い出すリリー。リリーは泣き崩れるパトリックを抱きしめたことを憶えていたが、現在のメイーヴは、リリーは「あれから何もしてくれなかった」と彼女を罵る。
当時のリリーの相棒、ファルクラムは人権に配慮しない刑事だったが、自分も彼と同じだったのではないかと自問自答するリリー。
一方、ヴェラはヴァレンズから、サットンが不倫していたのではないと初めて聞かされて、やや驚く……。
やがて捜査陣は、3男のクインシーが麻薬を売っていたのは家計を助けるため、そしてメイーヴがここ何年ずっと麻薬中毒で、ミゲールから麻薬を手に入れたこと、2男セドリックも殺される直前、「ウェッブ・Dのお返しだ」と叫んでいたなどの事実を突き止める。
ウェッブ・Dとは何か。パトリックも兄たちと同じような運命をたどるのか……!?
【今回の“深読み”】
2年おきに同じ家族の兄弟が1人ずつ殺されていたという、かなり救いのない事件が今回の題材。しかし、ラストでは2人の魂が救われる。パトリック、そしてリリーだ。
前シーズンの最後、凶悪犯ジョージによって幼少時の暗い過去を思い出さされたリリーは、生きる意味を見失ったようになってしまった。第3シーズンに入ってからも、事件はどれも解決したとはいえ、仕事への情熱が薄れたかのように見えた。
しかし、刑事生活最初の事件を再捜査することでリリーは、刑事としての自分の原点を振り返る。自分も当時の相棒、ファルクラムのような刑事になっていいのか。そんな疑問がリリーの胸中をよぎったに違いない。
同時に、落ちぶれた母親メイーヴに自分のダメな母親が重なったのだろう。尋問でメイーヴを激しく責めるリリーは、母親に反抗する娘のように人間的で直情的だ。
6年前と同じようにパトリックを抱きしめるリリー。だが彼女が本当に抱きしめたかったのは、幼かった日の自分であり、刑事になったばかりでまだ右も左も分からない、6年前の自分だったのではないだろうか。
ちなみに、来日したキャスリン・モリスは「このエピソードでは6年前っぽくメイクして、6年前のリリーっぽく演じて楽しかった。内容も、このシーズンでは個人的にベストのエピソード」と語っていた。
【原題の“Saving Patrick Bubley”】
映画「プライベート・ライアン」(1998)の原題“Saving Private Ryan”に引っかけたのは明らか。第二次世界大戦中、4人兄弟の3人が戦争で亡くなり、軍の上層部は彼らの母親のため、たった1人生き残ったライアンを殺してはならないと、ミラーら8人に戦場でライアンを探させるという。今回の「コールドケース」とちょっと似ているようで、しかし、全体的にはまったく異なっている。
【アレン・アイヴァーソンとブランディー】
アイヴァーソンは1996年から全米プロ・バスケのデンバー・ナゲッツで活躍している人気選手。彼も貧しい家庭出身だ。
ブランディーは、人気の女性歌手。髪の編みこみが女の子っぽいと言われたルーサーは、自分が男っぽいアンバーソンに似ていると反論するが、家族から(女性の)ブランディーに似ていると返されるという、ほのぼのとしたやり取り。
【W・E・B・デュボイス】
実在した米国の社会学者・歴史学者。アフリカ系米国人の人権運動の指導者でもある(1868-1963)。本当の父親をあまり知らず、母親に育てられたのは今回のバブリー兄弟と同じ。アフリカ系として初めてハーバード大学で博士号を取得し、アフリカ系の人権を主張し、名著「黒人のたましい」では魂をもつ人間としてのアフリカ系米国人を宣言。米国の現代史に多大な影響を与えた偉人である。
2007.8.11|エピソードガイド|固定リンク|コメント(4)|トラックバック(0)
【STORY】1954年6月24日。オーティス少年の母親は息子のためにケーキを作ったが、母親はケーキにつけた火がテーブルに移って広がるのを嬉しそうに眺める。母親は躁(そう)状態のようだ。
そして現在--。フィッシュタウンで一人暮らしの女性ベティ・ペトロフスキーが老衰で亡くなるが、息子オーティスは遺体が母親のものでないと言い出す。女性はベティの社会保障番号を使う別の女性だった。ベティは双極性障害、いわゆる躁鬱(そううつ)病で、1954年に家で火事に起こして以来、夫に施設に入れられてからオーティスはほとんど会っていなかった。オーティスは過去の資料から、1954年冬に公園で見つかった身元不明の遺体がベティであることを発見。ベティはどうして亡くなったのか。そしていま見つかった女性は誰か。リリーは2つの事件の扉を開く。
ベティと最後に会った看護師長オルセンは、ベティと同じ施設にいた女性患者ゼルダがベティを脅していたと証言するが、ベティと同じ日に退院したゼルダはベティと和解していたと主張。そして看護助手のアフリカ系男性アントンがベティに好意を持っていたと証言する。現在のアントンは当時、ベティに優しくしていたのをベティの夫テレンスに見られ、テレンスを怒らせていたことを認める。
だがオーティスは父親の心はベティから離れだしていて、父親が嫉妬からベティを殺したとは考えられないという。また、最後の見舞いに行った時、ベティが「罰を受ける」と言っていたのを思い出す。ゼルダによればベティは、絵を描くのが得意な患者カルメンを講師に美術教室を企画したが、アントンのヌードを描こうとしたのをオルセンに見つかり、病院側はカルメンにロボトミー手術をすると決めた。
オルセンは、手術を嫌がったカルメンに代わって、自分が手術を受けると志願。症状が軽くなれば息子に会えると考えたのだ。アントンは重い口を開き、ベティが手術を受けた直後のことを語りだす……。
一方、ヴァレンズは同僚サットンが前の職場で起こしたという事件の真相を彼女の夫、ギル・シャーマンから聞く。サットンは上司のホワイト巡査部長と不倫になったわけではなく、ホワイトからストーカー行為の被害に遭っていたらしく……!?
【今回の“深読み”】
リリーが長い髪を下ろしてぐっと女性らしくなった本作。
今回のモチーフは“病気”。医療が未発達の時代に起きた悲劇に着目したが、それを愛のドラマに高めたのがこのドラマらしく感動的だ。
1つの愛は、アフリカ系のアントンからベティによるもの。施設の外でアフリカ系は白人に差別されたが、施設の中はちがっていたという彼の台詞が印象的だ。
クライマックス、事件簿の名前が“JANE DOE”から“ベティ・ペトロフスキー”に直されるが、JANE DOEとは米国で身元不明の女性をさす名前(男性の場合はJON DOE)。半世紀前に別れた母親の愛を知るオーティスの気持ちも見ものだろう。
一方、ヴァレンズはサットンを気にかけるが(やっぱり彼女に好意があった!?)、サットンは彼を受け入れられない様子。元上司にストーカーされていた彼女、まだ心の傷を癒しきれていないのかもしれない。
さて、いよいよ次回の第6話「キックボード」は、キャスリン・モリスにとって第3シーズンのベスト・エピソード。お見逃しなく。そういえば来日したキャスリン、WOWOWのカメラに「オミノガシナク(お見逃しなく)」とコメントする際になかなか発音できず、だが言えるまで10回前後もテイクを繰り返し、女優根性(!?)を見せていた。
【社会保障番号】
合衆国の社会保障局が全国民や同国での労働が許可された外国人に交付する、税務に関する個人識別番号。年金の受給をはじめ、就職、銀行口座の開設、自動車の運転免許の取得、住宅やアパートを借りるのに必要で、これがないと米国で生活ができないといわれる。
【ロボトミー手術】
脳の前頭葉に外科的手術を施すことで、精神症状の改善を期待する精神外科(現在の脳神経外科学)の治療方法。一時期は世界各国で盛んになり、日本でも行われていたという。しかし致死率が高いなど副作用が重大で、抗精神病薬の出現後ほとんど使われなくなり、現在米国では禁止されている。
2007.8. 4|エピソードガイド|固定リンク|コメント(3)|トラックバック(0)
【STORY】1945年8月12日。野球の黒人リーグ対メジャー・リーグの親善試合の後、黒人リーグに旋風を巻き起こした伝説的選手クライド・テイラーが球場で何者かに撲殺され、事件は迷宮入りする。
そして現在--。ジェフリーズの妹の11歳の息子、レナードは野球好きでテイラーに憧れていたが、殺されたのが(白人の)ベイブ・ルースだったとしても警察は捜査を打ち切ったのかというレナードの素朴な疑問から、スティルマンは事件の再捜査を決心。事件前の試合に負けたメジャー・リーグの投手、タイラ・ケイジが捜査線上に浮かび上がる。まだ人種差別が残った時代、当たり前のように黒人を差別していたケイジは試合中クライドに暴言を吐いたが、3対3で迎えた9回裏、クライドにサヨナラ場外ホームランを打たれて選手生命を絶たれていた。リリーはクライドの命が奪われた事件の扉を開く。
リリーはクライドの親友で黒人チームの世話係だった白人のジョー“クラムズ”クランブリーから話を聞くことに。クランブリーは、ケイジの幼い息子トロイもクライドに失礼な態度を取ったことをいまだに許せなかった。続いてトロイを事情聴取すると、球場でバット・ボーイをしていたトロイは、クライドのせいで先発を外されたムーディがクライドを脅していたと明かす。しかしムーディは、球団のオーナーこそクライドを脅していたと証言。リリーらの追及に対しオーナーのダンドリッジはアリバイを主張した上、クライドの当時の恋人、別名“レッグス”が白人で、エディというマフィアの情婦だったと語る。
レッグスことエスターはエディのアリバイを証言すると共に、“(事件当日の)試合後すぐに球場を離れた“というトロイの父親ケイジのアリバイを否定する。だがトロイを尋問すると、ケイジがクライドと和解していたことと、もう1つ驚くべき事実が分かる……。
【今回の“深読み”】
米国の現代史を振り返り、時に差別などのタブーに迫る「コールドケース」。臭い物にフタをしない的勇敢さが筆者は好きだ。今回はメジャー・リーグに黒人がいなかった時代の事件。黒人リーグが何かは後述するとして、60年前までは肌の色がちがうという理由だけで、アフリカ系選手はメジャー・リーグに入れなかった。ジェフリーズは、当時のアフリカ系は「球場でシャワーも使わせてもらえなかった」といい、「アメリカを代表するスポーツで黒人が白人と同じ位活躍すれば、俺と同じ肌の子供が普通の肌になりたいと祈ることもなくなる」とクライドが決意するほど、アフリカ系は差別されていた。そう考えると犯人の動機はやるせなさを増すもので、当番組らしく考えさせられるストーリーだ。また、クライマックスで過去と現在がクロスオーバーする趣向は当番組の名物だが、今回はセピア色の回想場面とカラーの現在の場面を組み合わせる凝りようだった。
ファンに微笑ましかったのは、ジェフリーズとスティルマンが仲よく少年野球を見ていたオープニングの場面(笑)。もっとも、前回に引き続いてリリーの活躍が少なく、ファンとしてちょっと寂しかったかも。しかし次の次のエピソードである第6話「キックボード」は、来日したキャスリン・モリスも第3シーズンのベスト・エピソードだといい、リリーの復活が描かれる。必見だ。
【黒人リーグ】
米国のプロ野球、メジャー・リーグ(大リーグ)は19世紀から歴史があるが、アフリカ系米国人が選手になるには1947年、ジャッキー・ロビンソンのドジャース入団を待たねばならなかった。というか、有色人種すべてが入団を許されていなかった(今回のエピソードの原題が“Colors”なのもそのためか)。そこで1920年、黒人リーグが発足し、後にメジャーに移籍するハンク・アーロンら名選手が続出したという。そしてロビンソン以後、皮肉にもメジャーはアフリカ系選手を次々とスカウト。黒人リーグは1960年に消えた。
また、1943年から1954年には女性選手だけからなる女性リーグもあったが、それは映画「プリティ・リーグ」で詳しく描かれている。この「プリティ・リーグ」の脚本家コンビ、ローウェル・ガンツとババルー・マンデルが脚本を手がけた映画「2番目のキス」は9月にWOWOWで放送されるが、笑いと涙に実際の奇跡が加わった大リーグ映画の佳作なのでお薦めしたい。
【ヒストリー・チャンネル】
全米のケーブルTVで見られる歴史番組専門チャンネル(日本にもある)。米国で暮らしている人と話すと、「ヒストリー・チャンネルでこんなのを見た」「この間はディスカバリー・チャンネルを見た」とよく聞くほど、ドキュメンタリー系のチャンネルは結構人気がある。真実のドラマが知られているから、作り物のTVドラマも手を抜けないのだ。
【ジンジャー・ロジャース】
1911年生まれのハリウッド女優。特に「空中レヴュー時代」「トップ・ハット」などフレッド・アステアと共演したミュージカル映画で人気を博した。コンスタントに年2・3本は出演した、この時代を代表する女優の1人。
2007.7.28|エピソードガイド|固定リンク|コメント(1)|トラックバック(0)
【STORY】1978年10月29日。ホラー映画「ハロウィン」(後述)を上映中の映画館の前で、若者アンガスの遺体が見つかる。同じ頃、「ハロウィン」に出てくる殺人鬼ブギーマンの模倣犯(コピーキャット)、エディ・フォスターのしわざとされたが、フォスターは逮捕後に自殺してしまっていた。
そして現在--。アンガスの母エレナ(TV「ダーマ&グレッグ」でダーマの母親アビーを演じていたミミ・ケネディ)が殺人課へ。引っ越しのために息子の遺品を整理していたら、アンガスの友人ヴィッキーからの手紙が見つかり、アンガスが事件の前夜にヴィッキーにプロポーズしていたことが分かる。ヴィッキーはその半年前、アンガスが運転する車に乗っていた時に事故に遭い、下半身不随となり、以来、アンガスは友人たちに責められていた。エレナはプロポーズのことを知った誰かが息子を殺したと推理し、リリーはアンガスの命が奪われた事件の扉を開く。
まずは現在のヴィッキーを訪ねると、彼女はアンガスを恨んでいないという。スピードを出すようアンガスをけしかけたのは彼女で、ボーイフレンドのクレイグを嫉妬させるためだった。続いて現在のクレイグは、事故後はヴィッキーと心が離れ、ヴィッキーが事故で救助に当たった消防士のイアンと結婚していたと明かす。また、エレナは当時、アンガスが車に欠陥がなかったか疑っていたこと、その後は消防士をめざすつもりか、消防関係の本を読んでいたと語る。
リリーたちがイアンに疑念を向けた時、ヴィッキーが父親アレックスのクローゼットから見つけた、「ハロウィン」のブギーマンと同じ肉切りナイフの存在が明らかに……。だがナイフは、ヴィッキーの弟デヴォンのものだった。一方、アンガスの遺品からヘラジカの革が検出される。オートバイのグローブによく使われる素材だが、事件当時クレイグはバイクを乗り回していた。
犯人はいったい誰なのか……!?
【今回の“深読み”】
“あの時、ああしておけば……”と後悔することは誰にでもあるが、そんなやり場のない怒りを描き、最後はエアロスミスのハードなバラード“Dream On”で幕を下ろす、ちょっと個性的なエピソード。
今回はリリー以上に、ジェフリーズをクローズアップしたエピソード(来日したキャスリン・モリスも「第2シーズンの最後に受けたショックの影響で、第3シーズンの最初のリリーはあまり仕事に積極的でない」と語っていた)。
サットン(なかなかチームに溶け込めない……かと思ったらようやく!?)とジェフリーズが揉めた直後、10年前にジェフリーズの妻メアリーがトラックにひき逃げされ、命を落としていた事実が今回初めて明らかに。
温厚なジェフリーズがこれまでになくエキサイトして、彼がいかに妻を深く愛していたかが分かる。
それにしても、ひき逃げということは、これも“コールドケース”? メアリーはフェイド・アウトしなかったし!? 今後リリー&ジェフリーズが再捜査しないか、気になる!
【ホラー映画「ハロウィン」】
1978年に発表され、ホラー映画史に輝く金字塔となった、ジョン・カーペンター監督(脚本=共作、や音楽も担当)による傑作。肉切りナイフを持った連続殺人鬼、ブギーマンによる凶行の数々を、恐怖がじわじわと迫ってくる演出で描ききった。このエピソードの冒頭で見られるのは本当に映画の一部だ。
製作費たった32万5000ドルながら、米国だけで4700万ドルの興行収入(100倍以上というのは当時の記録)を稼ぐ大ヒット。全米ではこのエピソードの事件の直前、10月25日に公開された。
ちなみに映画館の場面で飾ってあったポスターの各映画はIMDbで検索をかけても1本も引っかからないので、どれも番組スタッフのオリジナルかも。
【MUSIC・1】
前半、ヴィッキーの病室をクレイグたちが見舞った場面のBGMは、同じ1978年に発表されたプレイヤー(Player)の、全米No.1になった名曲“Baby Come Back”。当時流行したAORシーンを飾ったバンドの1つだが、このデビュー曲が最大のヒット曲だったという声も。“ベイビー、帰ってきて”というストレートなサビが色々な登場人物の思いと重なる。
【MUSIC・2】
ラストに流れる“Dream On”を歌うエアロスミスといえば、当番組を製作総指揮するジェリー・ブラッカイマーの大ヒット映画「アルマゲドン」の主題歌“I Don't Want To Miss A Thing”も大ヒット。この番組で彼らの曲が使われたのは3曲目だ。
2007.7.21|エピソードガイド|固定リンク|コメント(3)|トラックバック(0)
【STORY】2004年10月23日(警官がタイプで打った調書が24日になっているのは現場検証が翌日未明だったからか。凝っている!)。自分が肥満体型であるのを気にする18歳の女子大生ローリー・ダンは、伝統あるフラタニティ(後述)である《ガンマ・ロー・ハウス》のパーティに呼ばれたことを父親マルコムと喜ぶが、その夜、フラタニティの建物では火事が発生し、煙を吸って命を落としたローリーは事故死扱いされる。
そして現在--。ローリーがまだ子供の頃に妻(ローリーの母親)を亡くして以来、独り娘のローリーを心から愛していたマルコムは、娘のパソコンから驚くべき画像を見つける。それはローリーが男たちに押さえつけられて酒を飲まされているもので、火事の夜、ローリーの携帯から発信されていた。マルコムは市警殺人課を訪れて再捜査を依頼し、リリーはローリーの命が奪われた事件の扉を開く。
リリーたちは大学で聞き込みを開始するが、ヴェラはサットンをまだ同僚として受け入れられない様子。それはさておき、ローリーが、2人共よくいじめの対象になった幼なじみの少年ダークと励ましあっていたこと、そんなダークがローリーと同じペンシルヴァニア州立大に入学後、《ガンマ・ロー・ハウス》に入ってローリーと距離を置いていたこと、ローリーが外国映画クラブで同じような肥満体型の女学生、ディアドラと仲良くしていたのが明らかに。パーティにローリーと連れ立って出かけたディアドラによればその夜パーティでは、ローリーとディアドラを含む肥満の女学生たちが、男子学生たちによって体型を徹底的にからかわれたという。そして女学生たちはパーティを後にしたが、なぜかローリーはそこに残った。これらの場面、生意気な態度を取る《ガンマ・ロー・ハウス》の上級生マニーをたしなめる、ヴァレンズとヴェラの振る舞いが痛快だ。
やがて、パーティに《ガンマ・ロー・ハウス》のOBが混じっていたと判明。市会議員のエイヴリーだ。スティルマンはエイヴリーを尋問するが(ここで「あんたは新聞の1面に」というスティルマンがカッコいい!)、エイヴリーは煙草の不始末とされた火事の本当の火元を知っていた。リリーたちの捜査は急展開していく……。
このエピソード、前シーズンでリリーの妹クリスティーナと付き合ったヴァレンズが、仕事とプライベートの間に線引きが出来なかったことを後悔しているとサットンに明かす場面も気になるシーン。ヴァレンズとサットンの今後の関係は……!?
【今回の“深読み”】
「コールドケース」に多く、感動的なのは、米国社会で過去に存在した様々な差別を振り返り、それを告発するエピソード。これまでも同性愛差別、人種差別などが取り上げられてきたが、今回はずばり“いじめ”がテーマ。しかも国を支えるエリートを生むはずの大学のフラタニティ(別項)が事件の舞台だ。古い事件が多い「コールドケース」だが、今回たった1年前の事件をあえて取り上げたことに、社会から“いじめ”が無くならない現実を嘆く、作り手たちの批判精神を強く感じる。一部の米軍兵が、アブグレイブ刑務所でイラク人に拷問・性的虐待を行ったのが問題になったのは、本エピソードと同じ2004年のことだった。
【フラタニティ】
米国の大学にある学生同士の社交団体で、寮が併設されることも多く、所属する学生たちを強いつながりで結んでいる……というのは表の顔。日本でいう校友会にやや近いが、米国の場合は現役の学生が中心で、伝統あるフラタニティほど学生は特権意識を持ちがち。今回の《ガンマ・ロー・ハウス》のように、社会的エリートとなったOBとつながりが深いケースも。その特権意識は今回のローリーら弱者に対する扱いのように、いじめという形で現れる。フラタニティを理解するには、コメディ映画「アニマル・ハウス」やサスペンス映画「ザ・スカルズ/髑髏(ドクロ)の誓い」あたりを見ておきたい。
【ベルイマン】
ローリーとディアドラの外国映画クラブが上映会をしようとしていた映画監督、イングマール・ベルイマンのこと。'18年スウェーデン生まれで、「野いちご」「処女の泉」「ファニーとアレクサンデル」やローリーの台詞にもあった「叫びとささやき」「秋のソナタ」などが代表作。米国でも批評家を中心に高い評価を受けているが知的な作風で、米国でこの監督の作品を見ているのは一部の映画マニアだけかも。ダークは「土曜の夜は呑んで騒ぐほうが字幕の映画を見るより楽しい」というが、実際、米国で字幕入り映画は基本的に不人気だったりする。そんな定説を打破してヒットした作品に、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(豊富なネイティブの台詞に字幕)、「グリーン・デスティニー」(全編北京語)、「パッション」(全編ラテン語&アラム語)がある。
2007.7.14|エピソードガイド|固定リンク|コメント(5)|トラックバック(1)
【STORY】1988年6月11日。アダムズ高校の卒業パーティー(プロム)の夜、陸上選手として将来を期待されていた生徒ジミーが、ひき逃げされて命を落とした。そして現在--。第2シーズン最終話『森』で射殺したジョージのことを早く忘れたいリリーだが、ジミーの恋人クインがプロムの夜に捨てた赤ん坊で、今は少女に成長したクレアの訪問を受ける。彼女のもとに“父親はジミーではなく自分だ”という男が現れたという。リリーはジミーひき逃げ事件の扉を開く。
フィラデルフィア市警殺人課には新しいメンバー、ジョジー・サットン(ずっと前に日本ではWOWOWが放送した「VRトルーパーズ」にも出ていたサラ・ブラウン)が転属してくる。彼女の父親はスティルマンの知り合いで、銃で撃たれて殺されたという(理由は今後明らかに?)。また、彼女はホワイトという巡査と関係を持ったために問題になったことがあるようだ(このあたりも今後要注目?)。
やがて、ジミーが保健室の看護師ローラから、クインを中絶させないよう脅されていたこと、陸上部のコーチ、ジョンソンがジミーに中絶費用を準備していたのが明らかに。そして、クインがジョンソンとも関係を持ち、それを知ったジミーがクインに別れると言い出した事実がクインの口から明らかに。また、プロムの夜、ジミーは数学教師のワイアットを探していた。ジミーとワイアットの関係は。警察に呼ばれたワイアットは、妻がいる自分の不倫をジミーに知られ、彼とお互い助け合おうとしたという意外な事実を明かすが……。
【今回の“深読み”】
直接的にそう語る台詞こそないが、ジミーやクインと同世代であるリリーにとって、実は意味が大きかった事件かも。深読みすれば、前出の『森』で悲しい過去が明らかになったリリーにとって、クインもその娘のクレアも、どちらも自分の過去と重なったはずだ。原題の“Family”にも重みがあり、これからのリリーが気になる!
【プロム】
米国人にとって高校最後の卒業パーティー、プロムは人生最大のイベントの1つだという。そこで女生徒にとってクイーン(女王=Queen)に選ばれることは大きなステイタスで、そう思うと、対照的に高校のトイレで出産せざるをえなかった少女、クイン(Quinn)の名前は皮肉のように思える。
【MUSIC・1】
プロムの回想場面のひとつで流れるのは、リック・アストリーの当時のヒット曲“Together Forever”。人気音楽プロデューサー・チーム、ストック/エイトキン/ウォーターマンによる作品で、彼らはバナナラマやデッド・オア・アライヴ(懐かしー!)などもプロデュースしていた。
【MUSIC・2】
ラストに流れるのは、ピーター・ガブリエルの傑作アルバム「SO」(名盤です)に収められていた“In Your Eyes”。この曲、ジョン・キューザック主演の傑作青春映画「セイ・エニシング」や、TV「フェリシティの青春」の第1話にもかかっていた。
さて、私も6月29日のキャスリン・モリス来日イベントには行きました。というか、実は6月27~29日の3日間、キャスリンの“追っかけ状態”でした(ちょっとオーバーですが)。詳細は近日リポートします!
2007.7. 7|エピソードガイド|固定リンク|コメント(4)|トラックバック(1)